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東京国立博物館 東洋館 ミュージアムツアー

◾️どんなイベント?

中国陶磁器の骨董品を少しだけ買ったことがあるのですが、そのときの骨董屋さんがインスタグラムで呼びかけたミュージアムツアーに参加してきました。と言っても大げさなイベントではなく、小声で話しながら一緒に館内を回りましょうというだけのことです。しかもこの日は参加者が私だけ、つまり骨董屋さんとマンツーマンのミュージアムツアーとなりました。

◾️仏像の来た道

東洋館の1階は、まず中国北朝から隋・唐の仏像の展示になっています。この頃の仏像の特徴は、すっきりした造形と口元の微かな微笑(アルカイックスマイル)で、これがまず素晴らしいのですが、仏像の周囲にある蓮弁文や唐草文も精緻で美しく、とても魅力的な仏像です。

菩薩頭部(中国山西省天龍山石窟第8窟)隋時代 584年
菩薩立像 北斉時代 552年

そして仏像のルーツ、ガンダーラ仏に代表されるインド・パキスタン・アフガニスタン北部の仏像が、2階にあります。ギリシャ彫刻に精悍さを加えたような、穏やかながらきりりとした顔立ちです。如来像もいいのですが、出家前の姿で表される菩薩像は、装身具や衣裳が実に素敵です。

菩薩交脚像(パキスタン)クシャーン朝 2〜3世紀

西域から中国北朝にやって来た仏像が、5階韓国コーナーにある、日本の飛鳥のものと同年代の菩薩半跏思惟像(朝日新聞デジタル2018年9月7日写真)までつながっていると聞いて、思いがけなく感動してしまいました。

◾️好きなもの① 北斉の三彩

白・緑・黄の三彩と言えば唐三彩ですが、古くは漢代から三彩の陶器があるそうです。北斉の三彩陶器は、仏像と同じくすっきりした造形で、壺もやや細長く伸びやかなシルエット、透明釉に垂らし込まれた緑釉と褐釉が縦に薄めの線を彩る上品な佇まいです(常盤山文庫 中国陶磁研究会会報3『北斉の陶磁』)。北斉の三彩は今回初めて知ったのですが、とても気に入りました。仏像・拓本に加えて好きなものが加わり、ますます北斉ファンになりました。

◾️好きなもの② 明の堆朱・堆黒

中国の堆朱・堆黒の最盛期は明代で、数年前に上海博物館でたまたま漆製品の企画展をやっていたときに盆や盒子などの素晴らしい展示品をたくさん見ましたが、今回目を引いたのは筆でした。筆の軸とキャップが堆朱・堆黒で装飾されていて、見事でした。

歳寒三友堆朱筆 明時代 16〜17世紀


◾️好きなもの③ 漢の画像石

墓に納められた漢代の画像石は、漢代ならではの古拙な線刻画がユニークですが、私が特に好きなのは車を引く馬の造形です。

画像石 西王母/馬車/狩猟(中国山東省晋陽山慈雲寺天王殿)後漢時代 1〜2世紀


◾️人と一緒に展示を見る楽しみ

誰かと一緒に話しながら展示を見ると、普段よりも時間をかけてじっくり見られ、新しい発見がありますね。今回は相手が中国陶磁器を専門にされる骨董屋さんでしたから、なおさらです。中国福建省・徳化窯の繊細で優美な造形の白磁などは、今回初めて意識して鑑賞しました。とても楽しいミュージアムツアーでした。

白磁瓜形水滴(中国・徳化窯)清時代 17〜18世紀

タイトル画像は「犀角山水人物杯」清時代 18世紀。サイの角の透かし彫りです。

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