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松島克守先生について

俯瞰経営塾へ参加

私が松島先生に最初に会ったのは2016年でした。東京大学技術経営戦略学専攻(以下、TMI)では、毎年「俯瞰経営塾」という講義が開講されていました。

俯瞰経営塾では、35名ほどの学生が5人のグループに分かれて、毎週割り当てられた企業の経営幹部になったつもりで、その週のテーマに沿って「うちの企業はこうしていく」というプレゼンを行います。

テーマ:人事戦略、企業バリュエーション、ドラッカー…etc

全班のプレゼンが終わったあと、参加者が一人一票を一番良かったと思う班に投票し、その投票の数によって講義の成績が決まるというものです。

俯瞰経営塾はTMIの学生にとっても単位になりませんが、競争することが楽しいので毎年塾は満席になります。
また、修士一年であれば他大学からも参加できるので私はその枠で参加しました。

TMIについて

当事者ではないので詳しい情報はないですが、松島先生はTMIを立ち上げたメンバーの一人と聞いています。(*後でファクトチェックをします。)
TMIはコンサル/投資銀行などを志望する学生が集まる専攻でした。就活の時期になると、○○がマッキンゼーに受かった、××がIBDに受かった...などという情報が飛び交っていました。


松島研究室について

松島研究室からは、有名な方々が数多く輩出されています。どこまで書いていいのか分からないので、一旦後にまわします。


俯瞰経営塾の後のプログラムについて

俯瞰経営塾の後も、希望者は次のプログラムに進むことができます。私はこの人について行ってみようと思っていたので参加しました。

企業研修

松島先生は、ある上場企業に対して俯瞰経営塾と同じ内容で研修を行っていました。そして、俯瞰経営塾の後のプログラムというのは、この研修の中の一班を担当するファシリテーターになるというものでした。
「社会人経験のない学生が社会人に研修をする??」という感じですが、やるしかないのでやりました。
この研修も、結局は投票ゲームなので、投票での得点の取り方は掴んでいましたが、業界知識がなさすぎて、本当に役に立ったのかは今でもわかりません。


本出版

2つ目のプログラムは、SONYの過去の発明品とその発明者の業績をまとめて、アーカイブの意味を含めて本を出版するというものでした。 

松島先生がSONYのOBと強いコネクションがあったため、実現しました。
松島先生がSONYのOBに声をかけ、学生が聞き取ったことを小説風の文章にし、松島先生が出版社と掛け合うという流れでした。
聞き取り中も、知らない単語が飛び交っていたので、録音がないと不可能でした。

松島研究室OB会

前述の俯瞰経営塾後のプログラムは、松島先生が名誉教授になったあとの擬似的な松島研究室という位置付けだったようです。その関係で、(東大生でもないのに)私も松島研究室のOB会に呼んでいただきました。研究者、経営者、政治家などの顔ぶれがいましたが、松島先生は「そのビジネスは社会的価値がないよね」というような厳しい指導をされていました。それに比べると自分に対しては優しいなあと思いました。


卒業後

2018年に卒業したあとは数回お会いしました。2021年の俯瞰経営塾にもオブザーバーとして2回参加しました。

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松島先生語録

以下は日ごろから松島先生が学生に向けて語っていた内容です。
少々過激なものもありますが、松島先生が非常にユニークな先生であったことが伝われば幸いです。

「才能では人生は拓けない。人生を拓くのは関係性である。」
この土鍋を持って行って、毎週自室で鍋パーティーを開け!それが自分の未来につながる!」(海外留学に行く学生に)
「パーティの幹事というのは、利権なんだよ。」
意味:幹事を積極的にやれ。
「ガラケーを使っているおじさんと付き合っちゃいけない。」
意味:GAFAMが世界最大の時価総額になったのは、スマートフォンによる経済である。ガラケーを使っている人にはそれがわからない。(2016年当時)
「第一印象の70%はお辞儀で決まるのだから、お辞儀の練習をしろ!」
「ビジネスモデルの三要件は
1.社会にとって意味のあること
2.独創性、模倣困難性
3.誰からどうお金をもらうか
この条件が揃ったビジネスをしなさい。」
「修士を卒業するときの学生を見れば、その人が定年までどれだけ活躍するか分かる。」
「卒業時の能力は、ロケットの発射速度である。」
「新卒で就職するときに、『東京に住む』ことを決めた。この決断が非常に良かった。」
「僕も毎日スクワット40回やってるけどね」
(2016年 71歳ごろ)
「日経新聞の下に広告を出している本は読んではいけない。」
*すみません、理由は忘れてしまいました・・・。

松島先生の推薦図書はこちら↓。

「俯瞰経営塾は、僕が学生のころに『こういう講義があったらいいのに』と思っていた内容をそのまま形にしました。」

昨日(12月2日)、松島先生が2021年11月29日に亡くなったという知らせを受けました。お世話になった思い出のまとめと、今後松島先生について研究する人のためのアーカイブとしてこの記事を作成しました。
取り急ぎで書きましたので、今後も更新するかも知れません。

俯瞰工学研究所のHPにたくさんの資料があります。

松島先生最終講義



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