「大絵画展」　望月諒子　書評

私の中では、絵画系の作品といえば原田マハのイメージが強かったのですが、初めて望月諒子の作品を読み、とても面白かったです。

ミステリー文学大賞新人賞をとっている作品だけあって、見事な伏線が張り巡らされており、後味も良かったです。

最初はどのようにストーリーがまとまっていくのだろうと、先が見えずに不安に思わせるようなところがあったのですが、最後に近づくにつれてリズム良く伏線が回収されていました。

ゴッホの「医師ガシェの肖像」をめぐる話だったのですが、この絵の背景やゴッホという人。またバブルに浮かれて世界中の芸術品を買い漁っていた時代の日本を垣間見ることができて好奇心がそそられ、話に重厚感をもたらしていたと思います。

絵画を倉庫から盗み出すシーンもスリリングで読み応えがありました。

望月諒子の作品をもっと読んでみたいと思わせてくれる本でした。