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ヨーロッパツアーのまとめ

2019年8月16日現在、僕は台湾にいる。アルカシルカとして二度目のヨーロッパツアーに出かけた帰りの乗り継ぎ国だ。

今回のツアーは昨年の9月に行ったヨーロッパツアーからの縁で決まったものだった。
丁度、昨年のツアーの様子を綴った箇条書きのメモを見つけたので載せておく。 ツアー中に簡潔に書いていたものなので、あまり易しい文章ではない。


【2018年一度目のツアー初日】

ウィーンのEKHでライブ、大盛り上がり。アンコール三回。
共演したバンドのカップルのまぐわい。二段ベッドの上段でそれは行われ、下段で寝るカメラマンこーへくんのベッドは揺れ、上からサイフや携帯電話やら色々な物が落ちてくる


【二日目】

レンタカーを借りる。運転手は僕だけ。左ハンドルと交通ルールに慣れないまま、時速160キロで車を走らせる。
二日先まで見通せるほどの地平線。

チェコはコリーンへ到着。 サポートバンド、二度目のまぐわい。アルカシルカが寝る部屋の真ん中で、さながら儀式のように行われる。
ナルトくんの足に当たりながらのピストン運動。


【三日目】

朝起きたら車駐禁切られる。
さらに突然ライブがキャンセルされ困っていると、昨日イベントを企画してくれたホンザが、チェコの広場で行われていたイベントにアルカシルカをねじ込んでくれる。


【四日目】

ドイツ、ドレスデンでライブ。300人規模のイベントと聞いていたが、人が少ない。
客が少なかったのは数日前にケンドリックという街で極右政党による観光客や移民、警察にも暴行を振る舞う大規模なデモが行われており、彼らを追い出すためにドレスデンのパンクスたちはその街へ戦いに行ってたため。

【五日目】

ドイツで最も危険と言われる街、ライプツィヒ。

警察も立ち寄らないらしい。

GPSを切らないと国にマークされるので切らないといけないと注意される。

街の中にはそこら中に1312と落書きがされている。

その意味はAll Cops Are Bastard!(全ての警察はクソヤロウ)という意味の「ACAB 」を表している。

街に住む住人のほとんどがパンクス。日本のアニメが好きな客も多い。17歳の子が家を飛び出して旅をしていた。

酒を飲んでライブ10秒前までステージの上で寝る。

バンドメンバーからヒドいライブだったと怒られる一方、何故かこれまでで一番握手を求められた。泣きながらハグされた謎。

【六日目】

ひと気の無い謎のスペースでのライブ。今日こそいよいよ出演者だけでのライブになるかと覚悟するが客がたくさん集まってきた。

一緒に回ってるfunパンクバンド3DAがどんどん良くなる。

グレゴルは一緒に回りすぎてドイツ人にも日本語で喋り始める。

僕はライブのMCでバレないと思って、日本語で好きな食べ物を叫んだら日本語聞き取れる人が結構いて笑われる。

主催の人の実家で泊まる。山の中。

【七日目】

朝起きたら、日本のスキンズやOi PUNKのCDやレコードをテーブルの上に出される。「もし、この中にファシズムやレイシズムを扇動するバンドが居たら教えてくれ」と言われる。

実はドイツにおいて、スキンズはイデオロギーを嫌うバンドがほとんど。多くがノンポリで、思想を二分化するのを嫌う。

右翼的なスキンズは現在田舎の方にしかおらず、かなりの極右で危険。

P8でライブ。4時間かけて移動。

ナルトくんが犬に振り回される。

【八日目】

スイス。二週間前に出来たばかりのスクゥオットでライブ。かなりの高級住宅街。近所の住民たちもライブに遊びに来ている。話を聞くとスクゥオットを好意的に受け入れている様子だった。

洗濯物を取り込もうとしたら、洗濯機室に入れなくなる。

【九日目】

一緒にツアーを回っていたカナダ人のノエミと犬のバブーとここでお別れ。

スクゥオットの住人トーマスが警察に職務質問。原因は犬をリードに繋げてないから。スイスの規則らしい。

Days n Dazeのジェフに遭遇。

コーヘイくんとグレゴルがケンカする。面白い。

【十日目】

ドイツからオーストリアでの国境で初めての職質。

3DA企画のイベントに出演。警察が来て緊迫したムードに。

ハイナという人物にフェスに誘われる。ベロベロに酔っ払っている。

【十一日目】

スロベニアで最後のライブ。

98%の日本人海外旅行者が行かない国とエリナちゃんが言っていた。

アオイ、亀甲縛りで宙に吊るし上げられる。

今日は何も起きないと思ってたのに3DA泊まるとこない

【十二日目】

メテルコバとROGに行く。

メテルコバは本来予定されていたライブが、放火により無くなったが、とても興味深い場所だったので、見学だけでもと行ってみた。

政治的な場所というよりは文化的な空間となっている。ラジオのインタビューを受ける。

【十三日目】

ウィーンのEKHに帰る。何故か我が家に帰ってきたような気分。

【最終日】

飛行機。

行きしの飛行機でシンが食事前にスチュワーデスに何が飲みたいか尋ねられウォーターと答えたところウォッカが出てくる。

食事をしながらウォッカを飲むことになったシンは反省を生かし、発音に気をつけワーラーと答えところ今度はコーラが出てくる。水を飲めない男。



ここまでがメモの記録。
そして、それから11ヶ月後。僕らはまたヨーロッパに来ている。
キッカケは、昨年のツアー時にべろべろに酔っ払いながらフェスに誘ってくれたハイナという人物から本当にオファーを貰えたから。
そして、今回も前回に続き、グレゴールという友人が各地のオーガナイザーに連絡を取ってくれツアーを企画してくれた。
先ほど載せたツアーのメモの要領で今回のツアーの様子も以下に記録しておく。


【2度目のEUツアー1日目】

飛行機でアオイたちの席の前の日本人が態度が悪かった様子。座席を倒した前の台湾の子どもの席をバンバン叩いて「狭くなる」と怒鳴っており、それに見かねて席を変わってあげたらしい。日本人としてあまりにみっともない。この人はこれからの長時間飛行、眠くなっても席を倒さずに過ごすつもりなのだろうか。

ウィーンに到着。空港からそのままスロベニアはリブリャナへ向かう。お気に入りの帽子を早速紛失。

物販を入れたキャリーケースが恐ろしく重い。
この日はライブは無し。

【2日目】

昨年、放火により焼け焦げてライブができなかったメテルコバのヤラヤラという会場が完全復活を遂げ、ここで一発目のライブ。嬉しい。

しかし、会場はめちゃくちゃ暑い。酸素不足。暑すぎて客も会場に出たり入ったりしていた。ライブ終わって外に出たら人が沢山居た。

【3日目】

クロアチアのプーラへ向かう。土砂降りで前が見えない。雷が至る所で 落ちている。ロールプレイングゲームで魔王の城にでも向かうかのような景色。

カメラマンのコウヘイくん雨でカメラがやられる。

会場に到着。パンクスの収容所みたいな場所。元兵舎で、牢屋とかもあってゲームのダンジョンみたいだった。

三日間のパンクフェスで、アルカシルカの出演は翌日。前回一緒にツアーを周った3DAと再会。一緒に遊ぶ。

【4日目】

海で泳ぐ。カヌー楽しい。
また、8メートルの崖から海にダイブした事もあり、高さの感覚がマヒをする。

海遊びが終わって、会場へ。

ライブ始まる。ギターの音が出ずセッティングに手こずったけど盛り上がった。

お客さんがカヌーを漕ぐような見た事ないダンスをしていた。

コウヘイくんのカメラは復活していた。

【5日目】

三日前に突然この日のライブがキャンセル。

クロアチアの首都、ザグレブにあるスクゥオットで泊めてもらう。

コウヘイくんサブカメラを落として壊す。

【6日目】

ザグレブで知り合ったカナダ人のGLと犬のスクィジーがツアーのお供になる。犬にもパスポートがある事を始めて知る。

目指すはセルビアのソンボル。

会場は自主スペースの庭。ライブも気持ちよかった。10代の子も多かった。

【7日目】

ファンジンのインタビューを受けた際に、日本の右傾化を心配される。

セルビアの首都ベオグラードへ。

旧ユーゴスラビア政権時代のティトー大統領の船で泊まる予定であったが、船の上は蚊が多いし、暑いので翌日会場のAKAB Okretnicaで泊まる事に。

ちなみに船上でコウヘイくんはカメラのマイクを落としたと同時に蹴り飛ばし、マイクはドナウの川底に沈められた。

【8日目】

AKAB Okretnicaの隣は警察官御用達のBAR。仕事中にパトカーで来て酒呑んでいた。ヤバい。
スロベニアで最初のライブの日に道であった人たちと偶然街で再会。彼らとはさらにセルビアでも再開する事になる。

主催のスカットは日本語が上手。18歳まで栃木県に住んでたらしい。

ヨーロッパのパンクスやアナキストは音楽以外に社会が良くなるような活動を行なっている事が多い。
AKAB Okretnicaはロマ民族(ジプシーとも呼ばれ欧州で迫害されている)の子どもたちが暴力や差別をされないように、安全に暮らせるような支援をしている。

【9日目】

この日はオフ。

バルカン音楽の世界最大規模の祭りグチャフェスティバルを観るため、セルビアの山村グチャへ向かう。

元々、バルカン音楽はジプシーがもたらしたもののため、ジプシーに対するリスペクトがあるものだと思っていたが、この祭りは、不思議なことにナショナリスト(国家主義者/民族主義者)の参加者が多いと言う。つまり、ロマ民族に対して差別的な感情を抱いている人が多い。

音楽は言うまでもなく素晴らしかったが、あらゆる矛盾が気になり、前日にAKABで聞いた話とも照らし合わせて、とても考えさせられたので、この事についてはまた次回にでも別で記事を書く。


【10日目】

前日に大きなテントを設営していたが、自分たちがハム肉のように燻製されてるんじゃないかと言うほど暑い。

メンバー全員の体力が削られ続けるので、祭りを後にし、最後のライブ会場へ向かう。

セルビアからオーストリアまでの道のりは長く、さらに国境が行列で移動だけだ半日以上かかる。

セルビアのハンバーグの肉がこれまで食べたことの無い食感。美味すぎる。日本のハンバーガー屋で再現してほしい。


【11日目】

サウツィップフフェスティバル到着。
今回のヨーロッパツアーへのきっかけのイベント。メタルやパンクを中心としたDIYフェスティバルに出演。ドイツのバンドとイスラエルのバンドのメンバーに日本人が居た。イスラエルのバンドは二週間前にフジロックに出演してきたらしい。
持ってきてた物販のほとんどがソールドアウト。鞄が軽い。嬉しい。

出店ブースのヴィーガン料理が「もはや世の中に肉は無くてもいけるんじゃないか」って未来が見えるくらい美味かった。肉のような満足感。


【12日目以降】

メンバー帰国。

その後、カメラマンのコウヘイくんと一緒に作ろうとしている映像作品の取材に行ったり、ラーメン食べたり、ヒッチハイカー乗せたり、ハンガリーやルーマニアの蚤の市に行ったりした。

そんな感じのツアーだった。

毎回、海外ツアーの度に考えさせられる事が多く、本当はもっと細かな話を書きたいところだけど、長くなりそうなので、ツアー全体の話はこんなところ。何にしても、とても有意義で楽しい日々ではあった!ヨーロッパの方々ありがとう!

今は、ヨーロッパからの乗り継ぎで台湾に到着。台湾の友人たちに会いに行ってくる。

サポートしてくれたお金は僕のおやつ代に充てられます。おやつ代が貯まるとやる気がみなぎるかもしれません。