クスクスの謎
「あっ、また!」
最近よく俺の頭に書き文字のクスクスが付いているのだ。それを幼馴染のさな子が見つけては指でつまみ取る。
「髪が細くてフワフワだから、絡まって外しにくいったら」
見目形は俺の責任ではない。一応少女マンガのモテ役だ。仕方なかろう。
「ワザとだ。誰かが先回りして置いてってるんだよ。」
さな子は面白くもなさそうにつまんだクスクスをためつすがめつしてそう言い放つ。
「根拠は?」
「クスクスを頭にくっつけてる馬鹿はあんただけ。」
「置いたところで俺が引っかからなかったら?」
「前のコマにはそれこそいっぱい残ってるのかも。」
「動機は?」
「心あたり無いの?」
「むやみに笑われる覚えは無い。」
「そうじゃなくて」
「ガギンッ!やドゴッ!が降ってくるわけでもないし、まあ大丈夫だろう。」
「そうじゃなくて!」
ガギンッ!やドゴッ!を降らせかねないくらいに不機嫌になりつつあるさな子がうっちゃったクスクスを、隙を見て拾い上げ畳んでポケットにしまう。たかがクスクスが俄然気になってきたではないか。
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