現在あるオタク・2 へいへーい

 白いプリントTシャツにダークカラーのスリムパンツ、赤と緑のクリスマスカラーのチェックのシャツを羽織り、ミカン色のニット帽をかぶった稲葉君は落ち着いて、でも照れくさそうにはにかみながら螺旋階段を下りてきた。
 眩しい。ライティングが後光に見える。

「降臨・満を持して」

 という、同じく白いお姿の、仮面ライダー電王のジーク様(CV・三木眞一郎)の台詞が脳内を駆け巡る、困ったおたく脳である。

 階段下のテーブル席に着いた稲葉君は
「今日はラジオの態でやろうってことで、お水とお菓子と、自分が番組で使っているヘッドフォンを用意してもらいました」

 と話す。

 彼は昨年からJ-waveというラジオ局で毎週金曜日のお昼間、『オールグッドフライデー』という番組のアシスタントとして4時間余、生おしゃべりを披露しているのである。
 メインDJは歌手・映画評論家・女子プロレスラーのLiLiCoさんであるが、ラジオ初めてとは思えない全方位に気を使ったトーク術と気配りを見せ、稲葉君は見事にりりこねーさまの相方として実力を知らしめている。
 そしてめちゃくちゃ可愛がられている。愛されている。
 お弁当を作る帯番組に出演したねーさんが、稲葉君の好きなものだけで構成された超豪華弁当を作りながら、いかにいい青年であるか熱く語り

「つきあえないかな…」

とカメラの前でガチで呟いた瞬間を私は見逃さなかった。
 ねーさんだけでなくスタッフ・共演者にも愛されているのもうなずける。
 仮面ライダードライブ当時の共演者間のTwitterのやり取りや、オフショットがもう、愛され感400%だったから。 

 局備え付けのヘッドフォンが諸事情で落ち着かなかったので、自分用のヘッドフォンを用意してもらった、そのものを会場に用意したのだが、装着して見せてくれただけで、使わずテーブルの上に置かれた。尊い。
 そして多彩なトークが始まった。主なネタは東京公演が終わったばかりの舞台『すべての四月のために』の出演こもごもについてである。

 以下かいつまんで

「坊主にしたのは稽古場徒歩一分の床屋さんで。『兵隊役になるんですよー』と言って、やってもらった。帽子被って稽古場に行って『おはようございます』と帽子とって、撫でてーというようにお辞儀してた。全員に撫でてもらった」

 で、ニット帽を取って毛足9ミリの長さに整った頭を見せてくれた。
 サラサラヘアーは刈り込まれても艶々。
 頭の形もいいし、細い髪の毛を通した頭皮がまた光り輝くような美白である。
 眼福だ。
 触りたいー、という会場の声。そして質問箱にも同意見複数。

「いやー、大勢に触ってもらうのは衛生面でどうなんだろって。チェキの時に、要相談で」

 これで追加チェキ人数が倍増したと思われ。

「舞台の開場前に演出の鄭さんが『お祈り会』というのをやっていて、スタッフやキャストで参加できる人は参加して、舞台の無事を祈る。それに参加していた」

 舞台の無事を祈る真摯な姿、想像しただけで健気&尊い…

「初めての休演日は休むものだけど、小柳友君や共演している事務所の後輩浦川祥哉くん、伊藤沙莉ちゃん達と逢ってた。肉食って、ボーリングに行って、卓球して、疲れてるはずなのに休んでなかった」

 舞台裏でモニターとパソコンを通じてサポートしているスタッフの「おっさん」さんから
『休めよ』
とモニターの文字で突っ込みが入る。このおっさんさんは舞台の方らしく、ノリノリであった。
 春の浅草九劇でのトークライブのサポートもこの方で、よく
『誰がおっさんやねん』
というテンプレ突込みが画面に登場した。

 おっさん、稲葉君をよろしくお願い致します。(ペコリ

「その小柳、伊藤、稲葉の三人で、開演前にいつも本気でふざけていた。どれだけふざけられるかを競っていた。例えば「全日本仔鹿選手権東日本大会」をやってた。自由演技とか何種目かあって、肉食獣に追われている部門とか、生まれたての子鹿のプルプルやっと立ってる部門とか競っていた」

『全日本子鹿選手権東日本代表、稲葉友です』
とプルプル子鹿を全力で再現する役衣装(軍服)の稲葉君。
 絶対観たいじゃないですか。

「見たーい」

という会場の声に

「いやいやお客様に見せられないものだから」

と照れる稲葉君。
 いや、見たいです。子鹿。インスタの動画とかで見せていただけないかなー。
 ここで『グレート子鹿…』(プロレスラー)
とか呟く私たち夫婦は間違っている。うん。

「ラジオっぽくしようと本番みたいに飲み物と食べ物を用意してもらったんですけど、俺のサンドイッチ一つ食べられちゃって」

 どうやらおっさんが食べちゃったらしく、封が開けられ一切れ減っていたとのこと。

「普通ここに置いてあるの食べます? 自分とこに置いてあるならともかく」

 笑いながらおっさんに突っ込む稲葉君。
 おっさんのパソコン画面の弁明。
 サンドイッチは初めおっさんの位置に置いてあったので一つ食べちゃって、慌てて戻したとのこと。

「あー、じゃしょうがないか」

 優しい稲葉君。結局第一部はもぐもぐ稲葉君は見られず。(二部でもぐもぐしてくれたらしいです。いいなー)

「カレンダーは今年は作る予定なかったんですよ。でも事務所に問い合わせが沢山来たので作ることになりました。ありがとうございます。
でも新たに写真を撮る時間もないので、マネージャーさんや自分のスマホにデーターが残っていた写真を使いました。だから今年のカレンダーは去年や一昨日の写真も入っています。ぜひお買い求めください」

 会場の建物三階でTシャツやステッカー、缶バッチ、キャップなどと一緒に売られていた、そのレアものカレンダー。
 他のイベントグッズ同様、このイベントでしか販売の予定がないとファンクラブHPに書かれていた。

 さあ皆さん、礼儀正しくご要望メールを送ろう。

 チケットゲットできなかった方や地理的その他もろもろの理由でイベントに来られなかった方も大勢いらっしゃるのだから。←ここ力説。

(追記。おいらたちの「通販プリーズー」の声が届いたのか、事務所さんの通販ショップで扱ってくれました。ありがたし)


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