德永孝二さんと小児病棟のキューピー人形
2018年4月16日。鹿児島県にお住まいの徳永孝二さんから一通のメールを頂きました。クラウドソーシングを通じて怪談話の体験談を募集していた僕に、徳永さんが御自身の体験談を語って下さったのです。
これは、今から43年前に起こった、徳永さんが実際に体験した出来事なのです。
※こちらの怪談話は有料での公開とさせて頂きます。
ーー以下、徳永孝二さんの寄稿よりーー
——人形 人間の形に作ったもの、災厄や穢れをそれに移して流したりする——
稲光りに映し出されたキューピー人形は苦悶していました。
それに最初に気づいたのは隣のベッドの子供です。
「孝ちゃんのキューピーちゃんの顔がおかしいで」
その声に起こされて、私はベッドの足元においてあったお気に入りのキューピーちゃんの顔を見ました。そして異変に気づいた私は、恐怖にかられて人形を投げ飛ばしました。
人形は大部屋の他の子供のベッドに落ち、さらに恐怖を増大させました。日ごろの療養生活で鬱積されたストレスも一斉に抑えが効かなくなったのでしょう。私の病室は子供たちの絶叫に包まれました。
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