競争戦略論 中間テスト 5問
1チャンドラーの戦略論について、以下の問いに答えてください。
①複数製品戦略と事業部制組織が適合関係にある理由
②チャンドラーが導いた命題は何か
③チャンドラーが見逃した戦略と組織の関係とはいかなるものか
④フォードがT型車一辺倒の戦略に固執した理由
① 現場における迅速な意思決定や行動の実現が可能となる。また、本部は全社的な経営に集中可能となる。責任の所在を明確化できるためである。
② 組織は戦略に従う。
③ フォードの失敗のケースのように、製品開発能力(組織能力)をもつ革新的な戦力という関係を見逃しており、環境(顧客ニーズ)創造、能動的な環境適応について、見逃していた。
④ フォードはT型こそが理想のクルマであるという信念を持ち続けたため。なぜならそれが当時のフォードとしての経営戦略であったからである。新型車を求める声を無視し続けた。売れ行きが鈍ると、生産を効率化することで乗り切ろうとした。効率化自体が目的となってしまった。市場環境を見渡さず、顧客の需要を無視し、自らの成功体験のみが解決策であると思い込んでいた。
2規範的意思決定論とアンソフの戦略論について、以下の問いに答えてください。
①規範的意思決定論におけるリスクと不確実性の違い
②「部分的無知」と「制約された合理性」それぞれの意味
③拡大戦略とは何か
④多角化が企業の長期的成長には欠かせないとされる理由
① リスク状況における意思決定は、期待値(最大化)基準となる。他方、不確実性状況における意思決定は、ラプラス基準に従い、予想される環境がそれぞれ等しい確率で現れると考え、期待値を比べるものである。
② 「部分的無知」とは長期の将来にたいして意思決定者は完全に無知ではないが、かれらが利用できる情報はきわめて不完全であるとするもの
「制約された合理性」とは現実の意思決定者は決定にあたって、多くの能力上の制約を受けているとするもの。
③ 拡大戦略とは、内部評価の際に、設定された目的を達成すべく、現在の製品・市場分野で目的がどの程度まで達成可能かを検討するものである。
④ 外部評価される際には、拡大機械よりも収益性の高い多角化の機会があるかを評価される。多角化の成否はシナジー(旧製品・市場と新製品・市場との相乗効果)の大きさいよって左右されるものである。成長ベクトル:自社が成長のために選択する方向が重要と言われている。
3アベグレン+BCGの戦略論について、以下の問いに答えてください。
①事業の将来性と実績を評価する指標はそれぞれ何か
②「金のなる木」が生み出す余剰資金を「スター(花形)」に振り向ける理由
③バランスのとれたポートフォリオとはいかなるものか
④「健全な赤字事業」の意味
① 当該製品の市場における競争上の地位(相対的市場シェア→自社シェア/自社以外の最大シェア) 及び 当該製品の市場魅力度(市場成長率)
② 金の生る木から生み出した利益を、次のスター(花形)に振り分けることによって、早期に花形を金の生る木に移行させることで、さらなる利益を生み出すことが可能となる。
③ 市場成長率及び相対的マーケットシェアを2軸とするマトリックスにおいて、どの象限にもバランスよく事業規模及び数が分散されている状況をいう。
④ 事業を成長させるためには、常にあたらしいことをやらなければいけない、つまり投資する事業が必要となる。そこで、新しい成長曲線を作るために先行投資をすることで赤字が生まれる。このことを「健全な赤字事業」という。
4ピーターズ&ウォーターマンのエクセレント・カンパニー論について、以下の問いに答えてください。
①ECの卓越した二つの能力とは何か
②ECの社員が失敗を恐れず新しいことに積極果敢にチャレンジする理由
③「単純な組織・小さな本社」とは何か。なぜそれがECの強さにつながるのか。
④企業文化の意味と意義
① イノベーション(製品開発)能力及び変化対応能力
② 自主性と起業家精神がECには求められ、実践的なリスクを冒すことを奨励し、「意味のある」失敗を支援している。
③ 「単純な組織・小さな本社」とは、フラットでシンプルな構造、現場の自主性を重んじるものとされる。企業はおおきくなるとともに複雑さを増す。組織の中で各単位が本当にまとまった動きをしようと思ったら、全体をかなり単純化しておく必要がある。
基本的な構造を単純にしておくことによって、実際に組織の柔軟性が助長される。これはつまり、基本的な形態が単純明快なので、基礎をなす構造をこわすことなしに、誰しもが柔軟な応用動作をとることができるからであろう。超優良企業の単純な構造形態は、少数のスタッフであり、スタッフの数が少ないことである。習慣打破、起業家精神、安定性の三つの三本柱を目指すことが可能な形態となる。
④ 意味:価値観に基づく実践
意義:基軸(価値観)から離れない、コングロマリットの否定につなげる
5ポーターの市場ポジショニング論とコーペティション論について、以下の問いに答えてください。
①ファイブフォースモデルについて説明したうえで、ファイブフォースを使って業界の魅力度(収益性)が最大になる条件について明らかにしてください。
②コーペティション論が指摘したファイブフォースモデルの問題点について説明してください。
① ファイブフォースモデルとは、(1)業界内の既存企業間の競争が激しくないほど、(2)新規参入の脅威が小さいほど、(3)代替品の脅威が小さいほど、(4)買い手の交渉力が弱いほど、(5)売り手の交渉力が弱いほど、収益性が高くなるという結論である。つまり、収益性が最大になる条件は、(1)から(5)を最大化することである。
② 企業間の「競争」のみならず、企業同士の「協力」も重視
当該業界の製品の補完財の供給者(補完的企業)が考慮されていない。また、競合企業の取られ方が限定的であるという2点である。
補完的企業として、コンピューター業界やゲーム業界のハードウェアメーカーに対するソフトウェアメーカー
競合企業の例として、自社製品の価値を低下させる製品の供給者の例となり、インテル(IT部門)と航空会社の同部門の事業活動を通じたビデオ会議システムの普及→航空機を使った出張の減少→航空会社にとってインテルは脅威を与える競合企業となる。