ものが捨てられない母

ちばてつやさんのひねもすのたりが発売された時、さすがに80過ぎたら満州引き揚げも懐かしいと思えるのかなとあげたんだけれど。こんな感じだった?どうだった?と聞くと、やっぱり言葉少なだった。でも、家の前に漬物やがあり、中国の人は集団で襲いに来るので、その漬物やの大きな樽の中に隠れてたんだとのこと。それから1年たってようやく日本に帰る、船に乗るってその時に妹が迷子になった。妹の名前を呼ぶことはできない、なぜなら日本人とばれたら大変なことになるって時に、ちょろちょろおらんなったのよ。お母ちゃんは見つからんかったら置いて帰るつもりだったと思うよ。私は長女だし、弟は跡取りだけど、妹はねと笑った。無事に妹(私のおば)も見つかり、船に乗った時には口の中にたくさんたくさん口内炎ができて痛くて大変だったんよ。逃げる前の日に、スケート靴買ってもらって楽しみにしてたのに、あれ履けなくて悲しかったわと母は笑ったのだった。そして、祖母は実家ではなく夫のいない嫁ぎ先に身を寄せたのでした。

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