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一九三〇年に對する私の希望・抱負・計畫

◎  菊池與志夫

 一九二九年は國家としても

私一個人としても甚だ多事で

あり過ぎました。國家は多年

の難關であつた金解禁を決行

し、私も長年の懸案であつた

結婚問題を片附けたのであり

ますから、國家も私も心機一

轉して、本年から眞實に、大

地に足を確り踏みしめた仕

事が出來ることと信じます。

私は自己の生活内容を充實せ

しめて、物質的に確實なる基

礎をつくるべく、あらゆる努

力を惜しまない考へでありま

す。それには、健全なる心身を

要しますから、本年は野球、

庭球等を熱心に續けて、身体

の練磨を心懸けます。從來の

ぐうたらな時間の空費を絕對

に避けて、一分間でも有爲に

生活することを第一として、

凡てのことを處理し、以て自

己並に家族の幸福を計る考へ

であります。甚だ抽象的であ

りますが、以上が私のお答へ

であります。

(越後タイムス 昭和五年一月一日 
    第九百四十號 三面より)


#1930年 #昭和5年 #金解禁 #越後タイムス




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