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緊急! 宿泊療養・自宅療養ではオンライン診療を必須化しよう #コロナ政策千本ノック

コロナ政策千本ノック、第二弾の政策提言はあまりオリジナリティはありません。

ですが、緊急性と重要性のどちらも極めて高い、待ったなしの問題と、その解決策です。

ぜひ皆様お読みください。

問題 自宅療養・宿泊療養で死者が続出

第三波が拡大しつづける中、全国各地の病床が逼迫し、自宅療養者は3万5394人まで増えています(1月20日現在)。

それら自宅療養者・宿泊療養者が死亡したという例が相次いでいます。厚労省の集計によれば、昨年12月から今年1月25日までの間に、自宅療養27名・宿泊療養では2名が死亡しています。

この29名というのは、氷山の一角にしか過ぎないでしょう。というのは、あくまで「都道府県の発表」に基づく「集計」だからです。

たとえば12月2日に大阪府枚方市では、自宅療養中の女性(62)と同居の母親(90)の2名が同日に死亡したと報道があります。先の集計では、大阪府の死者は合計で1名しかいないので、この2人はカウントされていないようです。大阪府として、この2名については「新型コロナが死因」とは認めていないことが原因でしょう。

もう一つ注意しないといけないことがあります。この数字が、宿泊療養・自宅療養「中」に亡くなった人数だということです。療養中に症状が悪化したが、手遅れになってから搬送され、治療もむなしく亡くなった方が、他に相当数存在すると考えるべきです。

原因① 自宅療養・宿泊療養で医療空白状態に

なぜこんなことになっているのでしょうか。

最大の問題は、自宅療養や宿泊療養は、保健所の管轄になっているため、医療行為ができないことです。

私も、自分がフォローしている方(精神科医)の上のツイートを目にして驚愕しました。想定外の事態に、念のために色々調べたのですが、どうも医療関係者にとっては常識だったようで、同様の証言が複数得られました。

要するに、療養施設は医療機関ではないから、仮に医者や看護師が常駐していても医療行為を行ってはいけないということになっているようなのです。

医療ガバナンス学会に、和田眞紀夫氏は次のように書いています。

要するにコロナの自宅療養者というのは病人であるにも関わらず、主治医がいない状態に置かれているのだ。保健所の担当者が容態を聞いて必要なら入院の手はずを取るのだが、本来このような業務は主治医が行う行為であり、それを医師でない保健所の職員が行なっている事自体が異常なことだ。(強調は引用者)

宿泊療養や自宅療養では、原則として外出してはいけない建前になっています。コロナで体調が悪化しようとも、以前からの持病で医者にかかろうとしても、陽性者とわかれば必ず追い返されます。つまり、保健所に認められて療養場所から出られない限り、いかなる医療からも途絶される、それが実態なのです。これは「療養」と呼べる代物ではなく、事実上の収容隔離に他なりません。

原因② 安否確認するはずの保健所がパンク

死者については、副次的な原因があると思われます。

医療行為の代わりに、保健所は毎日、安否確認を電話で行うことになっています。しかし、保健所の業務がパンクすると、この安否確認が滞り、何日も連絡がないまま放置されることになります。(私が知る限り、大阪市ではそのような状況が続いており、それが全国一の死者数の大きな要因になっている可能性があると思っています。)

もちろん、保健所から緊急連絡先は渡されます。しかし先の和田氏によれば、呼吸困難でも保健所に電話が繋がらない患者から、助けを求める電話が来たことさえあるようです。

言うまでもなく、日々あまりにも大きな業務を背負ってくださってる個々の保健師には。まったく責任はありません。ですが、和田氏が主張するように、そもそも治療ができない保健所が、安否確認から入院の手はずまで整える現在のシステムそのものが、根本から間違っていると結論づけざるをえません。

政策 宿泊療養・自宅療養では、主治医を定め、オンライン診療を必須にしよう

これは現在の医療システムと、新型コロナのフロー設計そのものの欠陥に起因するものであり、非常に深刻な問題です。

そして、一刻の猶予もないほど、緊急の問題でもあります。

コロナ病床を増やすという政策提言はもちろん間違いではありませんが、即座の現実的な問題解決には決してなりえません。

この問題を早急に解決するために、宿泊療養・自宅療養者に対して主治医・副主治医を割り当て、オンライン診療を行うしかないでしょう。そして、重症化の兆候を見極め、必要な時点で迅速に入院に繋げられる体制を作ることが重要です。また、特効薬はないとは言え、ある程度の効果が見込める薬はいくつかあるので、診療に基づいて処方箋をつくり、投薬治療も行えるようにすべきです。

いくつかの自治体では、宿泊療養者などへのオンライン診療は始まっています(岡山市埼玉県など)。大切なことは、この取り組みを拡大し、全国すべての自宅・宿泊療養者に対して、オンライン診療を必須とすることです。

確かにいま、コロナ患者用の病床はなかなか増えません。一方で、コロナ禍によって多くの病院が患者減から減収となっている病院が多い状況です。オンライン診療なら、感染リスク・クラスタ発生リスクがなく、新たな設備投資や導線変更も必要ないため、手を挙げてくれる病院・医師は多いのではないでしょうか。

診療の内容や頻度については、医療従事者の議論にお任せしたいと思います。同様に、オンライン診療の必要性を主張している医者としては、先の和田眞紀夫氏の議論や、岡秀昭氏の自民党への提案内容が参考になると思います。

また、徳田安春氏が『科学』で主張したように、本来ならば24時間モニタリング体制を取るのが望ましいと思われます。

大規模なオンライン診療体制を潤滑に行うためには、オンライン診療を行い、カルテやモニタリングされた数値や、各病院の病床占有状況を共有管理するプラットフォームをクラウド上に構築し、厚労省のHER-SYSと連携させることも必要なはずです。

ただし、こうしたシステム設計には時間がかかります。本来ならば、この冬の感染爆発を見越して、去年の秋ぐらいまでには大規模なオンライン診療システムと体制を構築しておくべきでした。

しかし、今は誰かを責めても何もなりません。早急なシステム構築と並行して、ともかく患者に対して主治医を割り当て、zoomでもLINEでも電話でも手持ちの道具をなんでも使ってオンライン診療を行うことが大切だと思います。

結果予測 死者重症者減・保健所の機能回復・医療機関の増収

自宅・宿泊診療とオンライン診療がワンセットになって、はじめて「軟禁された人」が本当の意味での「療養者」となります。

現在、名ばかりの「療養」によって病状が悪化した患者が転院して、結果的にコロナ病床を逼迫させている可能性もあります。

ならば、オンライン診療を行うことで、死亡者を減らせるだけではなく、限られた病棟の状況を緩和させる一助になるかもしれません。

オンライン診療には、もう一つの利点があります。それは、主治医・副主治医がオンライン診療をすることで、保健所が患者一人一人に電話で安否確認を行う必要がなくなるということです。これで、パンクしている保健所も負担が減って、本来あるべき機能を取り戻す助けになるのではないかと期待できます。

もう一つ、効果が期待できます。それは、コロナ禍によって減収していた医療機関が、設備投資を行わずともオンライン診療で診療報酬を得られ、医療機関の収益改善が期待できます。単に、医療機関の減収を税金で補填するという政策よりも、はるかに生きたお金の使い方であることは言うまでもないでしょう。

最後に

私個人としては、この「放置された療養者」の問題を、政争の道具にしないでいただければと願っています。

この問題を認知せず、結果として放置してきたのは、与野党の国会議員や官僚だけではなく、主権者である私たち自身でもあります。

ともかく一刻も早く、この悲惨な状況を解消するべく、みなで知恵をしぼり、力を合わせていきましょう。

ぜひ皆さん、この記事を拡散し、周知いただければと嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします。






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