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①ポバティー・インク ~あなたの寄付の不都合な真実~②女を修理する男③バベルの学校 ドキュメンタリー映画3作 感想

2限 10:20- ポバティー・インク ~あなたの寄付の不都合な真実~ 91分3限 12:50- 女を修理する男 112分4限  14:40- バベルの学校 89分※3限目の「女を修理する男」は講義時間を超過します。時間になりましたら各自で適宜、休憩に入られてください。

2022年2月4日レポート

<10:20- ポバティー・インク ~あなたの寄付の不都合な真実~ 91分>

慈善団体が太陽光パネルを無償で供与することで、その地域の太陽光パネル関連の事業者は、仕事を奪われ、事業性が低下してしまう。物品の無償供与の目的は、その地域社会への陰陽の影響までを考慮しているのかどうか、課題として提示されていた。太陽光事業者とすれば、パネル代が浮くので助かるが、そういう問題ではないということなのだろう。例えば、地方公共団体が、入札の参加資格を地域の企業に限定しているが、本来でいえば、完全なる公共性の観点から言えば、世界中の誰だって入札に参加できるようにするべきであるが、限定的な公共性を維持することがその地域の秩序を守るという、共生の仕組みなのだろう。このあたりの詭弁さが、ルールや法律で秩序を維持しようとする限界なのだろう。

 

また、ケニアでは、無償で送られる衣類により、地域の綿花産業が衰退していく状況についても描写されていた。日本でも、繊維産業が盛んであった時代があるが、国際化の波にのまれ、繊維産業は縮小独自路線で生き残っている程度である。ケニアに限ったことではなく、どの国でも起こりうる話である。現実は、競争社会である。

 

ハイチの孤児院では、両親が健在だが貧困の為、孤児院にあなたが優秀だから特別だからという口実で、預けられている現状が描写されていた。ところが、養子縁組を目的として、ハイチに住み込んでいる白人夫婦は、事業展開し今やプレンテーションの地主のように、現地でアクセサリービジネスを展開している。ハイチの貧困や格差社会に拍車をかけるエンジンのような働きをしているといえ、現地の安い労働力を使い、かれらの成長意欲を巧みに使っているといえる。

 

貧困を利用したビジネスは、貧困という今そこにある問題が非常にわかりやすいために、強烈な需要があるといえ、今後も拡大していくだろう。また、貧困であることを救う勢力もいれば、貧困が儲かるため、貧困を拡大させようとする勢力だって現れてくるだろう。

 

 

<12:50-女を修理する男 112分>

コンゴやルワンダでの戦争や内乱の発生理由ついては、そもそも武器商人が闇ルートで武器をアフリカに輸出している原因もあるだろう。根拠として、ビクトリア湖のナイルパーチを題材にした、「ダーウィンの悪夢」という映画を、異文化理解の授業で視聴したが、その中での描写の一つである。人としての尊厳を凌辱され、それが性的、肉体的なものであれ、非常に直接的に戦争はそれを奪っていく。これらは、戦争であれば、非常にわかりやすいが、程度の差はあれ、現代社会にもいたるところで潜んでいるのではないか。人間の生存本能や攻撃性に起因する本能的なものは、例えば、支配欲であったりするのだろう。

 アフリカを植民地支配しようとしたフランスは、言葉と宗教のインストールには成功した部分があるようであるが、中途半端なマネジメント能力で、その統治を放棄した結果、無秩序で混沌としたアフリカを作り出したという認識である。

 そもそも、アフリカにはキリスト教徒の概念はなかったとおもわれ、土着信仰などの地域の思想や信仰があったとおもわれる。この映画で視聴者を混乱させるのは、キリスト教により地域をまとめようとしている姿である。

 よくわからないが、キリスト教を世界に普及させることは、この映画で描写されている性暴力と何が違うのだろうか。彼らは、自分たちの宗教を普及させるために、その土地の人々の自尊心などを書き換えたのではないか。

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  <14:40- バベルの学校 89分>

 バベルというのはバベルの塔のことなのか。ウィキペディアによれば、ヘブライ語のbalalごちゃまぜということから、おそらく、ごちゃまぜの学校という意味だろう。

正確には「バベルの塔」という表現は聖書には現れず、「街とその塔(the city and its tower)」もしくは単に「街(the city)」と表される。バベル(𒁀𒀊𒅋𒌋)とはアッカド語では「神の門」を表す。一方聖書によると、ヘブライ語の「balal(ごちゃ混ぜ、混乱)」から来ているとされる。[1]

 視聴した印象から、移民・難民たちの子供たちがフランスのパリの適応クラスの中で、異文化、異宗教などの異質性の高い中で、ごちゃまぜになりながら、どのように成長していくかということを感じさせるドキュメンタリーであったので、そういう意図があるのだろうと推察される。

 宗教についての話しや、他の国の特徴など(例えば、中国人をつり眼のジェスチャーをして爬虫類だとする描写)、描写を通じて、的確にフランスが中国に対してどのような印象であるかということが示されている。このことからも、フランスという国は、多くのアフリカの国々の宗主国である立場を利用して、中途半端に開発をし続けてきたが、昨今では、中国の開発意欲と拡大がアフリカまで到達し、着実に身も心もアフリカに入り込もうとしている姿勢に対しする、素直な気持ちなのだろう。2013年にエチオピアのアジスアベバに旅行したが、その際にも中国系の企業がインフラ整備をしている印象を受け、中国語の工事看板などでアフリカ援助という名目で中華思想の拡大を着々と進めていた。

 フランス語については、2年間、大学の第二外国語でお勉強したことがあり、フランス語の映画を立て続けに2本見る中で、少し思い出した気がして、私も、フランスに加担している感じがして、変な気持ちになっている。また、旧ロシア圏の難民の子供が複数おり、ロシア語で歌手になりたい生徒が歌を披露していたのが印象に残っている。私はロシアには留学したこともあり、また、中東での生活もしたことあることから、アラビア語で会話する生徒などもおり、映画の趣旨とは異なるかもしれないが、語学番組としての興味深かった。

 日本の現状で多民族・多宗教の子供たちを一緒に教育するシステムがあるのかどうかよくわからないが、公共教育は教師不足など混乱が継続しており、自国の国民にもまともに教育をうけさせる余力がなくなっており、義務教育という国の根幹の柱が、腐れかかっている状況にあるといえるのではないか。フランスにおいては、戦略的に移民政策が進んでいることから、のほほんとしている日本とは違い、したたかにフランスという勢力の拡大に文化的教育的、言語拡大的も淡々と実施している印象を受けた。



多民族観・多宗教観について、他国の特徴等(例:中国人をつり目のジェスチャーで爬虫類)、描写を通じて、フランスの中国に対する印象が示されている。フランスは、多くのアフリカの国々の宗主国である立場を利用して、中途半端に開発をし続けてきたが、昨今では、中国の開発意欲とその拡大がアフリカまで到達し、着実に身も心もアフリカに入り込もうとしている姿勢に対する、素直な気持ちなのだろう。非常にわかりやすい。



[1] バベルの塔 - Wikipedia

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