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「生きることの不安」を問い直すー哲学者・古田徹也さんとのトークイベント(2020.1.30)

私たちの生活には大小さまざまな不安が存在します。そこには、職場で体型のことをからかわれるとか、隣の席のあの人となんとなく上手くいかないとかいった生活の中で生じる種々の違和感から、就職ができず生活が立ち行かなくなるかもしれないとか、病気がどんどん悪化してこのままだと死んでしまうかもしれないとかいった、人生の根幹を揺るがしうる恐怖まで様々なものが含まれます。 

私たちはそのような不安を、社会の中で賞賛を浴びることのできる体型を手に入れたり、人間関係を潤滑にするためのハウツー本を参照したり、疫学に基づくリスク管理を徹底して乗り切ろうとします。

しかし不安を乗り切るための様々な情報が情報が日々刷新され、似たようなものが形を変えて出続ける現実に目を向けるとき、私たちは、生きることの不安から逃れることの難しさを逆説的に実感します。私たちは科学の力を借り、かつてでは考えられないほどの安全な社会に住んでいますが、それでも生きることの不安を消すことはできないのです。

今秋発刊された、『急に具合が悪くなる』(晶文社)、『出逢いのあわい』(堀之内出版)『ダイエット幻想』(筑摩書房)、に通底するテーマの一つは、生きることを巡る不安です。

しかしこの3巻本で語られているのは、いかにして不安を消せるかではなく、あたかも不安を消せるかのように私たちに語りかけてくる情報への違和感です。

私たちは、生きることの不安を消すため、専門的な知識やエビデンスといった、一般的な観点から人間を語る言葉に信を寄せ、それに沿って生活を修正することで、生きることをめぐる不安を乗り切ろうとします。

しかし、そのような一般的な知見から少しずつずれた存在こそが私たちであるという圧倒的な事実が私たちの前に立ちはだかり、安定していたはずの今とその先に見据えられていた未来予想図を破壊することがあります。

それでも私たちは、そのどうしようもない生のあり様と向き合い、流れ行く日々と在らねばなりません。

新春第1弾の3巻本刊行記念は、代官山蔦屋書店にて『言葉の魂の哲学』でサントリー学芸賞を受賞され、また宮野真生子さんのご友人でもある哲学者の古田徹也さんをお招きし、生きることをめぐる不安について哲学と人類学の観点から語ります。

【開催詳細】
日時:2020年1月30日(木)19:00-21:00
場所:蔦屋書店1号館2階イベントスペース
共催:晶文社・筑摩書房・堀之内出版 

【チケット】
・書籍『急に具合が悪くなる』(晶文社・1,760円/税込)+イベント参加券(550円/税込)セット 2,310円(税込)
・書籍『ダイエット幻想』(筑摩書房・924円/税込)+イベント参加券(1,100円/税込)セット 2,024円(税込)
・書籍『出逢いのあわい』(堀之内出版・4,400円/税込)+イベント参加券(550円/税込)セット 4,950円(税込)
・イベント参加券 1,600円(税込)

【お申込みはこちらから】
以下の方法でお申込みいただけます。
①代官山 蔦屋書店 店頭 (1号館1階 レジ)
②お電話 03-3770-2525 (人文フロア)
オンラインストア

【ご注意事項】
*参加券1枚でお一人様にご参加いただけます。
*イベント会場はイベント開始の15分前から入場可能です。
*当日の座席は、先着順でお座りいただきます。
*参加券の再発行・キャンセル・払い戻しはお受けできませんのでご了承くださいませ。
*止むを得ずイベントが中止、内容変更になる場合があります。

【プロフィール】
古田 徹也 (ふるた・てつや)
1979年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。新潟大学教育学部准教授、専修大学文学部准教授を経て、現職。専攻は現代哲学・倫理学。主な著書に、『不道徳的倫理学講義――人生にとって運とは何か』(ちくま新書、2019年)、『ウィトゲンシュタイン 論理哲学論考』(角川選書、2019年)、『言葉の魂の哲学』(講談社選書メチエ、2018年)、『それは私がしたことなのか――行為の哲学入門』(新曜社、2013年)ほか。第41回サントリー学芸賞受賞。

磯野 真穂 (いその・まほ)
1976年生まれ。国際医療福祉大学大学院准教授。早稲田大学人間科学部スポーツ科学科を卒業後、アスレチックトレーナーを目指しオレゴン州立大学に留学するものの、文化人類学との衝撃的な出会いにより専攻を変更。同大学大学院にて応用人類学の修士号を獲得後、2年間の派遣社員と塾講師生活を経て、早大で博士(文学)を取得し今に至る。主な著書に『なぜふつうに食べられないのかー拒食と過食の文化人類学』(春秋社、2015年)、『医療者が語る答えなき世界ーいのちの守り人の人類学』(ちくま新書、2017年)、『ダイエット幻想ーやせること、愛されること』(ちくまプリマー新書、2019年)、宮野真生子との共著に『急に具合が悪くなる』(晶文社、2019年)他がある。2016年立命館大学生存学研究センター生存学奨励賞、2017年 多文化間精神医学会若手奨励賞受賞

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