ISOの内部監査員とはどういう役割?資格や求められる力量、認定の要件を解説!
1.そもそも、ISO内部監査とは
内部監査の役割
ISO内部監査は、組織がISOの規格に従って適切に運用されているかを確認するための重要なプロセスです。内部監査の役割は、日常的な業務の中で、規格の要求事項がしっかりと守られているかをチェックし、必要な改善点を見つけることです。外部監査とは異なり、内部の従業員が自社のプロセスやルールをチェックするため、より早い段階で問題を発見し、改善を促すことができます。
内部監査の目的は、単なる「チェック」ではなく、組織のパフォーマンスを向上させるための「改善の機会」を見つけることです。例えば、規定通りに業務が進められていない箇所を指摘するだけでなく、効率的な方法を提案することで、組織全体のプロセスをより効果的に改善できるようにします。
2.ISO内部監査員とは
内部監査員を任命するメリット
ISO内部監査を行うには、内部監査員を任命する必要があります。内部監査員は、組織内でマネジメントシステムの運用状況を定期的にチェックし、規格に適合しているかどうかを確認します。内部監査員を任命することには多くのメリットがあります。
まず、内部監査員が組織内の業務を深く理解しているため、業務の流れや課題を細かく把握できる点が強みです。外部の監査員では気づかないような、組織特有の問題点や改善点を早期に見つけることができ、迅速な対応が可能になります。また、内部の従業員が監査を行うことで、コスト削減にもつながります。外部の監査機関を頻繁に利用する必要がなくなるため、定期的な内部監査を行うことが組織にとっても経済的です。
さらに、内部監査員を育成することで、組織全体の意識向上も期待できます。内部監査員が存在することで、業務が常に監視されているという意識が社内に浸透し、ルール遵守や品質改善に対するモチベーションが高まるでしょう。
3.ISO内部監査員に要求される力量とは
ISO内部監査員には、一定の力量やスキルが求められます。まず、監査員はISOの規格に対する十分な知識を持っていることが重要です。規格の要求事項を理解していないと、正確な評価ができず、見逃してしまう問題が発生する可能性があります。
さらに、監査員には「客観的な視点」も求められます。内部の従業員として業務を理解していることは大切ですが、その一方で、感情や主観に流されず、事実に基づいた判断を下す力が必要です。監査中に発見した不適合や改善点に対して、適切な指摘を行い、組織全体の改善につなげるためには、冷静で公平な視点が欠かせません。
また、監査員は「コミュニケーション能力」も重要です。監査中には、現場の従業員や管理者と話し合いながら、問題点や改善点を共有する場面が多くあります。適切な質問を投げかけ、相手の意見を聞きながら、建設的な対話を通じて解決策を見つける力が求められます。
4.ISO内部監査員の資格を取得する方法
認定の要件
ISO内部監査員として活躍するためには、一般的にISO規格に基づいた内部監査員のトレーニングを受ける必要があります。このトレーニングでは、監査手法や規格の詳細、監査の進め方など、実際に監査を行うために必要な知識が学べます。研修では、理論的な知識だけでなく、ケーススタディや実践的な演習を通じて、具体的なスキルを身につけることができます。
資格取得の際には、認定された研修機関での受講が基本です。研修を修了後、内部監査員として認定されるための試験を受ける場合もあります。試験に合格すると、正式に内部監査員としての資格が与えられ、組織内で監査を実施する役割を担うことができます。
取得方法
内部監査員資格を取得するための主な手順は次の通りです:
認定された研修機関での講座を受講
ISOの内部監査に関する基本的な知識やスキルを学びます。ケーススタディや実践的な監査スキルの習得
講座では、実際の監査に近い形式でのトレーニングを行い、実務に役立つスキルを磨きます。試験に合格して資格取得
必要に応じて、試験を受けて内部監査員の資格を取得します。資格取得後は、組織内で内部監査を実施することが可能になります。
資格を取得することで、ISO内部監査員としてのスキルが認められ、組織内での信頼性が向上します。また、資格を持つことで、組織内外からの評価が高まり、キャリアの幅が広がることも期待されます。
5.まとめ
ISO内部監査は、組織がISOの規格に従って業務を適切に運営しているかを確認し、改善の機会を見つけるための重要なプロセスです。内部監査員の役割は、組織内の問題点や改善点を早期に発見し、外部監査での不適合を防ぐことです。
内部監査員を任命することで、組織全体の品質管理や業務改善が促進され、効率的な運営が可能になります。監査員には、規格に関する深い知識や客観的な視点、コミュニケーション能力が求められますが、トレーニングを受けて資格を取得することで、これらのスキルをしっかりと身につけることができます。
ISO初心者の方でも、内部監査員としての役割やその重要性を理解し、組織全体の改善に貢献できるようになるために、まずは基本的な知識を習得し、スキルを磨いていきましょう。