【書評】技術屋の王国

著者:片山 修
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自分はホンダ車が好きである。昔から乗るならホンダ車と決めています。今回改めてホンダという会社について知りたいと思い本書を読んでみました。

はじめに

本書を読もうと思ったきっかけは現在業務で携わっている会社である本田技術研究所という組織についてもっと詳しく知りたいと思い、本書を手にとってみました。業務で接している担当者の考えを少しでも理解することができればと思いつつ・・・

本書の概要

ホンダジェットとロボットのアシモについての開発の記録と研究所のホンダ内での立ち位置を著者がまとめたものである。ホンダは航空機事業の実績ゼロにもかかわらず、なぜ、ホンダジェットを生み出すことができたのか?
という問の答えをこの本には書いてあります。

歴代の社長

ホンダの歴代の社長は技術者から選任される ということは有名ですが、本書には30年にも渡り、5代にも渡る歴代の社長達が様々な思いで航空機事業の成功に向けて苦渋の決断を下してきたのか詳しく分かります。

研究開発費

販売台数がトヨタの1/2にも関わらず、ホンダの研究開発費はトヨタの研究開発費の2/3を占めています。それほど研究開発を大切にする会社であることがうかがえます。航空機のエンジン、機体の開発は30年間の地道な基礎的技術研究・開発のたまものです。
ホンダという会社が基礎研究をいかに重視しているか分かります。

「でる釘を打たない」社風

航空機事業成功の裏には基礎的技術を重視したこと、仕事の裏で研究者が独自技術開発をすることを黙認したこと、変人、奇人をあえて採用したこと、など「でる釘を打たない」社風がホンダに強くあったことは非常に重要です。

ホンダというブランド

航空機事業の実績のないホンダが大手GE(ゼネラル・エレクトリック)社と協業できたのか?
開発の拠点を国内ではなく、米国に置いたこと。80年代に「シビック」「アコード」という名車が全米市場で大ヒットに加えてF1レースでの大活躍もあって HONDA ブランドが米国に浸透されていたことが大きいです。日本より米国の方がブランド力は高かったということも理由の一つかと思います。

最後に

自身が中学生であり、ホンダF1の全盛期だった80年後半にすでに航空機の研究開発をスタートさせていた事は本書を読むまで知りませんでした。
業務で本田研究所のLPL(Large Project LEADER)担当者と接していますが、本書にある技術者そのままであること気付かされ、これまで出会った担当者以上にこだわりが強く、信念をもった頑固な人物であることを改めて感じました。良いものを世に送り出す情熱には驚かされる一方です。やはりホンダという会社は不思議な魅力があり、その会社と仕事ができる今の自分は幸せと感じています。

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