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リニア

「上海でリニアモーターカーに乗ってきたよ」
 と言ってあなたは私に上海のお土産を手渡してくれました。

「どうなの、リニアって」
 と私はあなたに訊ねます。
「うん。乗った感じは新幹線と変わらないけどね、とにかく早いよ。地下鉄だと1時間くらいかかるところが15分くらいであっというまに着いちゃう」
「ふうん。いいなあ。私も乗りたい。早く日本にもリニアができればいいのに」
「ああ、邪魔している人がいるからね。自分勝手で静岡にはメリットが無いからと言って許可を出さない知事がいるから困ったもんだよ。だけどこの間入庁式で差別発言があって辞任するって言っているから工事が進むかもしれないね。静岡のためだって言っていたから静岡県民の指示を得ていたんだけど、こんどは役所の職員は特別で他はどうでも良いような態度を取ったから、農業や酪農に従事する静岡県民を敵にまわしちゃったよね。結局のところ自分と自分の身の回りだけがよければ良いっていう利己主義的な人間なんだよ。そのために国民みんなが不利益を被っている。静岡県民も騙されていたことに気が付いたんじゃないかな。リニアの開通を遅らせた罪は重いよ。まあ、僕はリニアなんかより君に乗りたいけどね」
 とあなたは嫌らしい目をして私を見ます。
「いやよ。私があなたに乗りたい」
 と言って私はあなたの上にまたがってあなたのシャツを脱がそうとします。だってあなたはずっと出張に行っていて寂しかったんだもの。
「ごめん。このあと会社に行かなきゃいけないんだよ。時間が無いんだ」
 と言ってあなたは私を拒みます。あなただってしたいくせに。
「忙しいのね。でも私と仕事のどっちを取るの?」
 そう言って私はあなたを困らせます。でもあなたの体は正直です。もっこりしています。
 私はあなたのシャツを脱がして、ズボンも脱がして、ブリーフも脱がして裸にします。私も裸になって、あなたの上にまたがり、あなたの肉棒を私のまんこに挿入します。
 私は激しく腰を動かします。

「ああ、ダメだよ。ダメだよ。そんなに早くしないで。ああ、いっちゃうよ。ああ!」
 あなたはあっという間に射精してしまいました。

「ああ、もうこんな時間だ」
 とあなたは我に返って時計を見ます。
 あなたはあわただしく洋服を身に着けて、あわただしく私のアパートを出てゆきました。

 初めての騎乗位は、とても気持ちが良くてあっと言う間でした。
 時間が無くても、早くて気持ちがいいです。
 急いでいる人には、早いのがいいのです。

 私たちはこれをリニアと呼ぶことにしました。
 忙しい人にはリニアは便利ですね。

 リニアを邪魔する人は、許しません。
 私の恋を、邪魔しないでください。


おわり。

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