【インターン課題】なぜTikTokはおじさん達に違和感があるのか。

TikTokは今現在多くの若者に利用されている。
音楽に合わせて踊ったり、口パクをしたりの15秒ほどの動画がそれはもう数え切れないほどにTikTokに上がっている。何故これほどまでに流行ったのか?

何故若者達だけでこれだけ盛り上がりを見せていており、おじさん達はこれに嫌悪感を示すのか?最近ではsnsおじさんと呼ばれるようなsnsを活発に利用する中年層、高年層が見られるがTikTokではどうしてそいった人たちが見られないのか。それを考えてみた。


【1】そもそもTikTokがおじさんを受け付けないように出来ている

どうしておじさん達に受け付けられないのか。そうなってしまっているのではなく、そうやって出来ているのだ。つまり意図しておじさんたちを受け付けないように作られているので、どうやっておじさん達を受け付けないように作られているのかを考えた。

【2】snsにまつわる意識調査

おじさんと若者がそれぞれTikTok然り、snsをどのように見ているのか。若者たちとおじさんたちのその齟齬を利用してTikTokは若者だけの独自の文化圏を生み出しているのではないかと考えた。そこで実際におじさんたちにインタビューを行うわけだがどういった齟齬があるのか、2つの仮定を立て質問を考えた。

・おじさんはSNSをコミュニケーションツールとしてしか見ていない。
 若者はsnsを情報獲得ツールとしても見ている。

・おじさんはTikTokを動画投稿サイトとして見ている。
 若者はTikTokをsnsとして見ている。

この齟齬から生まれるのは、若者はTikTokを見て流行の服やダンスなどを学校の友達と共有するために情報獲得ツールとして見ているが、おじさんたちはTikTokを1人で見て楽しむような動画投稿サイトとして見ているためにただ見ていて面白くないという感情だけで特別何かを得られるものではないと思ってしまっているのではないかと考えた。

そこで、下のようなアンケート調査をおじさん5人とTikTokを利用する若者1人に行った。

1.動画投稿サイトについて

2.snsについて

3.TikTokについて

それぞれの項目で質問はオープンにかなり自由に答えてもらった。

解答例.1

そして、それぞれの項目についておじさんの行動や思考には以下のこういった偏りが見られた。


1.動画投稿サイトは主にyoutubeを見ており、自身の興味のある分野の専門性の高い動画を好んで見ている。

-もちろん全てのおじさんがというわけではなく、中にはネットサーフィンのように様々な動画を見ているおじさんもいる。しかし多くはバイクや剣道といった特に趣味に関係する動画から知識やためになる情報を得たいというのが目的であった。TikTokは15秒の短い動画である上にそのアーキテクチャの性質上興味がある分野ではないものを見せられたり、興味のある分野であっても15秒という短さから専門性が低く感じてしまいおじさん達が望む動画投稿サイトしての機能を果たしてないのではないかと考えた。


2.おじさんはsnsを「生存確認」のために利用する。

-どういうことか一見わからないであろうがつまり、おじさん達は現在実際に会うことの出来ない古い友人や知人とsns上で繋がりその人の定期的な投稿を見ることで、その人の近況を確認したりするのに利用しているのが見受けられた。
それを、とあるインタビュイーが「生存確認」と名付けて答えた。


3.おじさん達はTikTokは若者がやるもので、何が楽しいのか分からない。しかし、若者達が楽しんでいるのは理解が出来る。

-TikTokの認知率はおじさん達にも非常に高かったが、使ったことがあるという人は少なかった。それに加えて実際にTikTokで動画を見てもらっても何が楽しいか分からなかったと言う。中には面白いと言う人もいたが、シュールで馬鹿げているのは面白い。と言うようなどこか見下しているような、本質的にそれを楽しんでいないような発言も見受けられた。しかし中学生、高校生の頃にこんなアプリがあったら絶対ハマってただろうな。や、理解は出来る。と言った共感的な発言も見受けられたのでやはり、何かがおじさん達に対する予防線を張っているのであろう。



【3】意識調査の結果から分析

先の意識調査からおじさん達をどうやって寄せ付けないようにしているのかを考えた。

【広告による心象操作】

-自身の興味のある分野でなおかつ動画の専門性の高いものを見たいおじさん達はTikTok内にはそれがないだろうと思わされている。15秒と言う短さでは専門性は欠けるであろうとは思うが、それでもおじさん達が先に挙げた興味のある分野の動画(バイク、剣道)は投稿されている。また、インタビュイーの中でTikTokを使っていると答えたユーザーは「もともとyoutubeで可愛い赤ちゃんの動画を見ていた。友達にTikTokにもたくさん投稿されていると聞いて使い始めた」と言う人もおり、あらかじめTikTokに自身の興味がある分野の動画があると知っていれば、ファーストタッチから利用機会もおじさん達にとってグッと高くなるのではないかと考えた。それを下の広告のようなおじさん達にとって興味のあるような分野の情報はないと心象操作をして予防線を張っているのだ。


youtubeのTikTok広告



【4】利用率で見るsns性質と、それを利用しておじさんを阻む

-ではおじさん達はどのようなsnsを使っているのか?Twitter、Facebook、Instagram、LINE、TikTokの5つのsnsの世代別のsns利用率を見ることで、その世代ごとのsns文化を見る。統計は、

Social media Lab 【無料でDL】2019年2月更新!12のソーシャルメディア最新動向データまとめ (https://gaiax-socialmedialab.jp/post-30833/)

Impress BUSINESSMEDIA 中1の女子のTikTok利用率は驚異の53%,動画を投稿するのは「目立ちたいから」ではない?ー「LINEリサーチ」を使って若年層の”生の声”を聞いてみた(https://webtan.impress.co.jp/e/2019/02/07/31649)?

MMD研究所 「TikTok」の認知度は38.2%、利用率は5.8%(https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1726.html)



を参考にした。


1.LINE
若年層を中心に各年代で高い利用率である。年代が高くなるにつれて徐々に利用率が下がるものの、5割を切らない高水準だ。snsさながらのコミュニケーションツールであるが、メールに取って代わった連絡用のツールとしての役割も果たしているのが原因か。


2.Twitter
LINEと同様に若年層を中心に高い利用率であるが、高年代にかけての減少率がLINEより大きい。

3.Instagram
上の2つと変わらないが、全体的な利用率が若干低くなっている。20代からすでに利用率が50%を割ってしまっている。

3.Facebook
他と違い折れ線グラフが山なりになっている。全体的な利用率を見ると他と比べて低く見られるが、20代からはかなり横ばいな数値になっている。

5.TikTok
10代に至ってもかなり利用率が低いが後述。


そして、各世代ごとに使用率が30%を超えるsnsを図にまとめた。


TikTokがどこにも見当たらない。しかし、上の統計では10代は18歳以上となっていた。これとは別に中高生で統計を取り加えてみると...


TikTokの10代の利用率が30%を超えるようになる。このことからTikTokの利用は10代でも特に前半が利用していることが分かる。


もう一度グラフを見てみると、Facebookは若者よりもおじさんの方が利用率が高いことが分かる。数値だけを見ればおじさん達もFacebookよりTwitterの方が利用率は高いので、おじさん達に人気ということでなはく若者に不人気という言い方もできるだろう。ではなぜFaecbookは若者達の利用率よりおじさん達の利用率の方が高いのだろうか?実際にFacebookを私が使用してみた。

実際に利用してみておじさん達に人気の理由が分かった。先に話した「生存確認」がまずFacebookにユーザー登録をしてすぐに訪れた。電話帳登録から知り合いを自動検索してくれて、今はもう連絡を取ることのなくなった石丸くんがそこには表示された。看護大学に行ったことなどつゆも知らなかった。高校卒業から会うことのなかった石丸くんなのだが卒業大学から現住所まで知ることができて少し感傷に浸り、20代から利用率が上がるのがよく分かった(私も20代)。おじさん達にはもっと良いものなのだろう、おじさん達のsnsに求めるニーズがここにはあるのだから。むしろ若者(10代)達にとっては今Facebookを通じなくても知ることの出来る情報であったり(まだ学校や地元などで出会う事が出来るから)、会話だったりをここでするのは退屈なのであろう。これもまた10代の利用率の低いことも理解できた。


その観点で相対的にTikTokはどうであるか。見てみた。

TikTokではアプリを起動してすぐにTikTokのお勧めする動画やユーザーが表示される。突然知らない人と出会わされるのだ。私はこれが不快だった。しかし、若者たちはおじさん達とは反対にsns上で今会えない知らない人とsns上で出会うようだ。どういうことか?若者はsns上で有名なインフルエンサーの投稿を閲覧(流行、情報の獲得)したり、匿名(ハンドルネーム)の相手とコメントをしたりするのが主な使い方なのだ。実際に出会うことの叶わない、面識のない相手とsns上で出会うのだ。確かに、先にも述べたがまだ知り合いが身近にいる中高生にとってsns上で出会いたいのはそういった人たちなのだろう。なのだから、TikTokは起動と同時にTwitterのようにそのアカウントがフォローすることによって作られたタイムライン(コミュニティ)が表示されるのでなく、おすすめのユーザーを表示することで出会いを提供しているのだ。それがおじさんにとっては苦痛なのだ。
つまりここまで分析をして、


・おじさんはsnsで今会えない、知っている人と出会う。

・若者はsnsで今会えない、しらない人と出会う。


という齟齬がある事が分かった。
ここで、「今会える」と「今会えない」、「知り合いの人」と「知らない人」の四象限で表を作ることができることに気づく。
上にあげたFacebookは今会えない、知り合いの人と出会うsnsでTikTokは今会えない、知らない人と出会うアプリと言った。
では今会える、知らない人と出会うアプリと今会える、知っている人と出会うアプリとは一体何か。


上図のようになると考えた。LINEは現在も交友のある人と、何か予定を決めたりと連絡ツールとして用いられる性質上これに当てはまる。
また、マッチングアプリも全く知らない人とsns上で知り合い、それから現実で実際に出会うというところから「今会える」、「知らない人」と出会うアプリなのだ。
そしてあらかた出たsnsを四象限の2軸に主観ではあるがsnsを当てはめてみる。



このような分布になる。先のアプリの利用率から見てもおじさんが使うアプリと若者が使うアプリは両極の位置にあることがよく分かる。


【5】若者の投稿モチベーション

さらに動画を見るだけに限らず、投稿に対するモチベーションもおじさん達には多いな弊害となっている。

【若者達はごっこ遊びをしている】

利用率図の時に述べたが若者と言っても利用者の大きな割合は中高生である。現に私が車の免許合宿の時に若い女の子男の子にインタビューをしたがTikTokを利用している人は見つからなかった。18歳を超えるとかなり利用率が下がるようだ。


では若者(特に中学生)達はなぜこれだけの利用率を誇るのか。それはTikTokを使ったごっこ遊びをしているのだ。インフルエンサーである有名人(タレントないしはyotuberなど)の大学生〜20代半ばまでの大人の女性や男性に憧れてそれを真似しているのだ。今ではyoutuberに憧れてyoutubeに動画を投稿してしまうyoutuberキッズなる蔑称の小学生達もいるほど、メディアを使ったごっこ遊びは当たり前にされている(ネットデリカシー的にどうかと思うが)。それをTikTokは手助けする機能を持ち合わせているのだ。

TikTokにはアプリの中に動画の編集機能がある。それもとても簡単に編集できるので、インフルエンサーである大人のお姉さんお兄さんの動画さながらの動画が自分たちの手だけで作れていると感じさせられてしまう。質の高いごっこ遊びがくり広げられているのだ。youtuberであると膨大な編集時間に加えて有料のadobeソフトを使った高度な技術のグリーンバックCGやテロップ挿入など、まるでさながらのレベルには到底及べない。その点TikTokは及んでいるのだ。行動の三原理と言われる 動機 + きっかけ + 能力 の能力にあたる部分を高めてあげることにより、投稿ハードルを下げているのだ。

動機は大人のお姉さんお兄さん(インフルエンサー)への憧れ、きっかけは友達に誘われたからの程度で十分なのだ。それに対しておじさん達は能力というのは機材を揃えるだけの財力や技術はそれなりにあるであろうが、動機やきっかけが全くないのだ。ましてやTikoTokに関しては動機などおじさん達から見たら若者である大学生〜20代半ばのインフルエンサー達に到底憧れるはずがない。【3】で話した通りに広告などでおじさん達の動機を奪っているのだ。


【6】おじさん達のためのsnsを考える

ここまでなぜおじさん達にTikTokは違和感があるのか、どう言った手法でTikTokはおじさん達を受け付けないようにしていたるのかを考えてきたが、裏を返せばおじさん達のためだけのsnsを考えられるのではないか。そこで私はおじさん向けのsnsを考えた。

1.電話番号情報から知り合い同士であろうコミュニティを作成する

今会うことのできない知り合いとコミュニティで繋がるようにしてあげるのだ。このsnsの中には知らない人は一切いない。また、そのコミュニティごとに投稿する内容を変えればいい。
また、おじさんにはアカウント切り替えという概念が少し難しいようで見る人たちからは知りたくもない情報を拡散しているということに気づけていないという声が若者達の中であるようだ。なのでアカウント切り替えではなく、今参加しているコミュニティを明確にしてあげることでつぶやきや発信を誰に伝えているかを分かりやすくする。

アイデアイメージ1



2.インフルエンサーに吉川晃司を抜擢する

インタビューの中でおじさん達が「理解はできる」と言っていたことから、ごっこ遊びのようなものへの理解はあると考えた。なのでおじさん達も実はごっこ遊びがしたいのではないかと思い、その憧れを完全に私の主観ではあるがかっこいいおじさん代表の吉川晃司さんに頼む。
他にも経営分野で堀江貴文さんなどが仕事や経済について専門分野にまつわる知識や解釈を例えばnoteのように発信する。そう言ったインフルエンサーの利用によっておじさん達が動機づけられ、何かがきっかけとなり自身の見地をインフルエンサーのように他の人に共有してもらいたいと利用してもらうのだ。
また広告ではあらかじめ少し具体的に様々な分野や情報が専門性が高く載っていることを周知するような広告にすることで、おじさん達が欲しい情報があると認知させてファーストタッチを試みさせる。

アイデアイメージ2



このような要素を取り組んだ仕事について呟いたり、趣味について発信する新しいsnsがあればおじさん達もさながらのごっこ遊びをしながら「今会えない」、「知っている人」とsns上で盛り上がれよう。


【6】課題を終えての感想

実際に発表の時に様々の意見を頂き、特にメディア自体の差異について特に注目すべきだったと感じた。それは時代によるメディアの変化であったり動画と画像の違いであったり、それはTikTokやsnsといった観点だけでなく過去にはどういったメディアが使われていたかを調べるべきだったし、動画投稿サイトとしての認識があると仮定しているのであれば何が画像投稿サイトでそれにどのおような意識を持っているかを考えるべきであった。中でも「おじさん達のためのsns案はmixiに似ている」と言われた時には驚いた。おじさん達にとってはもっと昔からあったものと今のものが違うから「馴染まない」という感覚的なところもあったのであろうか。考えさせられた。


最後に、これからもsnsが生まれ埋めれ続けていく中で10年後20年後のおじさん達はどういったsnsを利用しているのか、私自身が何を利用して何を楽しみにしているのか、楽しみである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?