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部活動顧問禁止、部活動廃止まで時間の問題!教員の時間外勤務の上限は月45時間!!

①教員の時間外勤務の上限は月45時間!! すでに令和2年4月より施行されている!!

◯先日(1月31日)、こんな記事が出ました。

教職員の時間外勤務(残業時間)で「過労死ライン」とされる月80時間を超える割合が公立中学校で16・1%にのぼることが、群馬県教育委員会が昨年10月に実施した全校対象の調査で明らかになった。

◯学校現場に働き方改革が叫ばれてから久しいですが、群馬県の調査では未だに6人に1人は過労死ラインを超えた働き方を余儀なくされているのが現状です。

◯皆さんの勤務校の働き方改革は進んでいるでしょうか? 下記に示すように、すでに改正給特法による変形労働時間制導入に伴う「働き方改革」として、時間外の在校等時間の上限が月45時間になっています。

昨年度(令和2年)の4月から、教育委員会および校長にはこれを実行する責任が生じているので、業務の削減および適正な割り振り等によって時間外勤務が月45時間以内に収まるように改善が図られていないのであれば、校長はその職務責任を問われます。

◯今般の「働き方改革」は、日本社会にありがちな責任者不在の空論ではなく、はっきりと教育長と校長本人に責任を負わせています。そこを自覚していないのならば、管理職としての責任感が欠如していると言わざるを得ません。

◯事もあろうに、未だに部活動の「全員顧問制」などを続けているというのは無知の極み愚の骨頂です。部活動顧問に伴う時間外労働は1日約2時間。例えば22日間の勤務月であれば、累計約44時間の時間外労働が発生します。時間外勤務が45時間(上限)を上回らないように校務を分掌する責任が付された以上、部活動顧問を任じるということは、他の全ての分掌業務を与えてはいけないということになります。

◯時間外勤務が45時間を上回ることが常態化されれば校長の職務責任が問われます。労務管理能力に疑義が生じるばかりか、処分対象となります。部活動顧問の強制などというのは、法的実行責任を負う「働き方改革」の前では成立し得ないのです。

◯このことからも分かるように、教育課程内の業務でさえ勤務時間内に終わらないような現状において、もはや教育課程外の部活動の顧問というのは、希望者の任意でさえ継続不可能なのが実情です。もはや部活動は存続不可能な状況に追い込まれているのです。

◯ましてや、それを仮に勤務時間内であっても職務命令するなどというのは、本務でさえ月45時間の時間外勤務に収まらなくさせる破壊的行為です。つまり、勤務時間内であれ、部活動顧問を任じるというのは、その他の業務を勤務時間外にはみ出させてしまうため、「包括的な職務命令」(黙示の残業命令)に当たると言えます。こういうことを意識している校長がどれほどいるでしょうか? 鳥居裁判の最高裁判例(2015年)をきちんと理解しているのでしょうか?

部活動の設置者は学校長です。その部の活動および存廃の判断の責任を一介の教職員に委ねることはできず、校長の職責のもとに縮小・廃止を進めていくしかありません。

◯ここで、文部科学省から各都道府県教育委員会の教育長に向けて発出されている、以下の重要な通知を全文掲載して解説していきます。

②「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針」の告示等について(通知)(令和2年1月17日)

昨年 12 月,「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律の公布について(通知)」(令和元年 12 月 11 日元文科初第 1214 号初等中等教育局長通知。以下「公布通知」という。)で通知したとおり,「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律」(令和元年法律第 72 号)が公布されました。

◯これは「給特法が改正されましたよ」ということを改めて確認しているだけです。改正給特法についての詳しい解説は、本記事末に貼り付けている過去記事を後ほどご参照ください。

この法律は,学校における働き方改革を進めるための総合的な取組の一環として,文部科学省が昨年1月に策定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を法的根拠のある「指針」に格上げするとともに,休日の「まとめ取り」のため,一年単位の変形労働時間制を各地方公共団体の判断により条例で選択的に活用できるようにするものです。

◯今回の改正給特法では『「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を法的根拠のある「指針」に格上げ』したとあるように、文部科学大臣が定めた月45時間の上限というのは法的根拠を持ちますよ、ということを確認しています。

◯つまり、これを守らないということは法令違反ということになります。

このうち,ガイドラインの法的根拠のある「指針」への格上げについては,第7条において,文部科学大臣は,教育職員の健康及び福祉の確保を図ることにより学校教育の水準の維持向上に資するため,教育職員が正規の勤務時間及びそれ以外の時間において行う業務の量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針を定めることとされているところであり,当該規定に基づき,このたび,「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針」を告示として公示しましたので,お知らせします(別添1及び2)。

◯続いて、改正給特法によって新設された第7条に基づいて、服務監督権者である教育委員会が講ずべき措置に関する指針を作成したからお知らせしますという、この通知の主旨が示されています。

本指針の適用は,第7条の施行と同じく令和2年4月1日からとしており,本指針の運用に当たっては,下記の事項に留意の上,適切に対応されるようお願いします。

◯そして、令和2年4月1日からこの指針を運用し、適切に対応していくようにということが示されています。すなわち、未だに対応していないということは法的根拠をもつガイドラインに対する違反行為ということです。

下記の留意事項のほか,本指針の内容に関する詳細については,別途Q&Aとしてお示しします。また,今回の改正法に関する主な国会審議の内容(別添3)についても,御参考にされるようお願いします。

◯そして、本指針を運用していくに当たっての留意事項を下記に示すということと、別途示す「Q&A」と「国会審議」の内容も参考にしてくださいと書かれています。入念に詳細および根拠を示していることから文部科学省の本気の姿勢が伝わります。

本指針の策定と併せて,文部科学省としては今後とも,必要な制度改正や条件整備をはじめとして,学校と社会の連携の起点・つなぎ役として前面に立ち,学校における働き方改革の取組を総合的に進めてまいります。各教育委員会におかれては,その所管に属する学校の教育職員の在校等時間の上限等に関する方針(以下「上限方針」という。)の策定と併せて,「学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)」(平成 31 年3月 18 日 30 文科初第 1497 号文部科学事務次官通知)も踏まえ,引き続き,学校における働き方改革を進めるために必要な取組の徹底をお願いします。
なお,今後,文部科学省では,「学校の働き方改革のための取組状況調査」をはじめとした既存の調査等を活用しつつ,本指針の運用状況について,適宜,各教育委員会の取組の状況を把握し,公表することとしておりますので,御協力くださるようお願いします。

◯まず教育委員会は管轄の学校の教育職員の在校等時間の上限等に関する方針(「上限方針」)を策定するように求めています。

◯そして、平成31年3月18日付で各都道府県知事、各都道府県の教育委員会教育長等に発出された通知が「学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)」ですが、ここには教師のこれまでの働き方を見直し、各教育委員会と各学校において取り組むべき方策が整理されています。改めてその通知を踏まえた取り組みの徹底を求めています。

◯さらに、前述の「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」の運用状況を調査・把握した上で公表するということまで併記し、ある意味でやんわりと脅しをかけているのです。

また,休日の「まとめ取り」のための一年単位の変形労働時間制の活用に関して留意すべき事項については,別途通知します。
各都道府県教育委員会におかれては,所管の学校及び域内の市(指定都市を除く。以下同じ。)町村教育委員会に対して,各指定都市教育委員会におかれては,所管の学校に対して,本件について周知を図るとともに,十分な指導・助言に努めていただくようお願いします。
また,各都道府県教育委員会におかれては,本件について域内の市町村教育委員会が設置する学校に対して周知が図られるよう配慮をお願いします。

◯また、「一年単位の変形労働時間制の活用に関して留意すべき事項」については別途通知するけれども、まずは今回の通知について所管の学校への周知を図り、十分な指導・助言に努めなさいと述べています。(おそらくどこも教育委員会止まりで学校に対しての周知など図っていないでしょう。教育委員会などそんなものです。都合の悪い情報は隠します)

◯そして最後に、「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を運用する上での留意事項を、以下の通りまとめています。

(1) 上限時間の性質について
本指針は,超過勤務命令に基づく業務以外の時間も含む「在校等時間」についての上限時間等を示したものであり,校務をつかさどる校長及び服務監督権者である教育委員会は,上限時間を超えないようにするため,教師等の業務量の適切な管理を行うことが求められること。
校長及び教育委員会は,教師等の在校等時間の管理をはじめ,業務の役割分担・適正化,必要な執務環境の整備や健康管理など,学校の管理運営における責任を有するものであることから,上限時間を超える実態がある場合には,例えば,校務分掌の適正化や業務削減等の改善のための措置を取るなど,学校の管理運営上の責任を適切に果たすことが求められること。

◯「校長及び教育委員会は」となっていることからお分かりのように、責任の所在が明確化されています。月45時間の上限時間を超えて働くことが常態化しているような場合には、校務分掌の適正化や業務削減等の改善のための措置を取るなどして学校の管理運営上の責任を果たすように通達しています。

なお,在校等時間の上限は,教育職員がその上限まで勤務することを推奨するものではないこと。また,本指針における児童生徒等に係る臨時的な特別の事情がある場合の上限時間は,上限時間の原則に対する例外として,例えば,学校事故等が生じて対応を要する場合や,いじめやいわゆる学級崩壊等の指導上の重大事案が発生し児童生徒等に深刻な影響が生じている又は生じるおそれのある場合など,児童生徒等に係る通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い,一時的又は突発的に所定の勤務時間外に業務を行わざるを得ない場合について定めたものであること。

◯そして、上限時間ギリギリまで働かせることはおすすめしないということと、仮に上限時間を上回って働かせることができるような例外が生じる場合というのは、「学校事故等」「いじめやいわゆる学級崩壊等の重大事案が発生し児童生徒等に深刻な影響が生じている又は生じるおそれのある場合」などに限るとしていることから、教育課程外の部活動顧問による上限違反など許されるわけがありません。

(2) 各地方公共団体の条例や規則等への反映について
本指針の適用は,第7条の施行と同じく令和2年4月1日からとしており,同日までに上限方針が実効性ある形で定められていることが重要であること。このため,服務監督権者である各教育委員会においては,本指針を参考にし,上限方針を教育委員会規則等において定めること。既に上限方針を策定している場合には,本指針に沿ったものとなっているか,学校や地域の実情等も踏まえ,改めて検討の上,必要に応じて改定すること。
都道府県及び指定都市においては,給特法第7条第1項の規定の趣旨を踏まえ,服務監督権者である教育委員会が定める上限方針の実効性を高めるため,公布通知においてもお願いしていた通り,本年度中に各地方公共団体の議会において御議論いただき条例の整備を行うとともに,教育委員会規則等の整備を行うようお願いしたいこと。
これらに関しては,条例・規則等に在校等時間の上限を定めることが重要であり,文部科学省において「「指針」の条例・規則等への反映について(例)」(別添4)を作成したので,参考とされたいこと。

◯次に、「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」の運用は令和2年4月1日からであるということを改めて述べ、本年度中に教育委員会規則等(管理規則のこと)を整備しなさいと通知しています。

◯いまだに部活動顧問を分掌として命じることができるなどという管理規則を残したままの自治体がありますが、この通知の無視を決め込んでいるわけです。かなりブラックです。

(3)在校等時間の客観的な計測について
労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)等において,タイムカードによる記録,電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法による勤務時間の把握義務が明確化されたことを踏まえ,教育職員が在校している時間は,ICT の活用やタイムカード等により客観的に計測すること。また,校外において職務に従事している時間についても,できる限り客観的な方法により計測すること。また,当該計測の結果は公務災害が生じた場合等において重要な記録となることから,公文書としてその管理及び保存を適切に行うこと。

◯在校時間の管理は労働安全衛生法に基づいてICT の活用やタイムカード等により客観的に計測することとし、そればかりか校外において職務に従事している時間についても管理しなさいと言っています。

◯これらの記録は公務災害が生じた場合等において重要な記録となることから,公文書としてその管理及び保存を適切に行いなさいと述べています。

◯しかし、このあと続々と群馬県、滋賀県の自治体の学校で管理職による勤務時間の改ざんが行われ、ニュースになりました。勤務時間の改ざんというのは公文書の改ざんです。処分されないで許されるわけがありません。

(4)持ち帰り業務の扱いについて
在校等時間の上限を遵守することのみが目的化し,それにより自宅等における持ち帰り業務の時間が増加することはあってはならないこと。本来,業務の持ち帰りは行わないことが原則であり,仮に行われている場合には,その縮減のために実態把握に努めること。

◯在校等時間の上限を守ったとしても、持ち帰りの業務が増えるなどということはあってはならないと釘を刺しています。すなわち業務量の削減および管理によって業務の適正化を図りなさいというを示しているのです。

(5)相談窓口について
教師等の長時間勤務の是正やメンタルヘルス不調等の健康障害の防止のため,各教育委員会内の学校における働き方改革の担当課や教師等の福利厚生を担当する課等において,長時間勤務等の勤務条件やメンタルヘルス不調等の健康障害に関する相談窓口を設置することについては,別途「公立学校の教師等の勤務条件,健康障害及び公務災害認定に係る相談窓口の設置状況に関する調査結果に係る留意事項について(依頼)」(令和2年1月 17 日元文科初第 1336 号初等中等教育局長通知)として通知しているところであるが,本指針の適切な運用を確保する観点からも,相談窓口を設けることが重要であること。
なお,参議院文教科学委員会における「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」「八」(※)の「文部科学省への相談窓口」については,別途示すものであること。

◯さらに、教師等の長時間勤務の是正やメンタルヘルス不調等の健康障害の防止のため、長時間勤務等の勤務条件やメンタルヘルス不調等の健康障害に関する相談窓口を設置しなさいと通知しています。

※公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(令和元年 12 月3日参議院文教科学委員会)抜粋
八、政府は、本法及び本法によって定められる文部科学省令、指針に逸脱した運用の防止策として、教育職員からの勤務条件に関する措置要求や苦情処理制度とは別に、教育職員等からの文部科学省や教育委員会への相談窓口を設けるよう促すこと。

◯ただし、「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」(指針)の運用がきちんと行われていないことに対する相談窓口は別途設けることとし、その窓口とは教員から文部科学省や教育委員会に直接相談できるような窓口であるということが示されています。こちらは法令違反を通告するための窓口と考えてよいでしょう。

【別添1】公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針【概要】
【別添2】公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針(令和2年文部科学省告示第1号)
【別添3】給特法改正に関する主な国会答弁
【別添4】「指針」の条例・規則等への反映について(例)
【参考資料】改正給特法の施行に向けたスケジュール(イメージ)

◯そして最後に別添の資料として、今回の通知に関わる重要な資料を掲載しています。

◯加えてこの通知の担当者を以下に記載し、連絡先まで明記しています。ここに連絡すれば、不明な点の説明を求めたり、違反に関しての相談などをすることもできるかもしれません。

担当:初等中等教育局財務課教育公務員係
鞠子,中村,吉田
TEL:03-5253-4111(代表)内線 2588




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