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pray of 聖武 紹介

1.ごあいさつ


こんにちは!低燃費ゲームズお手伝いのイッセーです。
最近はもっぱら音声コンテンツの発信ばかりで記事を書くのは1年ぶり。

今回紹介するのはゲムマ秋2022に出展する低燃費ゲームズのつよしがお送りする新作の重量級ゲーム「pray of 聖武」です。

つよしと僕の関係は僕がボードゲームを遊ぶようになってからできた友人で6年ぐらいの付き合いです。そんな彼が3年の月日をかけて完成させたボードゲームをゲムマで販売するということで一丁宣伝を手伝ってやるか!ということで書く記事です。いわゆる宣伝記事というやつです。ただ、視点としてはテストプレイに付き合ってきただけのガヤ芸人の立場からなので、気になっている方の購入基準にしてもらえるような内容にしたいと思っています。

前置きはこのくらいにしてゲーム紹介をしていきましょう。

2.概要紹介

プレイ人数:2~4人
プレイ時間:60~90分
テーマ:奈良時代の大仏造立

硬派なユーロゲームを日本人デザイナーが日本テーマで作ってやる!という気概を感じさせます。

堂々とした大仏様。造立を指示しているのはご存じ聖武天皇

さてpray of 聖武を日本語に訳すと「聖武の遊び」・・・それはplay of 聖武。prayは「祈り」なので「聖武の祈り」が正解です。
奈良時代は仏教が盛んというイメージがあると思いますが、それがなぜかといえば当時は天然痘の流行や飢饉、そして成熟し始めた政治で事件が起こったりと惨憺たる時代だったからだそうです。
このゲームの内容は、仏教を広めることで人々に安寧の世を与えて災いからの脱却を目指している聖武天皇の側近としてプレイヤーたちが偉人の協力を得ながら仏像の造立や国分寺の建設を行うというものです。

箱は高級感ある桐の箱(風)!大きさはマルコポーロの旅路とかアクアスフィアくらい。 

いよいよゲーム紹介に入りましょう。

3.ゲームの流れ紹介

コンポーネントがたくさんありますね!ホームボードはボードごとに分けられているのでプレイしやすいように配置しましょう。
個人ボード。役所に自分の業績を記録していくイメージかしら。というかカードも含めてイラストの出来がもうホンモノよね。

このゲームでは手番がグルグル回ってきます。そしてプレイヤーが自分の手番でできることは3つの選択肢から1つを選ぶのみ!
「①アクションプロット」か「②アクションを実行する」か「③使用/獲得したカードとワーカーを補充する」かの3択に常に迫られるのです。

ワーカーの効果としては配置されたボードにあるカードを獲得することがほとんど。そしてそのカードがプレイヤーの能力を高めていく…つまり拡大再生産をしていくわけですね。

ワーカーは必ずこの場所から取ってホームボードのいずれかに配置する。

①アクションプロット
個人ボードに配置しているワーカーを働かせたい場所に配置する。これだけ!すぐに効果は発動しません。

配置するのはそれぞれのホームボードの四角のマス。

②アクション実行!
ワーカーの能力を起動するときが来たならばアクションを実行しましょう!すべてのワーカーの効果が起動します。

四角のマスのワーカーを右の丸のマスへ移動させてカードを獲得。国分寺の建設をしたり…
偉人の力を借りたり(知っている名前もチラホラ…!)
出家レース(!?)に参加したり

これらを一気にすべて起動するわけですが「じゃぁひたすらワーカーを配置しまくって最後に起動すりゃいいじゃん」と思わせられますよね?ね?
しかし、そうは問屋が卸さないのがこのpray of 聖武。カードや効果を得るためにはお金を払わなきゃいけないのです。寺社仏閣繁栄のためにはやはり金。世の安寧は金で買うのですよ。

お金の単位は文(もん)!青銅銭から金銭まであります。

プレイヤーはゲーム開始時に5文を持ってスタートします。ドミニオンよろしくお金でお金を購入することも可能。また正倉院から入手できるカードには使い捨てのお金になってくれるものもあります。

さて、手に入れたカードはマイ・グレイト・プレイヤーボードに置いて豊かさを他のプレイヤーに見せつけてやりましょう。購入につかったお金カードや入手した正倉院カードは捨て札へ。使用した正倉院カードはサプライの捨て札へ。

上段左3マスは偉人を、右2マスは国分寺を置いていきます。

③獲得/使用したカード、ワーカーの補充
「①アクションプロット」で配置するワーカーが無くなったり「②アクション実行」でカードが捨て札にある場合に、このアクションをして再びワーカーを配置したりアクションを実行する準備を整えます。
ただ、このとき手札に持てるカードの上限は8枚!

こんなにカードをゲットしたけど・・・
手札に持てるのはこれだけ。残りは捨て札のまま。

この流れを繰り返していくのが基本的な動きになります。ゲームは3ラウンドで構成されていて、どれだけ手番が回ってくるかはプレイヤーたちの手にゆだねられています。

「刻」マーカーが灯篭まで進んだら1ラウンドが終わる。ラウンドが進むごとにラウンドの長さが短くなるのは「NIPPON~明治維新~」から着想を得て作成したシステム。

どうすれば「刻」が進むのかといえば…

アクション実行後の〇のマスが埋まったり…
大仏造立の「1→」マスにワーカーを置いたり…
出家レース終盤のこれらの「1→」マスにワーカーを送ったり…

様々な場所に「刻」が進む要素が散りばめられています。例えばある種類(正倉院の宝物カードとかね!)のカードを獲得するアクションにみんなが集まるようなことにでもなれば、あっという間に「刻」が進んでしまうなんてことも簡単に起こりそうですね。起こります(経験談)。
ラウンドの終わりは「改元」と呼ばれ(かっくいー!)中間集計に移ります。中間集計では得点要素ももちろんありますが、災いが起こって出家したワーカーの数によってはマジョリティの点数争いに参加できなくなってしまうなんてことも…!

出家列に描かれた一・二・三の列にそのラウンドまで出家していないと…
大仏造立(マジョリティ争い)の点数がもらえない…!!!3ラウンド目の点数デカすぎじゃろ

中間集計で得られる得点はこの大仏造立のマジョリティとマイ・マーベラス・プレイヤーボードに建設した国分寺が生み出す勝利点です。国分寺は早めに建設できた方が得点できる回数がラウンド数分増えるわけですね。
3ラウンドをプレイしていく中で得点は得点ボードで管理します。点数の記録の仕方はカルカソンヌのシステムを踏襲。

※この点数はフィクションです

このゲームはプレイ内容こそある程度ゲーマーズゲームをプレイしたことがあるプレイヤーであれば難なくルールを理解してプレイできます。ではこのpray of 聖武はどんなところに面白さを感じるのか?…いや、ここまでの時点で面白いと感じてもらいたいんですけど…ただ!このゲームの本質は!チラッと見ただけじゃ感じられないユーロゲーム的インタラクション!!縮小再生産のジレンマ!!!そして徹底的に磨かれたゲームバランスにあるのです!!!!(個人的感想です)

4.ゲームの魅力

3つの魅力を余すところなくお伝えしましょう。

①インタラクション
先ほど紹介した「刻」システムがプレイヤーたちの中間集計に向けての準備を焦らせるわけですが、これは「ワーカー配置」と「アクション実行」を分けているからこそ生み出されたインタラクションなのです。「ワーカー補充」によって補充されるワーカーは使用していないワーカーが何体残っていようが上限の3体までです。つまりアクション効率としては3手でワーカーを配置、1手でアクション実行、1手でワーカー補充をするのが最善手なのは自明です。でも

「黄色のプレイヤーが私(青)の欲しい偉人カードを獲得するかもしれない…!」

だとか

「あと1体大仏造立に貢献されたら「刻」が進む…!(あと1回「刻」が進むと中間集計…)」

というようなことがあったりするわけですよ。つまりワーカーをもう1体配置してからアクションを実行したいのに先にやらないと…やられる!という気持ちになることが、そりゃもう多々あるのです。今はしゃがむのか?食らいついていくのか?真正面から殴り合うインタラクションではなく、盤面を作るプレイヤー同士が生み出すユーロゲーム特有のインタラクションを見事に表現していると思います。

②縮小再生産のジレンマ

このゲームにおける国分寺の建設は2つの意味を持って重要な役割を果たしています。1つは大きな得点源、そしてもう1つが上級の偉人カードを獲得するための条件達成です。

実は上段の偉人カードはカード左上にあるマークの数分の国分寺マークを所持している必要があるのだ!

この国分寺カードはマイ・グレイテスト・プレイヤーボード上段に2枚配置するスペースがあるのですが…

実はお金カードをプレイする場所にも置くことができるのだ!

3軒目以降の国分寺を建設することはメリットとデメリットがあります。

3枚目以降の国分寺カードはお金カードの上に置いていきます。

メリットは先ほど挙げた中間集計の得点源が増えることや上級偉人カードの獲得条件を達成することの他に、「国分寺に奉納する」という副次的効果があります。これは場にプレイしているお金カードの上に獲得した国分寺カードを置くことでそのお金カードに書かれた点数を得られるというもの。国分寺にお賽銭を投げているこの感覚。テーマをシステムに溶け込ませるように落とし込めていて感動しました。この奉納による点数も終盤の点数押上げに大きく貢献するので侮れません。

デメリットは上の画像のマイ・ワンダフル・プレイヤーボードを見てわかる通り、プレイできるお金のカード枚数が減ってしまうことです。

終盤に出家するときにはこんなにお金がかかるのに!プレイできるお金が減るなんて!

この摩訶不思議アドベンチャーのようなマイ・ファンタスティック・プレイヤーボードが生み出す縮小再生産システムにプレイヤーは頭を悩まされてしまいます。

③徹底的に磨かれたゲームバランス
コロナが始まった時期に製作が始まったpray of 聖武。作者であるつよしはこのゲームの構想からプロトタイプを作るまではほとんど時間がかからなかったと言っています。では完成までの数年を何に費やしたのか?答えは綾鷹…ではなくゲームバランスの調整だったようです。

ドミニオンを踏襲したお金システムも価格を何度も微調整しました。
出家ボードで獲得できるボーナスや大仏造立のマジョリティ得点も。
偉人カードのバランスブレイカー能力のバランスとりはイバラの道だったようです。

あちらをいじればこちらが軋んだ音を立て、こちらを修正すればまた別のところで不協和音が生じる…まるでピアノの調律師のように修正に修正を加えていって完成させたのがpray of 聖武なのです。

その結果、お金をジャンジャン稼いで効率よくプレイするといったようなオーソドックスな手筋以外のルートもしっかり勝ち筋になるようなゲームバランスにまで仕上がりました。いやホントこっちが金銭(5文)まで頑張って購入してるのに銅銭(2文)をちょろっと買ってプレイしていって負けるとかも当たり前のように起こるんですよ。どういうこっちゃ!!

5.こんな人におススメ!

最後にこのpray of 聖武があなたに合っているのかどうかを客観的にお伝えしてこの記事を終わりにしたいと思います。

硬派なユーロゲームが好き、リプレイしてゲームの骨の髄までしゃぶりつくしたい、重量級ゲームが好き、程よいインタラクションを楽しみたい、日本テーマで新たな体験をしたい
こんな思いをしている人は手に取って損はないゲームだと思います。

逆に言えば、一発逆転が起こるパーティー感があるわけではありませんし、1回遊んだだけでは何となく手番を効率的に進めたプレイヤーが勝って不完全燃焼で終わるかもしれません。最近の主流になりつつある箱庭系ゲームに近いかもしれませんがインタラクションは強めです。国分寺・偉人・正倉院の宝物それぞれのカードも同名のカードがあるので、アークノヴァやテラフォーミングマーズのようなカードバンバン引きゲーと違ってカードや金量のバランスをコントロールしながらシビアな1手1手を打つことを楽しむ内容になっています。

6.最後に

今回のゲムマ秋2022では重量級ゲームも多く見られるようになってきました。これはエッセンやジェンコンに肩を並べる程のイベントになって、より多くの重量級ゲームデザイナーが出現し始める兆候なのかもしれません。
コロナ禍も治まりつつある現世で、あなたも波乱の時代であった奈良時代に安寧の世を作り上げた聖武天皇の偉業を体験してみませんか。

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