群雲

 やってらんねえ!

 「ロード行ってくるわ」と回れ右、校門に向かって走り出した俺を、「そうやって勝手ばかりするからだろ」とあいつらの声が追ってくる。知るか!

 試合に出られない。

 走り込みする気も失せて、ほど近い公園の坂を上りきった先で芝生に転がる。

 生憎の快晴。天を仰ぐと深い青が鏡のように、どんよりした気持ちを真っ直ぐ反射して返す。ギュッと目をつぶった。

 肌寒さに目が覚めた。いつの間にか打ち寄せた雲の隊列が、傾き始めた太陽の光を濃く薄く波立たせている。見とれているとまだぼんやりした意識に「調和」という文字が浮かぶ。

 いやいやいやいや。

 頭をブンブン振って立ち上がる。十把一絡げの奴らと一緒に流されてってどうする!坂を駆け下りながら宙に散りかけた悔しさをかき集めて再生する。

 羊共め。追い込んでくれるわ。

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