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また山に登りはじめた。

※2023年5月1日、記

小さい頃から登山は身近なイベントだった。
特に嫌ではなかったので、
連れて行かれるがままに山に行っていた。

高校時代には、山岳部に入っていたりもした。
「先輩がやさしそう」というテキトーな理由だった。

卒業以後、登山への関心は徐々に薄れていった。
思えば、山のない生活はこれが初めてだった。

そして最近、また山に登りはじめた。

なぜ突然登山に興味が沸いたのだろうか。
私にとっての登山とはなんだろう。
そんなことをぼんやりと考えはじめた。

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カラフルなウェアに身を包み、時には愛犬を連れて……
林道ですれ違う人々は様々な年端・格好である。
かれらは一体 ”何のために” 山にやってきて、
"何のために" 歩いているのだろう。

「そこに山があるからだ。」とジョージ・マロリー。
「小さい頃から自然が好きなんですよね~」と山小屋アルバイト。
「景色が最高!!」と自撮りする山ガール。
「老後の楽しみね!!」と顔を見合わせるおばさんたち。
「別に理由なんてありませんけど」と視線を逸らす無愛想な山ヤ(褒めている)。

はてさて、私が山に行く理由は、何だろう。

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下界から離れたい。
つまるところ、その一心であるように思う。

ここ最近、イサキはめちゃくちゃに忙しい。
一日中、何かに追われている。
自宅でリラックスしようと思っても、
リュックの中に読むべき本や資料があることを考えると、
手を付けていない罪悪感に苛まれてしまう。
そう気になったが最後、夜だろうと朝だろうと、
何かを読み始めたり、何かをし始めたりしてしまう。

しかし、山に行くとそうもいかない。
目の前のことに必死にならざるを得ない瞬間が
強制的に生まれる
のだ。

日常空間から離れるのだからそりゃそうだ。
旅行だって似たようなものじゃないか。
なんでわざわざそんなに苦しんで…
と思うだろう。

しかし、登山と旅行は違う。
登山は、下界とワタシを空間的に離すのみならず、
意識的にも離してくれるのだ。

登山中、よそ見をしていては転ぶ。
しかしば足元ばかり見ていては道に迷う。
慣れない重さの荷物を背負って、だんだんと息があがる。

余計なことなど考える暇はない。
怪我をすれば自分の命に係わることは勿論、
同行者にも多大なる迷惑をかけてしまう。

山に登ることで、
意識の方向を「生存すること」へと強制的に定めることができる。
空間的にも意識的にも下界を離れたい
恐らく私は、そのような理由で山に行っている。

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この春から、ある登山者の集まりに入った。
どんな人間がいるのだろうか。うまく話せるのだろうか。
幼少より、予想のつかない出来事が近づくと
決まって頭痛や腹痛を起こす。
そして眠れなくなる。

残念なことに、いままさに、そうなっている。

でもわかっている。
どうせ一年後に振り返ってみれば、
いま大きくのしかかっている心配や不安を懐かしく思うのだろう。
話のネタになっているかもしれない。

そうなることを期待して、
目がギンギンに冴えた午前1時にこの文章を書いている。

同行するメンバーはいずれも
真摯に登山と向き合っている人たちばかりで、
「下界から離れたい一心で登っています…」
なんてひ弱な言葉を発すれば、次回の山行から白い目で見られそうである。

だからこそ、逃げられない。
動機はヤワなものだが、実際に行動に移すときは、
彼等と同じように真摯に向き合っていく必要がある。
食生活を改善、睡眠時間の確保、
日常に有酸素運動をとりいれる、など、
忙しい中でも、自分なりにできることを頑張っている。

…つもりである。
どんなに自分の考えを並べたところで、
問題なく登れるようにならないと、
それは言い訳と受け取られて当然だ。

…といいつつ、
関係者各位がこのnoteを見ていないことを切に願っている、
タチの悪いイサキであった。

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一年後の私へ。
皆さんと仲良くやっていますか。
それとも、仲良くできませんでしたか。

まぁ、どちらにせよ、あなたはきっとうまくいかないでしょう。
もしくは「うまくいかない」と一人で悩み始めることでしょう。

でも不思議なことに、あなたは周囲の人間にとても恵まれている人です。
うまくいかない自分を、うまくいかないままに受け止めてくれる人が
どこかしらにいるみたいです。

あなたの性格のことですから、どうせうまくいきません。
だからこそ、まわりにいる人たちを大切にしてください。
一年間鍛錬を積み、去年よりも成長したな、
と思える日が来ることを祈っています。

向上した姿を見せることが、
いま優しく見守ってくれている皆様への
恩返しじゃないのでしょうか。
できる限り頑張ってください。

end.

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