少女、銀河を作る

 宇宙を抱えて生まれてきたから、そこで銀河が育つのは必然だった。ベビーベッドの上空やベビーカーを流れゆくものものと共に銀河はあり、集まり輝き膨らむ星々と彼女は親しんだ。
 言葉が遅かったのはそのせいだ。彼女は困惑した。言葉には銀河の構成とは違う力が働いていた。言葉に根を下ろした世界が鮮やかになるにつれ、星団は疎らになった。

 いまや彼女を構成するのは言葉だ。言葉を抜きに世界は無い。そのことに異議は無い。豊かで美しい世界だ。けれど、彼女は空っぽの宇宙も抱えていて、下手くそなCGみたいな銀河を作っては壊している。諦めずに空間をなぞって、色んな場所にヒントを探る。うまくいっても現れるのは以前とは全く違う銀河かもしれないが、それならその方が面白いと思いながら。

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