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ジャンルレス工芸/加賀宝生のすべて 能面と能装束

金沢の国立工芸館にて、2022年9月16日~12月4日。

いろいろなジャンルの現代工芸を、つまみ食いのようにちょこちょこと見ることができました。工芸自体がジャンルレスなわけではなく、工芸展としてのありかたがジャンルレスなのですね。

東京の近代美術館からの分離・移転後、国立工芸館にはずっと行きたいと思っていました。建物は旧陸軍施設を移築・復元。シンプルで、華やかな雰囲気はありません。

鍋島焼の伝統を受け継ぐ今泉今右衛門、先代と当代の共演。

十三代今泉今右衛門「色鍋島薄墨石竹文鉢」
十四代今泉今右衛門「色絵雪花墨色墨はじき菊文花瓶」

見附正康さんは、私が以前から好きな陶芸家で、九谷焼の技巧である赤絵細描の作品を制作されています。

見附正康「無題」

澤谷由子さんも好きな作家さんで、イッチンという泥漿の絞り出しによる盛り上げ装飾を使われます。繊細、可憐な模様で人気がありますが、最新作ではイッチンかどうかぱっと見て分からないぐらいに細かい模様になっています。突き詰めていらっしゃいますね〜。

澤谷由子「露絲紡」


豊海健太さんは、この展覧会で初めて知った作家さん。卵殻貼りという漆の伝統技法で、幻想的なイメージを描かれます。

豊海健太「幽体10」

国立工芸館の後は、石川県立美術館「加賀宝生のすべて」(2022年9月17日~10月23日)へ。金沢は能楽も盛んな土地柄です。この展覧会では加賀藩前田家の能装束が勢揃い。幕末に作られたものが多いですが、意匠の巧みさや華やかさ、多彩さに圧倒されました。時間をかけて、一枚一枚じっくり見入ってしまいました。

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