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石積みキャラバン8 広島県因島

前に石積み学校に参加してくださった方の畑の下にある石積みを積み直した。下が他の人の家なので、できるだけ早く直さないといけなかった。
近くに住んでいる石積みに興味のある方に何人か来てもらって一緒に積み直した。造船所で働いていた方も来られていたが、ショウセンの使い方がとても上手だった。大きな鉄の塊を動かすときは滑りやすいので、船を漕ぐようにショウセンの上に物を乗せて動かすそうだ。ちなみにショウセンは地域によっては先10cmくらいがへの字に少し曲がっているところがある。こうするとテコの原理で大きな石を動かしやすくなるが、ショウセンから石が落ちると手首を痛めるので危ない。まっすぐのショウセンの方が安全であるし、微妙な石の出し入れを調整できるのでよい。またまっすぐだと石の隙間にショウセンを突っ込めるので、足場となるアユミ板をかけるつっかえ棒としても使えるし、なおよい。
使った石は土木工事で使う花崗岩だったので硬くて滑りやすく、積みにくかった。形が悪い石は玄翁で形を整えて積みやすい形にするが、硬いと中々割れない。今回はほとんど形を整えずにグリ石で固定して、斜めに置いてツラを出して積んだ。ちなみにこの花崗岩は大島で採れたものらしい。瀬戸内海にはまだ石工さんや石材産業が残っているそう。そういえば瀬戸内海には削られて土がむき出しの島がたくさんあった。島なら削った石や砂をそのまま船に乗せられるので便利だそうだ。

下の段も崩れかけていたが、下の家の人の土地だったので上を優先して修復した。下が崩れると上が崩れるのはよくあることなので早めに下も修復したほうがよい。また上の段も急傾斜になっているので一段か二段石を積んだほうがよい。雨が降ったときに水が土の上を勢いよく流れるかもしれないからだ。

隣の区間の石積みは完全に崩れてしまったので土建屋さんにお願いしてコンクリート擁壁をつくってもらったらしい。なんと100万円以上かかったとのこと。重機が通れる道幅がないため道をつくるところから工事をしたので高くなるそうだ。空石積みにすれば落ちた石をそのまま使えるし、人の手だけで数日間で積むことができるのでどう考えても合理的だ。

災害で家の裏側が崩れるとすぐに直さないといけないので十分に吟味することなくコストが高くて非効率な修復をしてしまうことが多い。しなやかに直すことができるようにしていきたい。

2日間で石積みを終えた。帰る間際に家主の方から僕、田代くん、高開さん、真田先生、明石さんにとダンボールに箱詰めされたはっさくをたくさんいただいた。このはっさくがとても美味しかった。酸味も甘みも濃くて、渋みがない。ツウになると、水分がとんでパリパリする食感が好きになる人もいるらしい。近くの海岸ではヒジキがとれるそうだ。また行きたい。

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