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僕と海とシーカヤックと

海上散歩で全身の細胞覚醒

シーカヤックのシートに腰を落ち着け、スプレースカートをコーミングにセットする。この瞬間、僕の下半身はカヤックと一体化しパドルは腕となる。シートに触れるお尻から伝わる海の鼓動。このバイブレーションが電気のように全身に走る感覚。全身の細胞が目覚めるような不思議な感覚。

2021年5月、54歳にして初めて乗ったシーカヤック。「どうして今カヤック?」「なぜ始めたの?」「怖くない?」たくさんの人から異口同音に質問責めにあう。別に以前から憧れていたわけじゃないただなんとなく・・・。

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2年目に突入したコロナ禍ということもあったかもしれない。もともと旅が好き。キャンプのためのキャンプじゃなく、手段としてのキャンプをしたいという想いも漠然とあった。

そして、海に浮かんだ瞬間理由は明確になった。それは全身の細胞を流れる電気のように僕の思考ではなく体が教えてくれた『海に帰ってきたかったんだ』という感覚。海に帰るっておかしな表現かもしれない。父と母が出会い、母から生まれてきたのに。

原始の地球は46億年前に誕生したらしく、44億年前頃に海が生まれ蒸発や変化を繰り返し、海が安定して存在し始めたのは36億年前頃、そして初めての生物が海の底深くで誕生したという。まだ人間とは程遠い生物の誕生。まだ54年しか地球上で過ごしていない僕にとって、数十億年という果てしない年数は想像しても全くイメージできない。ただなんとなく、約60兆個あるという僕の細胞が、その中に存在するDNAが海の懐かしさと人間にとっての必要性を覚えているのかもしれない。なんてノスタルジックに思考を巡らせながらパドリングを繰り返す無心のようで無心でない心地良い時間。

このシーカヤックとの出会いや感激ストーリーは、いくらでも湧き上がってくるから長編化していこうと思う。僕と海とシーカヤックと、最後の「と」の後に続く関連話題も盛り込んで。

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