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全員顧問制度は違法な制度!(部活動顧問の断り方③)

①全員顧問制度を内規として設けている学校が約90%

◯勤務校の「内規」に、「全員一つは顧問を持つこと」といった記載があるという話を聞きます。

◯実際に、2016年度にスポーツ庁が行った「平成28年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」では、全国の87.5%の中学校で「全員顧問制度」が採られていることが判明しています。(希望制はわずか5%)

https://www.mext.go.jp/prev_sports/comp/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2016/12/15/1380539_08.pdf

◯「内規」とは「その組織の内部だけで適用することを目的とした規則」のことです。いわば「慣例」(それが普通となっている例。しきたり)のようなものであり、法的根拠はありません

◯法的根拠があるのなら、わざわざ「内規」として明文化する必要などなく、「部活動は教員の正式な職務だから顧問をしてもらう」と言えば済む話です。法的根拠がない(正式な職務ではない)からわざわざ「内規」として設けるのです。

②部活動に伴う残業を強制する職務権限は誰にもない

◯しかし、言わずもがな教職員全員に顧問を強いるような内規は違法なものです。なぜなら、校長にはいわゆる「超勤4項目」以外の業務について残業を命令することは給特法によって禁止されているからです。

◯超勤4項目とは、

①校外実習 ②学校行事 ③職員会議 ④非常災害

などに必要な業務の4つです。

◯つまり、校長には部活動に伴う残業を強制する職務権限はないということです。

◯勤務時間外の部活動顧問を職務命令することができないからこそ「慣例」にするわけです。「みんなやっているんだから」という定型文は同調圧力に弱い日本人を縛り付けるには非常に有効です。

◯以下の内田良先生(名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授)の記事にも次のように書かれています。

https://news.yahoo.co.jp/byline/ryouchida/20170618-00072247/

厳密にはこれは「制度」とよぶには語弊がある。そもそも部活動顧問の任務自体が教員の自主的な関わりにより成り立つものである。したがって、全員顧問の「制度」というきまりが成り立つ根拠がない。だから、全員顧問は「慣行」にすぎない。

それにもかかわらず、全員顧問の体制が「制度」とよばれていること自体が興味深い。つまり、なんとなく学校のなかでそうなっているはずの「慣行」が、もはや「制度」という強い拘束力をもったものとして認識されているということである。

③時間外業務はあなたの「自主的・自発的」な行為

◯校長には部活動に伴う残業を強制する職務権限はないということは、時間外の顧問業務は、法的には教員個人が誰からの指示や命令によることなく「自主的・自発的」に行っているものという扱いになるということです。つまり「労働」とは見なされないのです。

◯たとえ過労で倒れて重い障害が残ろうが、死のうが、教育委員会はまず業務との関係性を否認します。なぜなら校長に残業命令権がない以上、残業命令は発動しようがないと言えるからです。

◯校長も馬鹿ではありません。自分に部活動に伴う残業を強制する職務権限はないと分かっています。分かっているからこそ「部活による残業は職務命令だ」などということは絶対に言いませんし(訴えられたら100%負けるからです)、内規にも「全員一つは顧問を持つ」としか記載せず、一番肝心な勤務時間についての記述は絶対に明文化しません。

◯繰り返しになりますが、自分に部活動に伴う残業を強制する職務権限はないと分かっているからこそ、命令ではなく「先生には◯◯部の顧問を"お願い"したいと思っているのだが」という話し方をするわけです。

◯あるいは内規を設けて同調圧力で縛り「本校では"全員一つは顧問を持つ"という内規を設けて"皆さんにも協力してもらっている"ので、先生にも"お願い"したい」と言う話し方をしてきます。

④顧問を拒否するための話の進め方

◯しかし、あなたが望まない顧問を拒否したいのであれば、

「それは勤務時間外まで含むという認識でのお願い(or内規)ですか?」」

と聞きさえすればよいです。

◯もし相手が「そうだ」と答えたら、

「それはおかしな話ですね。校長という校務を掌る最も責任と職務権限を有している人間が、部下である教員に対して勤務時間外まで含むという認識でお願いしている(内規を設けている)ということになれば、それはあなたがお願いと言ったところで実質的な職務命令に当たります。その発言が孕んでいる違法性を認識されていますか?これ以降の会話はスマホで録音し、私の意向を無視する形で顧問にするのであれば、人事委員会に措置要求をさせていただきますので」

と問い詰めましょう。

◯反対にもし相手が「勤務時間外まで含むとは言っていない。活動時間については先生の判断で決めればいい」と答えたら(頭のいい校長ならこう答えるでしょう)、

「それははおかしな話ですね。現在の時程では部活動が開始されるのはたいてい16:00頃からです。そして我々の退勤時間は16:45が定刻です。しかも15:45から16:30は休憩時間として設定されているので、勤務時間内に収まる範囲でいいと言われたところで、15分程度しか顧問業務に従事する時間は確保されていませんよね。つまり、校長先生がいくら勤務時間外まで含むとは言っていないとうそぶいたところで、現実として部活動の運営は不可能であることは明白です。実際に本校の部活動の最終下校時刻は18:30に設定されているわけでしょう? そうした実情を認識された上で、顧問をお願いするというのは、これはもはやお願いではなく実質的な残業命令です」

と問い詰めましょう。

◯さらに追い打ちとして、

「私を顧問にするのであれば、勤務時間外は含まないとおっしゃった校長先生の言葉に従って、活動時間は16:30~16:45に設定します。中教審の答申にも「校長は、部活動が勤務時間外に行われることができる限りないよう、管理・監督するように」と明記されています。さらに、生徒・保護者からの問い合わせや苦情などについては、職務時間内のことなので校長先生の指揮監督権下にある以上、全て校長先生に回しますから真摯に対応してくださいね」

と言いましょう。

◯しかし、こういう教員が現れることを防ぐために、校長は「複数顧問制度」にします。人間関係を顧問で縛り付け、一人で勝手な動きができないようにするのです。「一人の教員に負担が偏らないように」などというのは建前でしかありません。

◯だから、最後にこう言いましょう。

「それでも顧問に名前を入れるのであれば、勤務時間外まで含むとは言っていない、つまり勤務時間内しかやらなくていいと校長先生ご自身がおっしゃったことを、任命責任者として、もう一人の顧問・生徒・保護者にきちんと説明してくださいね。勤務時間内の職務命令として行っていることになりますので、校長先生に全ての説明責任があります。ここまで明確にお願いしてもなお、もし校長先生が職務責任を果たさずに私が職務遂行上何らかの不利益を被った場合については、人事委員会に対して措置要求を行いますので

◯ここまで言えば、もうあなたを顧問にしようなどという校長はいないでしょう。

◯その他参考記事を以下に貼り付けておくので、興味がある方はご参考ください。


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