続報3 厚労省データと、安倍政権の反民主主義的体質


皆様こんにちは。

厚労省データについて、これまで3つの記事を書きました。


厚労省・新型コロナ陽性者データに内在する不可解な矛盾
https://note.com/ishtarist/n/nbefb8f7a0931

続報1 厚労省データ処理の根本的な誤謬と、流氷原を漂流する巨大客船https://note.com/ishtarist/n/ncc42e8b02546

続報2 厚労省さんの「お返事」と、私からのお願い
https://note.com/ishtarist/n/n39f8d034cc7e



厚労省データを巡るその後について簡単にまとめた上で、今日はその責を負う安倍政権に対して言いたいことを言います。

橋本厚労副大臣からの応答

まず、3月22日、橋本岳厚労副大臣が私の記事を読んで、Facebookに投稿していました。

橋本岳FB

匿名化については今ひとつ納得がいかないというか、検査時に保健所が国籍を把握していない訳はないと思うので、何かしらオペレーションが根本から間違ってる気はします。

ともあれ、日本国籍者以外の大半が確認中であることは、この時点で判明しました。

外国人率をめぐるデマの拡散

3月27日になって、厚労省データの陽性者について、3分の1が外国人であるというツイートが、2万Fav以上もされるという事態になりました。(削除済み Internet Archive

外国人デマツイート

それを上念司が次のように引用ツイートしました。

上念デマツイート

しかし、日本国籍の数字外の大半が未確認者であるという既存情報をあわせて考えると、これは明確に誤った推論です。BCG仮説であれ、外国人差別であれ、誤った数字に基づいていいかげんな情報を拡散することは、何一つ良いことがありません。

これこそ私が最も恐れていた事態の1つでした。私が厚労省データの外国人率について検討を開始したのは、「この数字は、放置しておくといかがわしい使われ方をする」と思ったからです。その可能性を予め潰すために、データを調べ、その論理的矛盾を指摘したのです。

外国籍者数が発表された

ともあれ、一部界隈で騒がしくなったためか、この問題はより確実な形で決着が付くことになりました。

4月3日から、日本国籍者の他に、外国籍者の数字を発表するようになったのです。4月9日時点で、陽性者4667名のうち、日本国籍者2355名に対し外国籍者は42名。残りは未確認者です。

4月9日厚労省データ

判明している範囲での外国人率は、わずか1.8%です。これで、外国人率の話は、ひとまず決着が付きました。

安倍政権のその場しのぎ体質

厚労省は、日本国籍者と外国籍者、不明者それぞれの内訳を出しました。

しかし、懸念していたとおり、そこに至るまでにこの適当なデータは悪用されたのです。それが意図的なものか非意図的なものかは差し置いても、このような解釈を許すようなデータを発表した厚労省に最大の責任があります。

そして残念ながら、私が続報1で要求していた、「過去に遡って」のデータ修正はされませんでした。本来、データのバージョン管理と日時更新をきちんと分けて、過去の時系列データを公開すべきなのです。そうしなければ、まともな現状把握も未来予測も不可能です。それに基づいた政策判断は、まず確実に間違えます。

問題が指摘されれば、「これが最新の情報です」とその場しのぎの対応を行い、過去データは訂正も改善も行わない。これが厚労省がやっていることです。

何かに似ていると思いませんか?これまで「PCR検査を拡大すると医療崩壊する」と言っていた「専門家」たちが、「フェーズが変わった」という言い訳をして、今はまったく逆のことを言っている。自分たちが、どれほど政府の無策を助長し、感染を蔓延させることに荷担したのか、それに対する反省が一切ありません。こういう「専門家」たちの無責任体質と、厚労省がやってることは非常によく似ています。

これは、安倍政権の体質でもあります。安倍首相自身の発言で検証してみましょう。「1日あたり6000件を超える確かな検査を行うことが可能」「今月中には1日当たり8000件まで検査能力が増強できる見込み」と言ったのが、3月14日です。

厚労省データによれば、その日までの検査実施件数は29122件でした。それから3週間以上たった3月7日には累計94312件。その間、1日平均で、わずか2716件です(検査人数ではありません)。

ならば、1日6000件・8000件と言っていたそのときの安倍首相の言葉には、なんら意味がない口約束だということになります。そして今後も、彼の言葉には信頼を置けないと判断せざるを得ません。

安倍はこれまでも、あらゆる局面で、こうしたその場しのぎの言い逃れを重ねてきたし、これからもそうするでしょう。追求されれば思いつきで言い訳を行い、言い訳ができなくなれば、平気で公文書を改竄し統計を弄ってきました。

「森羅万象を司る」とまでは言いませんが、安倍首相こそ行政府の長であり、最終責任者です。厚労省のデータ管理の仕方を安倍が指示した訳ではないでしょうが、まともな先進国の首脳が、国の存亡に関わるデータを適当なまま放置しておくということはありえません。

データ軽視は国民軽視

データを尊重しないということは、国民を軽視しているということと同じです。それは、国民への説明責任の問題だけではありません。

そもそもデータとは、ある時点の社会の状況を、一定の仕方で掬い取ったものです。PCR検査の陽性確定者が5000人だとして、その向こう側に、1人1人に生きた生活があり、それぞれの病の苦しみや生活不安が、5000個もあるのです。

そして、データが「社会を一定の仕方で掬い取ったもの」である以上、さらにその外には、検査もされず、正しい治療も受けられない人々が確実に存在します。

組織を人体に例えるならば、データこそが政府の「視野」です。そのデータを集計・分析をすることによって、視覚情報は意味がある「認知」になる。それに基づいた政策が「行動」になります。

いま「お肉券」や旅行代補助・マスク配布や休業補償の拒否など、政府が出してくる政策がすべて、あまりにも現実離れしていると批判されています。政策がことごとく的外れなのは、政府の認知が歪んでいることが非常に大きな要因です。

さらにその根本原因は、政権が国民を軽視しているからです。国民の生命や生活に配慮があるまともな政府が、十分な検査を行わなかったり、データの不整合を放置したりすることはありえません。国民のことを正しく認知できなかったら、どうやって国民を助けられるというのでしょうか。間違った思い込みで、間違った政策を行えば、私たち国民が痛い思いをする。

そして現日本政府は、明らかに私たち国民の痛みに関心がない。補償なき自粛要請によって、どれほどの企業が苦しみ、どれほどの生活者が明日の家賃を払えなくなっても、国民の声に耳を傾けようともしない。そのことに、国民はそろそろ気づきつつあるのではないでしょうか。


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