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問題3:シックハウス症候群と化学物質過敏症についてのべよ。

問題3:シックハウス症候群と化学物質過敏症についてのべよ。
1 シックハウス症候群
(1)シックハウス症候群とは
近年、住宅の高気密化などが進むに従って、建材等から発生する化学物質などによる室内空気汚染等と、それによる健康影響が指摘され、「シックハウス症候群」と呼ばれています。その症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など人によってさまざまです。

(2)シックハウス症候群の原因
住宅の高気密化・高断熱化などが進み、化学物質による空気汚染が起こりやすくなっているほか、湿度が高いと細菌、カビ、ダニが繁殖しやすくなります。それだけではなく、一般的な石油ストーブやガスストーブからも一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などの汚染物質が放出されます。たばこの煙にも有害な化学物質が含まれています。シックハウス症候群は、それらが原因で起こる症状です。

人に与える影響は個人差が大きく、同じ部屋にいるのに、まったく影響を受けない人もいれば、敏感に反応してしまう人もいます。

(3)主な防止対策
カビ・ダニ対策
対策としては、住宅環境、日常生活でカビ・ダニ発生の原因と思われる点を改善し、換気や掃除等により、効果的なカビ・ダニ対策を講じる必要があります。

化学物質対策
リフォームなどの前に、工務店や設計者と十分な話し合いを行い、自分の希望をしっかり伝えて材料選びを行うことが大切です。

多くの地方自治体(生活衛生担当部署や建築担当部署等)、保健所などにおいて、シックハウスに関する相談窓口が設けられているところがありますので、ご相談ください。
化学物質過敏症(MCS)とは

●ごく微量の化学物質に反応して体調不良をおこす
●症状や度合いの個人差が大きい
●推定患者数1000万人


化学物質過敏症は、ごく微量の化学物質に反応して体調不良をおこす疾病です。発症のきっかけや症状、その度合いについて、個人差が大きいことが特徴です。厚生労働省の病名リストに登録されている疾病です。

この病について知る医療従事者は少なく、社会的認知度も低く、発症者の多くは「自覚なき患者」です。不適切な処置により体調を悪化させている人が多いと懸念されています。


化学物質過敏症が悪化すると、学校へ行くことも、働くことも困難になっていきます。肉体的苦痛はもちろんのこと、周囲の無理解による精神的苦痛、生活が破壊されていく恐怖、将来に対する不安感などは、筆舌に尽くしがたいものがあります。

化学物質過敏症を発症する人は加速度的に増えており、何らかの対策を講じなければ、社会が成り立たなくなってしまう恐れさえあります。


化学物質過敏症(MCS)の症状

化学物質過敏症(MCS)の症状は千差万別です。喘息やアレルギーなど、何らかの疾病を併発している発症者が多いこともわかっています。


◆ 疲れやすい 風邪をひきやすい 手足の冷え 発汗異常 めまい ふらつき ふるえ
◆ 頭痛 発熱 疲労感 光を眩しく感じる 味覚異常
◆ 結膜炎 目の痛み 目の疲れ まぶしい ピントがあわない 視力低下
◆ 鼻炎 鼻血 鼻の痛み 嗅覚過敏
◆ 喘息 気管支炎 のどの痛み 咽頭炎 気道の乾燥感 気道の閉塞感 呼吸困難
◆ 音に敏感 中耳炎
◆ 頭痛 思考力低下 記憶力低下 集中力低下 意欲低下 怒りやすい 攻撃的 落ち着きがない 興奮しやすい
◆ 睡眠障害 不安 うつ
◆ 四肢末端の知覚障害 運動機能障害 意識障害 関節痛 筋肉痛 筋力低下 起立性調節障害
◆ 生理不順 不正出血 月経前困難症 頻尿 乏尿 排尿困難 尿失禁 膀胱炎
◆ 動悸 不整脈 胸の痛み 高血圧
◆ 皮膚炎 蕁麻疹 自己免疫疾患 花粉症 発熱 リンパ節腫張 皮下出血
◆ 下痢 便秘 悪心 嘔吐 腹痛 食欲不振 過食

推定患者数1000万人の危機

医学者らによる疫学調査によって、化学物質不耐症(=化学物質過敏症)の有病率が、成人人口の7.5%であることが判明しています。(注1)

新潟県上越市が2010年7月に行った調査では、市内の小中学生の14,024名のうち1,734名(12.4%)の児童が、化学物質過敏症様の症状を呈していることがわかっています。(注2)

これらの数字を実数に直して足し合わせると、1,000万人以上となるのに対し、化学物質過敏症を診断できる病院は、国内に数院しかありません。

これは緊急事態といわざるをえません。

特に心配なのは、大人よりも子供の発症率が高いという点です。

化学物質過敏症があまり知られていない病であるために、「気のせい」と思われたり「精神疾患」と誤診されることで、症状を悪化させている人は相当数にのぼるとみられます。

この状況を放置し続けると、社会が成り立たなくなってしまう可能性さえあります。

推定患者数1000万人という事実を社会的危機ととらえ、化学物質過敏症を発症しても生きていける社会にしていくことが急務です

注1)Prevalence and Characteristics of Chemical Intolerance: A Japanese Population-Based Study, Archives of Environmental & Occupational Health, Volume 70, 2015 - Issue 6
注2)「児童・生徒(6~15才)の化学物質過敏症様症状に関するアンケート再調査」

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