古い木造家屋

竹内健二さんのアパートで

これは、僕の友人・竹内健二さんのアパートで実際に起きた出来事です。

僕には学生時代にアルバイトで知り合った竹内健二さんという友人がいます。
竹内さんは僕より1つ年上で、ユーモアのあるオタク仲間です。

僕が就職をした頃、4年制の大学に通っていた竹内さんは通学先が都内の校舎に変わったのを機に埼玉県の和光市にあるアパートに引っ越しました。
これは、その和光市のアパートでの出来事です。

ある日の夜。僕は友人の石川敦也さんと一緒に竹内さんの家に泊まっていました。
散々遊び、すっかり夜遅くになった頃、気がつくと僕以外の2人は雑魚寝で寝てしまっていました。

そんな2人を起こさないようにテレビのボリュームを落としつつ、僕は当時流行っていたドラゴンボールの格闘ゲームでお気に入りキャラのトレーニングをして夜更かしをしていました。

すると

うひぃ!うひぃ!

突然、背後で寝ていた石川さんが奇声を発し始めたのです。

なんとなく、僕は

あ、金縛りにあってるな・・・。

と思い、その場で石川さんに声をかけて起こしました。

石川さん、今金縛りにあってたでしょ?

うん。なんで分かったの?

だって、凄く変な声を出してたから。

そんなやりとりをして、石川さんは再び眠ってしまいました。
僕も不思議と怖さは感じなかったので、またドラゴンボールの格闘ゲームに戻ってしまいました。

それにしても、誰かが金縛りにあうのを目撃したのは、人生でもこれが初めてでした。


また別の日、竹内さんの部屋に石川さんが泊まりに行った日の事でした。

その時僕はいなかったので、これは竹内さんから聞いた話になるのですが、夜中に竹内さんが金縛りにあったというのです。
なんとか金縛りがとけた竹内さんが部屋を見ると、泊りに来ていた石川さんがうなされているというのです。
様子がおかしいと思った竹内さんは、石川さんを起こしました。
すると・・・

今、金縛りにあってた。

と石川さんが言ったらしいのです。

竹内さんも石川さんも、その夜何故か2人一緒に金縛りにあっていたようなのです。


そして、また別の日。

これは竹内さんにブログで名前を公開しても良いか確認の電話をした時に聞いた話です。

竹内さんは和光市のアパートで体験した金縛りの話を思い出し、そういえば・・・と言って話し始めました。

金縛りじゃないんだけどさ、夜中に目を覚ました時に、何か小さい生き物が体の上を走って行ったんだよね・・・。

竹内さんは、その小さい何かをネズミかもしれないと思ったそうなのですが、和光市のアパートは比較的新しいワンルームで、ネズミが侵入するような穴はありません。

その小さい何かは、竹内さんの体の上を、胸から足元に向けて走っていったそうです。

あれはね。うん。ネズミだよ。ネズミ。

竹内さんは自分に言い聞かせるように、電話の向こうでそう言って笑っていました。

和光市のアパートで起こった金縛り。そして、竹内さんの体の上を走って行った、いるはずのないネズミのような何か。
竹内さんが住んでいたアパートには、何かがいたのでしょうか?

現在、竹内さんは実家に引っ越してしまったので、もう和光市のアパートに入って不思議な何かを確かめる事は出来ません。

しかし、僕、竹内さん、石川さんは、確かにあのアパートで不思議な体験をしているのです。

2017年7月4日 石王英臣 協力:竹内健二さん、石川敦也さん

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