リレー小説「100回継ぐこと」に参加したよ。

ステキブンゲイさんの企画です。
こちら。

100人で手紙形式でつないでいくリレー小説です。
1年がかりの大がかりな企画!
「面白そうなことやってるなあ」と見守ってはいたものの、自信がなかったので執筆での参加はしないつもりでした。
が、あと数人というところで執筆者が足りない旨の告知があったので、「多少でも力になれるなら」と、急遽申し出させていただきました。

とはいえ、ほんとに自信なかった。
まず文字数が400~800字。ふだん100枚以上の作品ばかり書いてて、およそこのぐらいの文字数で何を書いたらいいか、書けるのか見当つかない(というより、見当つかないからこそ100枚以上書いてる)。
さらに、言うまでもなくリレー小説なので、これまでの展開をしっかり踏まえておく必要がある。書く力だけでなく、読む力が要求されるわけです。それも、終盤になればなるほど。私は(書く力もどうかと思うけど)とにかく読む力に自信がないので、しっかり汲み取った作品を書く自信がなかった。

そうは言っていても仕方ない、というか、申し込んでしまった以上、いいものを書かないといけない。

執筆者の募集があったのは第90話の時点で、シメは第100話だから、単純に計算すれば10名の枠がありました。「どこを割り当てられるのかなあ」と思ってたら、なんと指名いただけたのは第91話。すぐに書き始める必要があった。とはいえリレーを締める最終盤に比べればプレッシャーはまだ無かったかも。

このリレー小説は、監修の作道雄さんからある程度の指示をいただけます。私が請け負ったのはざっくりいえば、

「(ヒロインの)奈海に嘘をつかせてほしい」

というものでした。

けっこう悩んだ。いや、すぐに思いついたけれど、そんな嘘をつかせていいのかという迷いはあった。何度もこれまでのリレー小説を読み直して、およそ90人が大事に作ってきた物語というのは分かっていたし、私自身も主人公ふたり(巽と奈海)や、これまでの全ての執筆者に愛着がわいてきた。小説をこれまで書いてきて、あまりない体験でした。自分だけの作品であれば、究極的にはエゴイスティックになることができた。「読者は好きなようにしか読まないもの」と割り切ることもできた。でも、今回のリレー小説は違った。

迷いこそあったものの、おおむね思ったままに書きました。内容は、上記のリンクより第91話をよかったら読んでみてください。作道さんにいくつか修正案をいただいて、細部を手入れしたのち、脱稿でした。だいたい3日ぐらいだったかな?文量としてもそんなに長くないんだけど、これまでにない濃い体験でした。

「指示をいただいて書く」というのはおもしろい。できるだけそのとおりに、を意識して書くんだけど、それでも書けない、あるいは、書いてしまうことがある。それが自分の「作風」というものだとすれば、短いながら今まででいちばん「作風」の出た作品になったかもしれません。

とても貴重な体験でした。監修の作道雄さん、これまで執筆されてきた、あるいは執筆される100名の方々、読者のみなさま、ステキブンゲイの方々、ありがとうございました。

貴重な体験といえば、塚田浩司さんの書かれた記事も面白いので、読んでみてね。

このエッセイが気になって申し込んだようなものです。

むしろエッセイのなかでは塚田さんがいきなり全ボツを喰らってるので、けっこう怯えてたのも事実…。ただ私のときは、作道さんが非常に優しく接してくださったので、うんうん唸りながら書いたにせよ、楽しく執筆することができました。そのへんは相手によってどのぐらい詰めるか見極めてるのでしょう。となると、期待されてる塚田さんが羨ましかったりもします。

というわけで、「100回継ぐこと」はあと9回。どんな物語になるのか、巽と奈海の行く末は、そしてどんな執筆者が登場するのか、楽しみです。

これまでも、小説家のいぬじゅんさん(第1話)、ゆるキャラのだし○くん(第41話)、女優の白石優愛さん(第42話)、俳優の中村優一さん(第67話)、脚本家であり本企画の監修でもある作道雄さん(第75話)、坊っちゃん文学賞の塚田浩司さん(第88話)などなど、素敵な方々が書かれているので、よかったらこれまでの物語を振り返ってみてください。

第100話でステキブンゲイの代表であり言わずとしれた小説家の中村航さんが登場したりしないかなー、とか、楽しみにしたりしてます。

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