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[読書ログ]「金色の羽でとべ」

「金色の羽でとべ」
作/高田由紀子


あらすじ

バレーボールにかける少年たちの友情物語
日本を代表するアタッカーに憧れて、バレーボールに熱中する佐渡島の少年たち。島には、メンバーギリギリの小学生チームが1チームしかなく、練習試合すらできないけど――。
「いつか、北見選手みたいな強いアタッカーになろう!」
あのとき、玲とおれは、約束したんだ。
でも、島のバレーボールチームはメンバーも少なく練習試合さえできない。
そんなとき、最強な転校生がやってきた!
全国大会を夢みて奮闘する少年たちの物語。

小学館HPより引用


感想

ずっと前からスポーツの長編児童文学小説が書きたくて、参考に読んだ。
バレーボールクラブに入ってから、バレーボールを通して成長していく少年たちの姿を描いている。

構成はシンプルで順を追って進んでいくので、主人公を応援しながら読み進められる。
試合の描写が多いところなどは、本を読むのが苦手な子はちょっと読み進めるのが難しいような気もする。というのも、動きをイメージする想像力の補完が絶対で、その点で読み手側の集中力が持続できるかが肝だと思う。
そして、小学生のクラブチームの設定や舞台がリアルに描かれていて、取材の重要さを改めて感じた。
  
そういえば、この作者の高田由紀子さんの『青いスタートライン』も読んだのだが、そちらも佐渡が舞台だった。
遠泳を通して少年の成長を描いた話なのだが、シンプルでするすると読めて面白かった。ラストの一行が個人的には別の表現のほうがしっくりくる気がしたけれど、作者の意図も分かるし、そのほうがカタルシスも良いような気がするので、わたしの好みの問題だと思う。
 
とにかく、小学生のクラブチーム事情や、練習日、大会、試合模様やルールなどの描き方が勉強になった一冊。
  
舞台と設定のリアルさが、物語に説得力と厚みを与えているのと、主人公がポジションを変更せざるを得なくなる状況に陥るのだが、その点でのテーマへの繋げ方も良かった。また、主人公に焦点を当てるというよりも、登場する少年全員が主人公というような、スポットの当て方も良かった。
  
さっぱりしているけれど、要点をおさえていて、テーマがぶれない。
なんでもかんでもモリモリに盛り込んでしまいそうなところをきれいにまとめられている。さすがだなあとしみじみ読んだ。

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