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宮島澄代さんと水晶の数珠にまつわる話

2019年2月27日。以前にも体験談を告白して下さった宮島澄代さんから寄稿を頂戴しました。今回は、宮島さんがアクセサリーを販売したお客様から聞いたという不思議な体験談です。

宮島さんがお客様に渡したアクセサリーは、どんな不思議な体験をもたらしたのでしょうか・・・?

※こちらの怪談話は有料での公開とさせて頂きます
--以下、宮島澄代さんからの寄稿より--

私は、パワーストーンジュエリーを使ったオリジナルアクセサリーを販売しております。
小さなイベントに出店した際に知り合ったお客様から、不思議な体験談をうかがったのでご紹介いたします。

横浜の赤れんが倉庫で開催された手作りフェアに出ていた私は、水晶や、ラピスラズリ、ルビーなどといったパワーストーンジュエリーで作ったピアスやブレスレット等のオリジナルアクセサリーを販売しておりました。
当日はお天気も良く、多くの方々に見ていただき、大盛況でした。

午後4時も周り、そろそろ片づけの準備に取り掛かろうかという時に、ふらりと並べられたテーブルの前に立ったのが、20代半ば位の髪の長い女性でした。
大きなマスクをかけた隙間から見える顔の色は、透き通るように白かったのを今でも覚えています。
若い女の子が喜びそうな赤やピンク色の天然石を使用した物には目も向けず、丸玉の水晶を手に取って見つめていました。

彼女が見ていたのは、男性用も少し持っていこうと持参した商品で、14ミリという大きな丸玉を繋げたブレスレットでした。
大玉が珍しいと手に取る人はいましたが、カラフルなデザイン性の高い物に比べてお数珠のような水晶の一連のブレスレットは結局売れ残り、荷物にもなるし持ってこなければ良かったと思っていた商品でした。

その女性のお客様の細く白い手には大きすぎて似合わなかったので、女性用の華奢なブレスレットを勧めたのですが、女性は水晶を身に付けて動こうとはしませんでした。
なんだか気味が悪いなっと、失礼ながら感じてしまう程、女性はまるで取り憑かれたかのようでした。

私は女性がいるにも関わらず、目の前で露骨に片づけだしました。
暫くすると、女性のお客様は、この水晶でお数珠を作ってもらえませんか?と言いました。
何でもこの水晶に強く惹かれ、お父さんに守られているような愛を感じると言うのです。

身に付けるには大きすぎるので、お数珠として持ち歩きたいと、女性からのオーダーを受け、連絡先を聞いて別れました。

お数珠として持つにしてはかなり迫力のある14ミリの水晶に、女性らしい淡いピンク色の正絹のお房をつけて大玉の美しい水晶のお数珠を作成しました。
聞いていた住所に送ると、とても喜んでくれました。

それから3ヵ月ほどたったある日、またそのお客様から連絡が入りました。
紅水晶のピアスが欲しいので幾つか見たいのですが、お会いできませんか?とのことでした。

再びお客様が住む横浜で会う事になりました。
横浜馬車道の十番館でスイーツとコーヒーを飲みながら、お客様にピアスを見せようとすると、妙な話をし始めたのです。

「私は精神的起伏が激しく、乗り物に乗るのが苦手なのです。ところが仕事でどうしても大阪に行かなければいけなくなって、そんな時に、川井さん(私の旧姓です)から購入した水晶をお守りに持っていれば大丈夫だって根拠もない自信が沸いて来て、無事に新幹線にも乗れて、今とっても精神的に安定しているんです。
今日はお会いしてお礼が言いたくて。」

お客様は屈託のない笑いを浮かべ、私に言いました。
そしてお客様は言葉を選ぶように、少し低いトーンで語り始めたのです。
実はそれだけじゃないんです。出張先の大阪でとっても不思議な体験をしたのです。

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