相続について

オヤジが死んで一年経った。
相続について記録しておく。
せっかくなので全部自分でやってみた。

法定相続情報図

実に便利。いろんなところで使う。作るのに多分丸一日かそこら潰れる(戸籍の収集、作図、法務局への申請)が、元はじゅうぶん取れる。
法定相続情報図は法務局で何枚も作れるので気楽に提出できる。
相続税申告に使う他、銀行や株式の全ての処理で使うんだが、これが無いと戸籍簿一式が必要になる。毎回渡しては回収しを繰り返すことになるのだ。まあ窓口コピー作戦なら多少はマシだろうが。

遺産分割協議書

作るのがいろいろ面倒だった(遺族的に)。

さて、遺産分割協議書は相続人が一人1通ずつ持つのだが、遺産相続関係の手続き書類を見るとすべからく必要な書類に「遺産分割協議書(原本)、印鑑証明(原本)」とある。各種手続き書類を郵送で提出する場合、遺産分割協議書の原本を送らないといけないので、原本が帰ってくるまで待たされることになる。

実は銀行や証券会社は店舗の窓口に直接手続きしに行くと、その場で遺産分割協議書のコピーをとって返してくれるのだった。
親父はあちこちの銀行に口座持ってた上(大した金額じゃないが)、信託銀行持ちの単元未満株がついてる株式が複数あったが、この作戦でなんとか処理した。
相続税申告書は、税務署の受付の人に「遺産分割協議書と印鑑証明はコピーなんだけど大丈夫ですか?」と聞いたら「とりあえず預かります。ダメだったら連絡します」と言われたのでコピーで出した。以後連絡はないので大丈夫だったようだ。多分ケースバイケースだと思われる。
ただし相続登記は法務局に「原本じゃないとダメ。2〜3週間預かりますね」と言われたのでコピー作戦は通用しない模様。最後にやる(まだ相続登記してない)

株式

オヤジは合計1000万円くらいの株をあれこれ持ってた。これは死んだ時の評価額なので、今は1300万まで上がってる。スゲエ。。。
証券会社はモルスタのみ。電話して相続用の書類を取り寄せ、残高証明ももらい(相続税申告用)、支店に提出しに行って根拠書類は窓口コピー作戦である。有給1日使ったが1時間で終わった。
まあ、モルスタにある本体は問題なかったのだが。

配当金

死んだ人の銀行口座は凍結されるので、配当シーズンになると「配当金が振り込めません」というエラーメッセージお手紙が来る。相続後の配当金の払い込み口座の変更はいろいろと手間がかかるのだ(まだ完了してない)。で、しばらく待つと配当金の金額の郵便為替(のようなもの)が郵送されてくる。
郵便為替(のようなもの)の換金期限は半年くらい。その範囲内なら郵便局で換金できるのだが、期限が切れると株主名簿を管理してる信託銀行で換金することになる。郵便局はそれなりに書類書いたり実印押したり遺産分割協議書と印鑑証明を法定相続情報図をコピーしてもらったりして換金する。めんどくさいが、信託銀行よりはマシである。
うっかり期限切れして、株主名簿管理人たる信託銀行で換金してもらうことになると、出した書類を本社だかに転送してそっちで審査するから手間がかかるうえ、伏せられていたトラップカード「単元未満株」が発動するのだ。

単元未満株の罠

単元未満株の話は、俺が読んだ相続の本に書いてなかったので書く。

信託銀行の人は「端株」と言ってたが正しくは単元未満株。ようするに1〜99の半端な株のことである。普通の売り買いは100株単位だが、たまに友情パワーや愛の奇蹟で株が勝手に増殖して半端な数の株が発生することがあるのだ。
証券会社で買った株は証券会社の口座にあるのだが、株主名簿の管理や配当金の支払いはその銘柄を担当してる名簿管理人(だいたい信託銀行)がやっている。そして自然発生した単元未満株は信託銀行が保管してる(証券会社が株主名簿管理人の銘柄の場合は単元未満株も証券会社の口座)。
オヤジは長期ホルダーだったので、やたらと単元未満株つきの銘柄を持ってた。
そして証券会社は他社が管理している単元未満株を認知してないので、取り寄せた残高証明には何も書いてないのだ。ほんなん知らなかったから申告漏れしちまったぜ。

さて、単元未満株なんて知らなかった俺が作成した遺産分割協議書はこんな感じだった。
「妹:預貯金1000万円。
 俺:モルスタ保管のあの銘柄1000株とこの銘柄云々と配当金。
 母:それ以外全部」
もう少し自分のぶんを融通の効く書き方にしようかとも思ったのだが、遠方にいて疎遠な妹相手の遺産分割協議では、俺の取り分が不明確だと揉める可能性があるから明示した。
さてお分かりだろうか。この書き方だと株のうちモルスタ管理分は俺なのだが、信託銀行にある単元未満株は母のものになる。
信託銀行に曰く、所有者が違う単元未満株が残ってるうちは配当金は払えない(郵便局は株の状況とか関知しないので期限切れになる前の換金はセーフ)。
モルスタもまた曰く、所有者が違う単元未満株が残ってると配当金の払い込み口座を変更できない。
というわけで、単元未満株を処理する書類に母の実印を押してもらい、郵便局での換金期限切れの配当金を払ってもらう書類を作り、信託銀行を回ったのでした。みずほ信託、三井住友信託、三菱UFJ信託のフルコースで、なんやかんやで有給4日使った。
※信託銀行や証券会社は、平日午前中はわりと空いてるので有給使うとスムースに終わる。

結論。良い子のみんなは相続のときは単元未満株も探そうね。単元未満株は、証券会社の残高証明と配当金の計算書か株主総会の案内を突き合わせると発見できるぞ。
単元未満株を保管してる株主名簿管理人は、配当金か株主総会の書類を見ると書いてある。まあ、ググってもわかる。
今から考えると遺産分割協議書に、「上記以外に名簿管理人とこに単元未満株がある場合はそれも俺」みたいなこと書いておけばよかった。

ふう。

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