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AIで小説の賞を取る試み

ヘッダ画像は小説をもとにAIに書いてもらったもの。

さて、note記事のタイトルどおりに考えれば「AIに書いてもらった小説で賞を取るということか」と予想されると思うのですが、AIに小説を書いてもらうことに興味はない、というか、学術的な興味関心以外に意味はなさそうじゃないですか。AIに小説を書いてもらうことのメリットがあるかといえば「人間より速く書ける」点はそうかなと思います。でも、いま(特に紙の)本が売れなくなっている一方、作家とか作品の数はどんどん増えているわけで、「速く書けた」からといって社会的な課題を解決できるとは思えない。結句、オートメーションの先例のおおくがそうであるとおり、「機械と人間が協調して作業をする」のが効率的な最適解であって、執筆も例外ではないと思います。

つまり「AIの助けを借りて小説を書く」ことで、賞を取ろうと思い立ちました。

AIへのプロンプトをいろいろ試してみました。単に批評してもらうこともあるのですが、けっこう褒め言葉が多いので、あまり参考にならない。ほか、印象的だった人物や、似てる作家を訊くこともあるのですが、ちょっと面白いとはいえ、推敲の役にはあまり立たない。

そこでひとつには「作品を100点満点で採点してください」というプロンプトを試してみました。こうすると数値化できるぶん客観視の解像度は高いし、フィードバックのなかには改善点も含まれるので、より高い点数を目指すという意味で改善の方向性も明確。ただよく言われるように「AIは間違える」ので、「複数回問い合わせをしてその平均を取る」やり方を試しました。毎回、ちょっと違う答えが返ってくる点がむしろ有利に働くし、むしろ毎回おなじ指摘をされる部分は真に弱いと言っていい。また、AIについてはChatGPTとClaudeとそれぞれ使用しました。アルゴリズムが違うシステムを併用することで、トータルの信頼度は上がる。私が送った賞はせいぜい400字詰原稿用紙30枚程度なので、どっちも使うことができます(もっと長くなると、Claudeしか使えません。Geminiはまだ試せてませんが、こっちも文字数は多いみたいなので、ちょっと興味ある)。

こうして指摘されたポイントを愚直に直していけば、当然点数としては増える。まだ「文章に冗長なところがある」指摘をもらっていますが、ピンとこないし、点数としてはだいぶ上がったので、そろそろ脱稿かなと思います。

あと、ちょっとアバンギャルドな試行として、「ウェブに上がっている過去の予選通過作と比べてもらい、どっちが優れているか教えてもらう」という手もあり得るかなと思います。昨今、最終候補作がウェブに上がってることも珍しくないので、その作品と比較してもらい、より優れているようであれば、当然いい結果が出ることが推測される。AIにデータを与えることは公開に近い形になるので、勝手に他人のデータを入れるのはマナー的にどうかなと思いますが(可能なら許可を取ったほうが誠実でしょう)、完全公開のデータであればAIでの評価による実害はないだろうとも思います。

AIの助けを借りてほぼほぼ脱稿したデータにつき、受賞確率は49%だそうです。予選のタームでいえば、3次選考まで通過する予想だそうです。どうなるかね。今後も執筆にはAIを活かそうと思っており、そのうえでこの結果が試金石になるだろうと睨んでいます。

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