皮膚疾患の治療プラン

漢方治療で一番難しいことってなんだと思いますか?

私は自分と同じ基準で治療プランを相手(患者さん)に理解してもらうことが一番難しいと思っています。

一番理想的なのは、患者さん(飼い主さん)と「ランナーと伴走者のような関係」が作れることです。

動物病院へいらっしゃる飼い主さまは、勉強されて知識がある方もいらっしゃると思いますが、ほとんどの方が治療のプロではありません。
一方、先生は治療のプロです。両者の共通するゴールはペットが健康に過ごせること。

一緒にゴールを目指すために、先生は専門知識で治療プランを考え、必要な時は手術なども提案すると思います。しかし、ランナーの体力(経済的負担、年齢的負担、距離的負担など)と技術力(治療プランの理解)をきっちり把握できていないと、リタイア(病院離れ)に繋がります。

例えば、

A:ゴールは分かっていて、「大丈夫!僕は何度も優勝したことがありますから、任せてください!一緒にがんばりましょう!」と言ってくれる伴走者の方。

B:ゴールはもちろん分かっていますが、どのくらいのペースで走りたいのか、どのくらいの力があるのかをヒアリングして、コースにはどんな障害があるのか、どのくらいのペース配分で行けば目標を達成できるのかを教えてくれる伴走者の方。

どちらの伴走者の方と一緒に走りたいですか?

Aの方は頼もしいですし、ランナー自身にも過去に良い成績を残した経験や技術的な自信があればお願いしたいと思うかもしれません。ですが、ランナーに不安があると伴走者が主体になってしまい、ゴールできなかったときに「何度も優勝したから任せてくれって言ったじゃないか!」と責任を押し付けられてしまう可能性もありますし、ランナーが途中から伴走者のペースについていけなくなってしまうかもしれません。

疾患を治すのはドクターではく、患者さん自身です。(治してもらうと勘違いしている患者さんが多いです)ですので、治療を全てドクターに一任されてしまうのも良くありません。

皮膚疾患に限ったことではありませんが、治療プランは

①ゴールを決める。(どこまでの治療を目標とするのか)
腫瘍の末期などは飼い主さまの意見を尊重した治療プランの組み立てが大切になるものもありますが、皮膚疾患の治療は赤み、痒みを抑えるだけでは再発の可能性もありますので、最終的な美肌ケア(乾燥やフケもなく発毛、毛艶が良好な状態)をゴールにします。

ここをまずしっかりお伝えして、飼い主さまも一緒に治していくという意識を持っていただくことが大事です。
また、ゴールの説明(美肌ケアまでしっかり行わないと、再発させてしまう可能性があるという説明)もしっかりご理解いただくことが大切です。

次回に続く。



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