折本龍則【時論】千葉県多様性尊重条例に反対!

 先般の12月19日、千葉県の12月議会で「多様性尊重条例」が可決成立した。多様性と聞くと何のことやらよくわからないが、本条例の正体はLGBT尊重条例であり、千葉県版のLGBT理解増進法である。しかも厄介なのは、ここでいう多様性の対象には「国籍や文化的背景の異なる人々」、つまり外国人や特別永住者なども含まれるので、外国人参政権にも絡む条例だということだ。熊谷知事の選挙公約であり、今年に入ってから急に動き出した。
 採決の当日は、多くのメディアや傍聴者が詰めかけた。私は反対討論を行い最後まで議員への説得を試みたが、採決の結果は、95議席のうち反対したのは私と自民党の中村実議員、共産党のみであり、自民党の議員が9名退席(棄権)、一人欠席、それ以外は全員賛成であった。自民党は単独会派で50議席を占めるが、本条例には会派として賛成の決定をしたため大部分の議員が賛成した。結果的に、今年6月に国会で可決成立したLGBT理解増進法と同様に、保守政党を自称する自民党が伝統破壊の条例を通してしまった。
 私は用意した討論の原稿で以下の七点を反対理由に挙げていた。
 すなわち第一に、本条例の策定プロセス自体が多様性に反していることである。9月に実施したパブリックコメントでは大多数が懸念と反対を示したにも関わらず、熊谷知事は県民の多様な声を無視した。
 第二に、女性や子どもの権利が侵害されかねないことである。
 第三に、LGBT理解増進法でも問題になった「性自認」の文言を入れたことである。
 第四に、皇室中心の家族国家の伝統と国柄を破壊することである。
 第五に、外国人との安易な多文化共生論や移民受け入れの是認につながることである。
 第六に、少子化対策の時代的要請に逆行していることである。目下の千葉県に必要なのは「家族尊重条例」である。
 そして第七に、単なる理念条例には止まらないことである。詳細は是非QRから討論の全文をお読み頂きたい。
 実際の討論では、10分以内と定められた制限時間を過ぎてしまったが、意を決して続行した。このため議場は私の討論を止めようとする議員たちと、討論の続行を支持する傍聴者の間でヤジと怒号が飛び交い騒然とした。私は議長による再三の制止に従わなかったためマイクを切られ、結局途中で打ち切りとなった。閉会後、議長室に呼び出され議長から口頭で厳重注意を受けた。超過した分の議事録も削除されることになった。議長には、ルールを守らなかったことを真摯にお詫びしたが、日本の存亡に関わる条例案への反対討論をたった10分以内で終わらせることは出来なかったのだ。
 本稿の最後に、演説の最後でヤジにかき消されてしまった一節を掲げる。
 「議員の皆さん、本条例の本質はLGBT尊重条例であり、千葉県版のLGBT理解増進法です。国会では傲慢な米国大使の内政干渉に議員が屈服し、ろくに審議もしないで法案を通してしまいました。しかし本議場におられる議員の皆様は、吹けば飛ぶような国会議員とは異なり地元の伝統に深く根付いておられる方々ばかりです。その様な先生方がこのような伝統破壊の条例案に賛成をしてしまったら日本はどうなりますか。偉大な祖国の伝統を守りぬいた先人たちに顔向けができますでしょうか。日本の将来を担う子どもたちや後世の子孫に後ろ指を指されるような事はないと胸を張って言えますでしょうか。どうか各議員の皆様が、党派や会派の論理に囚われず、自己の良心に従い、日本のために勇気ある賢明な判断を下されますことを切にお願い申し上げます。」
 昨年、県議会で「性自認」の文言を入れた「性の多様性尊重条例」を制定した埼玉県では、すでに学校で偏った性差否定教育が行われている。今後本県でも、本条例に基づいてどのような施策が行われるのかを厳しく監視していく所存だ。

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