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【投資】+10%と▲10%は等価ではない?

ここ数ヶ月、さまざまな要因からボラティリティの激しいマーケットが続いています。当方、基本的にな静観、あるいは売られたところでちょこちょこと購入。今日はこのようなマーケットの中で、「+10%と▲10%は等価ではない」ということについて議論したいと思います。


+10%と▲10%、影響幅は同じはず?

例えば100万円の投資に対して、+10%のリターンは10万円のプラス。▲10%のリターンは10万円のマイナス。上下の違いこそあれ、その影響幅は同じです。これを等価と呼ぶかどうかは疑問がありますが、影響幅が同じという意味でここでは等価と呼んでおきたいと思います。

+10%と▲10%、影響幅は同じ

投資している2つの銘柄について、1つは+10%、もう1つは▲10%であったとすると、それぞれの影響が打ち消しあってトータルの影響はゼロになりますね。ですので、そういう意味で+10%と▲10%、等価であるといえます。

時系列的な観点でみると?

しかし、ある1つの銘柄だけに注目した場合、その銘柄のリターンは同時ではなく時系列的に発生します。例えば、Day1で+10%、その翌日に▲10%。あるいはその逆で、Day1で▲10%、その翌日に+10%といった具合に。

下記の図にあるとおり、+10%と▲10%が時系列的に起こった場合、当初の100万円がDay2の最後には99万円と、100万円には戻ってこないことがわかります。

+10%と▲10%、時系列的に発生すると?

もうちょっと大袈裟に、例えば+50%と▲50%のケースでみてみます。下記の図のとおり、最終的には100万円が75万円に減ってしまいました。

+50%と▲50%の例でみると?

単純な計算なので「こんなの当然だよね」って思われる方も多いと思います。ただ、直感的あるいは反射的に「50%下落したら、次50%上昇したら元に戻るよね」とか、「50%上昇したあと50%下落したら、元に戻るよね」と勘違いされてしまう方もいるのではないでしょうか?

実際には下の図のとおり、最初に50%下落したら次は100%上昇(つまり倍)しないと元の100万円には戻りません。あるいは逆に最初に50%上昇したら、次は33%の下落程度で元に戻ってしまいます。

+/▲50%後、元の100万円に戻るには?

つまり時系列的な観点でみると、+10%と▲10%(あるいは+50%と▲50%)は等価ではなく、マイナスのインパクトが大きいということがわかります。

投資家への示唆

上記の計算、個人投資家にとってどういう示唆があるのでしょうか?

長期投資家にとって

実は上記の議論、+10%と▲10%の発生確率の違いがまったく考慮されていません。通常の金融市場、例えば株式投資であれば、期待リターンはプラスと想定されます。であれば、当然ですが+10%の方が▲10%に比べてその発生する確率は大きくなります。

確かにマイナスになった場合のインパクトは大きいのですが、それを上回る期待リターンが見込めるはず。そういう意味では、あまり上記の議論を気にすることなく、長期の時間軸とプラスの期待リターンを味方につけて、保有を継続すればOKです。

なお日本株の個別銘柄については、当方よくこのnoteでNTT(9432)好きであることを公言しています。NTTだけに限らないのですが、割と地味な安定銘柄が好き。それも上記で議論したとおり、ハイテク株のような上下の動きの激しい銘柄よりは、価格変動の安定した銘柄(下落幅が限定的な銘柄)のほうが最終的にはパフォーマンスがいいのかなと思っています

短期のトレーダー等にとって

少し考えないといけないのが、FX取引や株の信用取引等を利用し、デイトレード(日計り)で儲けようとする短期志向の運用者、いわゆるデイトレーダーの方々。FXなんかでもよく「ゼロサムゲーム」と言われているように、期待リターンはほぼゼロ、つまりプラスもマイナスも同様に発生する可能性が高いマーケット。また株式市場が長期的には期待リターンはプラスといっても、「では今日は上がるのか、下がるのか?」といったように時間軸が短くなってくると、「どうせ期待リターンはプラスだからいいよね」とも言ってられなくなります。

そういう運用をしている人たちにとっては、このマイナスのインパクトの大きさをいかに回避するかが重要だと思います。

やり方自体は個々にそれぞれのスタイルがあろうかと思いますが、「損切りは早く、利食いは遅く」という格言もあるとおり、普段の取引から損失を限定するよう努めること。当方も主戦場ではありませんが、FXなんかで短期のポジションを取る時には、あらかじめ"ロスカット"のためのオーダーも入れておくようにしています。

以上、本日は「一見+10%/▲10%の影響幅は同じように思えるが、時系列で見るとマイナスのインパクトは大きい」、つまり「損失を抑えることは大事」という議論でした。

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