マニュアル作成初心者向け・おすすめ書籍案内(第10弾・「読ませる自分史の書き方」工藤美代子・著)

マーケティング系書籍を10冊、自分史ライター用マニュアル作成のためにマニュアル系書籍と自分史の書き方に関する書籍を10冊、合計20冊の本を読んで、自分用に内容をまとめる作業も、ついにこの本で最後となる。いやー、頑張った! 常日頃は流れに身を任せて生きる私にも、たまにはきっちり計画を立てて取り組むのも悪くないと思わせてくれる取り組みだった。

そもそもこんなことを始めようと思ったのは、とある講演会で「現代人にとって一番学ぶ価値がある学問をひとつだけあげるなら、それは『マーケティング』だ」という話を聞いたためだ。そして同時に私は自分史作成サービスをビジネス化し、自分史ライターを養成する講座もひらくために「自分史ライター」という仕事のマニュアル化も必要としていた。そんなわけで、まずはこのふたつについて基礎知識を頭に入れようとしたのである(もちろん自分史ライターに関しては私も10年の経験があり、それなりの知識やノウハウはあった。だが、今回の取り組みで得るところも多い。井の中のカワズ、大海を知らずではダメなのだ)。

というわけで、この本のレポートが終わったらいよいよ6月。ここまで学んだ知識をもとにマーケティングプランを作り、同時にマニュアルも完成させていく。そしてそれらの成果をもとにマーケティングや自分史ライター養成を実験的に行なっていく(ただし、本格的なスタートは2022年からだ。2020年と2021年は私にとって新しいことを始めるタイミングではない)。

それでは、いよいよ最後の本の紹介に入っていこう!
(正直にいうと、私のこれらのレポートは紹介ではなく、あくまで自分のための読書メモだ。本のなかの自分に役立つノウハウ部分だけを抜き出しているのだから)。

第1章 人生を書き残そう

・自分史を書く意味はいくつもあるが、「自分史作成サービス」を利用するお客さまに限っていえば、目的はただひとつ。自分の人生を記録として子どもや孫、ひ孫に残すことだ。その人の人生は他人はいざ知らず、後の世を生きる子孫にとってはたいへん貴重な記録なのである

・本の形になっていればその人の人生の記録は散逸しにくくなり、子孫へ引き継がれていく可能性が高くなる。

第2章 書き上げるための7つのコツ

・自分史を書くにあたっては時系列で書くのが基本だが、プラス「柱」を意識して書くとよい。柱とは「趣味、仕事、家族」など。各時代ごとにエピソードを書きつつ、その時代の柱に触れていくのだ。そうすると柱で章を立てなくとも、縦糸と横糸が絡み合うように、柱のことがくっきりと浮き彫りになる。

・面白い自分史にするには、「初めての経験」を書くことが効果的。

第3章 読ませるための五つのポイント

・自慢話を禁ずる。

・苦労話も気をつけなければ自慢話めいて聞こえてしまう。

・自慢話、特に若い頃のモテ自慢と受け取られかねない部分は削除。

・自分史において男は「モテ自慢」、女は「若い頃は綺麗だった自慢」に注意。

・家柄自慢も注意。

・厳しい状況を乗り越えたプロセスは詳細に書くべきだが、その結果の成功やその後についてはサラリと事実を書くくらいに留める。特に経済的に裕福になったとか、どれだけ他人が自分を尊敬するようになったかなどを書くのは厳禁。

・苦労話や失敗談、見に降りかかった不幸も度を越すと自慢になる。淡々と事実に語らせることが大切。

・自分史を復讐のツールにしてはダメ。自分史に恨み辛みを込めてそれをぶつけると、著者の醜さが際立ち、読んでいても面白くない。

・「残念、執念、怨念」は必要な場合のみ、さっぱり爽やかに書く。

・感情を極力抑え、事実だけを淡々と書くのが大切。「かわいそうな私」「つらかった」「悲しかった」と書く必要はなく、状況が辛く悲しいものならば読者にはちゃんと伝わる。

・闘病記でも、自己憐憫を排除するのが大切。自分の心を冷静に観察したり、病状をきちんと描写すること。事実が淡々と書かれたものの方が、読者に感動を呼び起こす。事実こそが最も雄弁。

・闘病記は同じ病気で苦しむ人にとって大変役立つ。プロセスが克明に記されているほど参考になり、病と闘う力になる。治療方法などの情報源にもなる。

・「私が〜」「僕が〜」とばかり書くのではなく、脇役を使って描写する。
(悪い例)自分は泣いてばかりいる子どもだった。
(良い例)母は私が大音量でなく子どもだったので、電車のなかでどれだけ困ったことだろう。いつも他の乗客に遠慮してぺこぺこ頭をさげ、謝っている姿を今も思い出す。

第4章 人生を斬る7つのキーワード

1. 出自
出自から人生を見直すと、今まで見えなかった自分の行動の意味が明らかになったり、説明できなかったことが腑に落ちたりする。自分の体験談に厚みが出て、自分史の世界がのびやかに広がる。

2. 時代
時代背景をしっかり書き込めば、自分史は一気に充実したものになる。時代を描くことで、著者の個人的な体験は「○○時代」を生きた一人の人間の証言となる。読者の興味を引き、説得力も増す。玉音放送、焼け野原からの復興、三億円強奪事件、大阪万博、三島由紀夫の割腹自殺、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、東日本大震災、リーマンショックなどなど。そのとき何歳で、どこにいて、何を感じたか。自分の周りの反応は。流行や世相(ミニスカートブーム、ヒッピーブームなど)で振り返るのも良い。面白い自分史を書くために、「主役(著者)」「脇役(周りの人)」さらに「舞台装置や小道具(時代)」を使う。

3. お金

4. 趣味

5. 宗教
どんなきっかけでその宗教を信じるようになったのか、何を宗教に求めたのか、どうやってその宗教を探り当てたのか、教祖様が示してくれた回答とはなんだったのか。それを自分史に書くことは今生きることに迷っている人たちの道しるべになる。

6. 恋愛

7. 秘密
「秘密」を誰も傷つけずに記録として残すためには、「これは同僚から聞いた話だが」とか「友人がこんな体験をしたそうだ」など他人の体験談として書けば良い。

・同じ表現を繰り返していないかをチェックする。「すごく、たいへん、ということ、……ものだ、優秀、有能」などは、よく使ってしまいがち。

・漢字が多すぎる文章は読みにくく、読者の読む気力を奪う。漢字で書く必要がない指示代名詞や副詞はなるべくひらがなにしよう。

・「私は〜」の連発を避ける。主語を他人にして自分のエピソードを語る。(もちろん一人称の場合の描写は、私の目の前で起きたことを書く。例:僕はお母さんと買い物に行きました→お母さんは僕を連れて買い物に行きました)

第5章 売れる自分史を作るために

・自分史作成サービス「わたしの物語」は自費出版を基本としているので、この部分は割愛。この章のテーマは要するに、いらないところはバッサリ切って読者が読みやすいようにしろ、ということ。

本書を読んだ所感

まあ、なんというかノウハウ本のわりには鬱陶しい経験談が多く、読むのがつらい本だった。もしくは単純に著者の語り口が気に入らなかっただけかもしれない(妙にクセがあるというのか……)。とはいえ、まったく参考にならなかったわけではなく、きちんと使えるノウハウは参考にしていきたい。

(終わり)

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