観光地で消耗していた私を人間に戻した小さなギフト
観光地に行くのは好きですか?
天邪鬼な私は、人があまり行かないような場所を好んで旅をしていました。
有名な場所は人でごった返していたり、写真にしても似たような景色はネットにあふれているので私が撮らなくてもいいんじゃない?お膳立てされたような、どこか人工的な場所でガッカリすることもあるし。観光地に対してネガティブな印象を持っていました。
そんな私ですが、思い返せば観光地で店員として働いていた経験がありました。
観光バスが着くと大勢の人がなだれこんでくる店内。私が担当していたのは、お土産を梱包し、レジを打って、同じことを説明する。気持ちを消耗するばかりの日々でした。自分って接客が苦手なんだと思っていました。
そんな心を無にするような対応をしていた私にも時々ハッとさせられることがありました。
それは私を見て「ありがとう」と言ってくれる人がいたときです。
ただそれだけなのに、向き合って言葉をかけてもらえるだけで、私は心を取り戻して一人の人間に戻ったかのような感覚を覚えました。それと同時に機械的に対応していた自分を恥じました。
そうだ、お土産として購入された商品を効率よくさばくだけだったら機械でもできる。私は機械になっていたんだ。でもそれは相手も機械のように扱ってしまっていたということでは?
そこから脱するには、相手に気持ちを込めてありがとうという言葉をかわすだけでよかったんだ。その小さなギフトで店員もお客さんも双方とも機械から人間に戻れる!
その経験を思い出してからは、大勢の人があふれる観光地も楽しめるようになりました。そうだ、私だってニュースや雑誌で知った素敵そうな場所に行ってみたい!
旅行は一時的な滞在、通りすがりの一見さん。
駅のプラットフォームで行き先を尋ねた車掌さんもキオスクで水を売ってくれた店員さんも顔を合わすのは1分にも満たない時間かもしれません。でも、その人たちの背後には生活がある一人の人間。向き合って「あいさつ」という贈り物を渡すだけで、私たちの世界は人らしい温かさで満たされます。あなたも旅先で「あいさつ」という小さな気持ちのギフトを渡してみませんか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?