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石積みキャラバン5 北九州平尾台

四国から九州にフェリーで渡り、平尾台というところに行った。

以前、棚田学会で知り合ったとある学校の先生と中学生に棚田を復活させようとしていて、石積みを直したいと思っているのでアドバイスをいただきたいと言われていた。ちょうどそのころ九州にも石を積みに行こうと思っていたので、そのタイミングで行くことにした。この学校は全寮制でユニークな授業をしていてとても楽しそうな学校だった。僕を訪ねた中学生は農業のことをするクラスにいて、いろいろな棚田の石積みを見て自分たちが手がけている石積みもきれいにしたいということだった。

平尾台はカルスト地形の山の頂上にあって、黒い土に大きな石が刺さっているというダイナミックな景色が広がっている。石積みを直そうとしている田んぼは集落から車で10分ほど離れたところにあった。周りに人は住んでいない。荒涼とした土地が広がっている。山全体はあまり生活の気配はなく、昔から生活するのに適した土地ではなさそうだ。ところどころ陥没するところもあるらしい。石は大きく、勾配が5分くらいでかなり緩く、まるで石が土に刺さって成り立っているような石積みだった。現に一部では根石がなく、土に刺さっている石の上に石が積まれていた。粘土質で土は固く、石を使わず土だけでも擁壁は成り立ちそうである。このような石積みをみると、石積みは擁壁をつくるために積んだのではなく、田んぼをつくるときにでてきた石を一箇所に集めてできたという話にも納得がいく。

石はあらかじめ崩されていたので、きちんと根掘りをするところから始めた。グリ石を分ける重要性や基礎をきちんとすることの重要性を説明した。後から考えると、年齢に応じて話す内容を変えないと伝わらないなと思った。価値とか環境、技術、中山間地の話だけでは面白くないので、比喩的に言うことも大切だと感じた。ところで石は中学生が扱うには大きすぎた。棒で担いだりしたが、大人二人でやっと動かせる大きさだ。ハンマーで割ればよいが、それも難しい。3段積んで終わったが、あれからどうしているだろうか。


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