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誰でも必ずなる、白内障の人はこんなに黄色い世界を見ているのです

5、6年前に白内障を発症して手術を行い、水晶体を交換しました。

白内障とは、目の水晶体という眼内レンズが、主に加齢によって白濁したり黄変したりして、フィルターが掛かったように見えたり、乱反射によって像が2重に見えたりする現象です。

水晶体は有機物でできていますから、加齢、すなわち時間経過によってどうしても濁りや変色が出ることは避けられません。必ず、誰でもそうなります。そのタイミングや程度に個人差があるだけです。

デジカメに例えれば、角膜はいわばレンズカバーで水晶体がレンズです。網膜は加増センサ、イメージセンサです
CC  https://commons.wikimedia.org/wiki/File:EYE_Pattern_diagram.svg


私も像が2重に見えることが多くなったので、最初は乱視かなあという程度の気持ちで眼科を受診したところ、先生に「典型的な加齢による白内障ですね」と診断されました。

なお、白内障と緑内障は全くの別物です。一般的には緑内障の方が失明の危険性が高いです。

白内障には治療という考えはほぼ無く、手術によって水晶体を人工レンズに交換をします。手術は目の表面の角膜にレーザーメスで切れ込みを入れて、そこから超音波で古い水晶体を粉砕し、それを吸引します。その後に折り畳めれた人工レンズを切れ込みから挿入します。人工レンズは目の中で開いて定位置に固定されます。レンズの位置が安定するまでに半年くらいはかかります。その間は若干ですが視力が変化していきます。

水晶体を粉砕とか書くとものすごく怖い気がしますが、やってみれば痛くも痒くもなく、手術自体は15分くらいであっという間に終わります。手術後30分くらいでもう家に帰るように言われます。もちろん一定期間は角膜の傷口から細菌が入らないようにするために、入浴や洗顔に規制があるなどはしますが、手術という視点から見たらあっという間です。

最初の左目の手術直後の様子です。無駄に渋い顔していますがこれはネタです(笑)

手術には痛みは全くありません。最初に頭を固定して、目薬で麻酔をかけます。次に目を大きく開くような器具を装着します。ここまで5分ほどでしょうか。レーザー光線を照射する機械が目の前にやってきて手術が始まります。特に赤い光とかは見えなかったですが、作業の一部始終は全部見えています。視神経や網膜は正常動作しているからです。

古い水晶体を粉砕すると光は残りますが像がなくなります。これはカメラでレンズを外したときの見え方と全く同じです。ぼけぼけで何も見えず、光だけがわかります。

最後に人工レンズを入れます。これもほぼ一瞬ですね。中で開くのでそれでおしまいです。ここで視力が回復しますが、すぐに様々な消毒液類を点眼されるので、すぐに眼帯で視界を塞がれてしまうので、新しいレンズで見える世界を体験できる時間はほぼありませんでした。ここから1週間、眼帯は外さないので片眼の生活になります。


で、私がここでお伝えしておきたいのは、白内障手術の話ではなくて、新旧のレンズによる驚くべき見え方の違いです。

古い自前のレンズは黄色く濁っていて、新しい人工レンズはピッカピカです。ここで一番違うのは「色」なんです。

白内障は通常片眼だけ発症するということは少なく、両眼が同じような状態になります。そのため両眼ともに人口レンズに交換するのが普通です。その場合に、もちろん手術ですから完璧に100%成功するとは言い切れないので(失敗する確率は天文学的にめちゃくちゃ低いんですけど)、万一に備えて手術は片眼ずつ時間を開けてやります。大体1週間から10日です。同時にやると最悪両目を失明しますが、片眼だけでも活かすためです。いわゆるフェールセーフってやつです。

左右の手術に時間を開けるということは、片眼が終わってもう片眼の手術をするまでの暫くの間、新旧のレンズが混在する期間があります。このときに左右の見え方は本当にひっくり返るほど驚きました。

下にその時の色と明るさの違いを、同じ写真を加工変色して再現したものを並べて上げておきます。

新レンズ(人工レンズ)
旧レンズ(白内障になっている自分の水晶体)


これくらい違います。かなり茶色いサングラスをかけてるくらい違います。

ですがそんなことは本人は全く意識していなかったわけです。これはどういうことかと言うと、脳が黄色くなって見えている白いものを、これが白であると脳内補正しているんだそうです。カメラの世界で言う「ホワイトバランス」を取っているのです。なので本人は全く認識がないんですね。茶色なのにこれが白って脳内設定しているということです。

ここで人間の脳の偉大さを感じることもできますよね。ちゃんと辻褄を合わせてくれる。なんでもかんでも絶対値だけで生きていたら、おかしくなっちゃうんだなと思います。

白内障は早い人は30代から発症しているそうで、一方では90歳になっても自覚がない人もいるんだそうです。なおレーシックをされている方は眼内レンズを入れられないケースも有るようなので眼科医の先生にご相談ください。

私が手術をしたのはこちらです。家人のお友達のお兄さんです。名前で検索すれば筋金入りの名医であることがすぐわかります。


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