人間関係と地政学 ヘイト管理とか

俺という人間はいわゆる共感というやつを基本的にしない。

俺にとって感情の共有なんてものは無意味で優先度が低い。人間関係におけるグルーミング(毛づくろい)やイニシエーション(儀式)は非効率極まりない。ただただ目の前の事実から論理的に導き出される結論に基づいて行動するのが合理的である。

そんな性格なので、共感による仲間意識で成立している人間関係はうまくいくはずがない。人間の性として異物は排除しようとするので、対策をしなければ俺というちっぽけな存在はあっという間にデリートされてしまう。

そんな俺が人間関係について最近考えたことを書く。


俺は島国の住人 

最近見たとあるASD系Youtuberが面白いことを言っていた。「ADSの人は一人一つの島に住んでいる感覚で、定型発達の人は大陸に皆で住んでいる感覚」というもの。

ASDの人は島に住んでいるから他人とコミュニケーションを取るには、相手の島や大陸に意識して”橋”をかけなければならない。

一方、大陸に住む人たちはすぐ近くに他人がいることが当たり前なのでコミュニケーションコストを低く見積もる(だから、雑談が多い)。かつ、衝突がどうしても多くなるので可能な限り摩擦を起こさないように常に共感を示すことで、不要な争いを回避しようとする。

俺はなるほどと思った。俺自身がADSかどうかは診断を受けていないので知らないが、感覚としては俺はASDよりの考え方だなと思った。

地政学上の島国の戦略

ここで最近流行りの地政学をひとつまみ。

地政学上の島国の特徴としては、俺がぱっと思いつくのは以下のとおり。
1.国境が明確
2.海洋資源への依存
3.周辺海域の安全保障の課題
4.気候変動など自然災害へ脆弱
5.外交が重要

この特徴は”島国タイプ”の人間関係における特徴と同じだなと思った。言葉にするなら以下のような感じか。
1.自他の区別が明確
2.ネットや本の知識への依存
3.他者からの干渉を警戒
4.環境によってパフォーマンスの差が大きい
5.人一倍人間関係に気を使う

1~3は正にと言う感じ。「俺は俺。人は人。」と思っているし、人との交流が少ないからどうしてもネットや本の知識に頼りがち。他人から干渉されたくないので、自分の半径50mに関しては常に警戒網はって面倒事を回避したり、事前に手を打ったりする。

4は基本的に誰でもそうだと思うが、島国タイプの人は特にあてはまる。大陸タイプの人間はそれなりに周りに同調することができるが、島国タイプはそんなに器用ではないことが多いので、環境によってゴミくずにもなれば天才にもなる。

そして、最後に5。島国タイプはコミュニケーションに難があるからこそコミュニケーションが重要である。

島国タイプの人は「他人からの影響を受けにくい」というメリットがある一方、「孤立しやすい」というデメリットがある。一人でも必要なものは全て揃っていますというアメリカみたいな人であれば孤立主義を突き進んでも問題ないだろうが、実力不足です資源不足ですみたいな日本みたいな人はそうもいかないだろう。

人間関係におけるコミュニケーション戦略

俺は島国タイプの人間なのだから、戦略としてイギリスやアメリカの外交戦略を参考に人間関係に取り込めばいいじゃないかと言う話。

俺は人付き合いする時に相手を見て、以下のオプションから付き合う方法を変えている。アメリカの外交戦略もろパクリである。

1.「完全支配」
2.「選択的関与」
3.「オフショア・バランシング」
4.「孤立主義」

1は実力行使である。基本的には最終手段ではあるが、自分の持てる力全てをもって相手を完全に従えさせる。自分のリソースに余裕があり、かつ相手が容易に支配出来る時はこの手を使って傀儡化する。これができるように常に自己鍛錬は怠っていないつもり。

2はデフォルトオプション。自分と相手のその時の状況によって、関わったり、無視したりする。要するに付き合って得なケースであれば関与するし、デメリットの方が大きいとなれば容赦なく見捨てる。要求された内容が同じであっても、付き合う価値のある相手の頼みなら聞くがそうでなければ断る。逆にたとえ付き合う価値のある相手であっても、その内容が自分にとって都合の良くない物であれば断る。

3は自分のリソース不足の時に使う。自分の権威をちらつかせて脅してコントロール。”調整”と”約束”により相手を個別にコントロール。分割統治と間接統治により集団をコントロール。そんな感じでヘイト管理を行いながら、周りをうまく手なづけて目的を果たす。

4はシンプル。鎖国である。一人で全部やる。以上。

ヘイト管理

人間関係においてヘイト管理は重要。共感を使いこなせる人は自分を好きになってもらえばいいのだろうが、俺のような共感苦手マンはそうもいかない。よって、「自分を好いてもらえるようにする」と考えるのではなく「ヘイトが自分以外に向くようにする」という風に考えるのが良いと思う。

このヘイト管理術を学ぶには世界史上のイギリスをお手本にするのが最もいいと思う。日本ではブリカスなどと散々な言われようなのでヘイト管理失敗している感もあるかもしれないが、それは後から歴史を偉い人達が振り返った結果分かったようなこと。大抵の人は反省をしないし、賢くもないのでイギリスのやり方を真似すれば面白いように人をコントロールできるということは俺が実証済み。

ヘイト管理のコツは「責任転嫁」をうまく使いこなすこと。オフショア・バランシング戦略の言葉では「バック・パッシング」と言うらしい。簡単に言ってしまえば「共通の敵を作って、そっちに注意をそらす」ということである。

例えば、同僚に嫌われるというのであれば、自分たちの上司や会社にヘイトが向くようにする。俺が良く使う手は自分の意見をあたかも上司だったらそう言いそうだよねと言う形で提案する。その意見に対して反感をもったとしてもそのヘイトが自分には向かないようにする。

他には、上司に嫌われる場合。「すみません。私の世代はこういう考え方をするので」といって自分の世代を道ずれにする。ヘイトを俺個人ではなく、「最近の若い奴」みたいな大きなくくりにそらす。

ここら辺の自分自身に向くヘイト管理は普通の人もすると思う。もっとやるなら他人のヘイト管理もする。誰か一人に好感度が集中して勢力が増さないようにネガティブキャンペーンを行う。逆に誰か一人が集中して嫌われるような状態もその人が消えた時に次のターゲットが自分に向く可能性があるので危険。ほどほどにフォロー入れておく。

対集団戦においては、イギリスがアフリカ地域にやったような分割統治と間接統治は参考になる。一部の(有力な)人だけを優遇して、内部分裂させて各個撃破しやすくしたり、ヘイトはその一部の贔屓した人に向けて間接的に集団をコントロールしたりする。

こんな感じで自分へのヘイトをそらしつつ、場をコントロールする方法を探求中である。ヘイトを逸らす先を人ではなく課題や問題にしたいと考えているのだが、対象がある程度理性的な人ではないとどうしても人を憎みたくなってしまうようで難しいなと感じている。

人間関係は面倒だけど面白い

人間関係は人生の悩みではあると思うけど、面白くもある。

今回紹介した、バック・パッシングなどの外交戦略やプロバガンダと言った外交・内政戦略を実験するのは面白い。

グルーミングやイミテーションは無意味だと思いつつもゲームのコマンドみたいなものだと思えば俺は特に苦にはならない。自由は好きだけど、何でもありのルール無法のゲームは逆につまらない。ある程度ルールに乗りつつルールの穴やバグを見つけてはグリッチで遊ぶ。そんな生き方で良いと俺は思っている。

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