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つみろんNo.51【発作性心房細動における初期治療としてのラジオ波アブレーション】

発作性心房細動における初期治療としてのラジオ波アブレーション

Radiofrequency Ablation as Initial Therapy in Paroxysmal Atrial Fibrillation

PMID: 23094720

【研究が行われた背景】
発作性心房細動患者に対する初期治療として、ラジオ波カテーテルアブレーションと抗不整脈薬治療を比較したデータが限られていたため、この研究が行われた。

【研究デザイン】
多施設ランダム化比較試験

【研究の方法】
P: 発作性心房細動患者294名(抗不整脈薬未使用)
I: ラジオ波カテーテルアブレーション
C: 抗不整脈薬治療
O: 主要評価項目:累積および各来院時の心房細動負荷(ホルター心電図での心房細動時間の割合)

【研究結果】
一次アウトカム:
2年間の累積心房細動負荷に有意差なし(アブレーション群13%、薬物療法群19%、p=0.10)

その他のアウトカム:

  • 24ヶ月時点で心房細動負荷がアブレーション群で有意に低下(9% vs 18%、p=0.007)

  • 24ヶ月時点で心房細動なしの患者割合:アブレーション群85%、薬物療法群71%(p=0.004)
    NNT = 1 / (0.85 - 0.71) = 7.14

【重篤な有害事象】
アブレーション群:心タンポナーデ3例、手技関連脳卒中による死亡1例
薬物療法群:特記すべき重篤な有害事象なし

【研究のlimitation】

  • アブレーション手技の終点が現在の標準的アプローチと異なる

  • 比較的若年で基礎疾患の少ない患者が対象のため、結果を高齢者や持続性心房細動、重度の心疾患患者に外挿できない

  • アブレーション経験の異なる複数の施設で実施されたため、高度に専門化された単一施設の結果とは異なる可能性がある

【要約】
この研究では、発作性心房細動患者294名を対象に、初期治療としてラジオ波カテーテルアブレーションと抗不整脈薬治療を比較した。2年間の追跡調査の結果、累積心房細動負荷に有意差は見られなかったが、24ヶ月時点ではアブレーション群で心房細動負荷が低く、心房細動のない患者割合が高かった。ただし、アブレーション群では重篤な合併症(心タンポナーデ、死亡例)が報告された。結論として、発作性心房細動の初期治療としては、合併症リスクを考慮し、現行のガイドライン通り抗不整脈薬治療が推奨される。

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