序曲

 昨夜は熊野の祖母の家からも見えたそうだ。全天で笙の音が響くがごとき光景に地面も鳴動しているようだったと画像を送ってくれたのだけれど、空が赤っぽく写っているだけで残念ながら笙うんぬんは伝わってこなかった。

 東京で観測されるようになってから半月経ち報道も下火になったが、オーロラの南下は続いている。早く見たいねーと屈託無い娘を、これこれまだ若いのだからもっと地球の行く末心配しなさいよと窘めつつ、天気予報に加わった電波障害予報のチェックはもはや朝の習慣である。

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