企業がISO離れをする理由とは？重いISOになってしまう原因を解説！

2024年12月10日 09:15

1. ISO離れが起きる原因

ISOの認証取得を進めた企業が、時間とともに「ISOが重い」と感じて運用を辞めてしまう、いわゆる「ISO離れ」が増えていると言われます。その理由の一つに、ISOを「ただのルール」として受け止め、日々の業務の一部ではなく“別のもの”として見てしまうことがあるのです。

ISO離れが起きやすい原因としては、以下の点が挙げられます：

運用が複雑化し、業務負担が増える
管理が面倒に感じられ、記録作業が増える
現場にISOの意義が伝わっておらず、形だけの運用になっている

こうした状況が続くと、ISOが「実務とは別の面倒な作業」として認識され、次第にモチベーションが下がってしまうことが少なくありません。ISOは本来、組織の成長や業務の改善をサポートするための枠組みであり、うまく活用すれば効率や品質を高めることができます。しかし、目的を見失い形式的に続けるだけでは、関わる社員も無意味に感じてしまいます。

2. 重いISOとは

ISOが「重い」と感じられるのはなぜでしょうか？実際、ISOは運用の一環として守らなければならない要求事項が多く、それに沿った記録や手順の見直しが発生します。しかし、本来は「重く」なるための仕組みではなく、ISOが定める基準を自社の業務改善に合わせて柔軟に取り入れることが求められています。ここでは、ISOが重くなる理由について考えてみましょう。

なぜISOは重くなるのか

ISOが重くなる背景には、いくつかの原因があるとされています。

過剰な書類管理と手順の複雑化
ISOの要求事項に沿って文書や記録を残すことは必要ですが、必要以上に細かいルールや手順を作り込み過ぎると、現場の業務に負担がかかります。過剰な書類管理が増えれば増えるほど、記録やチェック作業にかかる手間が増し、「ISOは手間がかかるだけ」という印象につながってしまうのです。
現場に合わない手続きの導入
ISOの基準を一律に適用しようとすると、自社の現場に合わない手続きが増えることがあります。これにより、無理にISOに合わせるための変更が多くなると、作業が非効率になり、本来の業務が円滑に進まないこともあります。ISOは組織に合わせて柔軟に運用すべきですが、「認証を得るための義務感」で形式ばかりを重視するケースも少なくありません。
ISOの目的が共有されていない
ISOの本来の目的は「顧客満足の向上」や「業務の改善」であり、品質の向上や効率化に貢献することです。しかし、ISOの目的が社員にきちんと伝わっていないと、現場では単に「チェックリストを埋めるだけの作業」となり、改善意識が生まれにくくなります。ISOの意義を理解しないまま進めると、「やらされ感」が強まり、重く感じられる原因になりやすいのです。

こうした要因により、ISOが「重い」「面倒だ」と感じられるようになり、本来の目的からかけ離れた運用が続いてしまいます。しかし、ISOの枠組みを業務にうまく活かすことで、組織全体の成長や効率化にもつながるはずです。3. マネジメントシステム

3. マネジメントシステム本来の意義を考えよう

ISO認証の基盤である「マネジメントシステム」の本来の意義を理解することが、ISOの重さを解消するための第一歩です。マネジメントシステムの目的は、組織の活動がより効果的であること、そして、継続的に成長・改善し続けられることです。この「継続的改善」の理念が、ISOにおけるマネジメントシステムの基本的な考え方です。

ISOの仕組みを実際の業務改善に活かすには、次のような点を意識してみましょう。

ISOを日常業務の一部として活用する
ISOを別枠の作業と捉えるのではなく、日常業務に組み込むことが大切です。たとえば、改善活動の結果をISOの文書に記録し、効果を測定する手順に組み込むことで、ISOが業務の一部として役立つようになります。ISOの枠組みを活用し、業務を見直す習慣がつくことで、効率的な働き方が定着し、社員の意識も向上していくでしょう。
現場の意見を取り入れた柔軟な運用
ISOの手順や方法は一律ではなく、現場の意見を反映して柔軟に運用することが可能です。現場で働く人々の声を取り入れて、ISOの基準が実際の作業にフィットする形で改善することで、業務がスムーズに進むようになります。ISOの要求事項をすべて細かく守るのではなく、組織の成長に必要な部分を優先して採用することで、ISOの価値が実感できるようになります。
PDCAサイクルを意識して改善を重ねる
ISOは「PDCAサイクル（計画・実行・確認・改善）」の考え方を基本としています。このサイクルを繰り返し行うことで、組織は少しずつ改善され、目標に近づいていきます。たとえば、改善策を計画し、実行して効果を確認し、さらに改善していくことで、ISOが業務改善のためのツールとして活用され、社員もその効果を感じやすくなります。

マネジメントシステムの目的は、ただ認証を維持することではなく、組織の成長や顧客満足度の向上を実現することです。ISOの手法を使って実際に成果を上げることで、業務の中で「ISOが役立っている」と感じられるようになり、重さも軽減されるはずです。

4. まとめ

ISOが重く感じられ、ISO離れが起きる原因には、記録作業の多さや、手順が現場と合わないといった要因があります。しかし、ISOをただのルールと捉えるのではなく、マネジメントシステムの本来の意義である「組織の改善ツール」として活用することで、その価値が見えてきます。

ISOの枠組みを柔軟に使い、現場の声を取り入れた改善活動を行うことで、ISOは組織の成長を支える大切な仕組みとなります。ぜひ、ISOを業務改善や効率向上に役立てる「身近なツール」として活用し、組織全体の成長につなげていきましょう。