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毎日のやさしい戦い

冬のはじめの日曜日の探しもの。
何年か前、こづかいを貯めて買ったコート。

「あーこんなところに」と見つけたけれど、
何だか片側だけが日に焼けて、淡い色になっている?

掛けていた場所が悪かったらしい。

分からないかな。着られるかな。蛍光灯の下に行ってみたり、ベランダに出てみたり。いろんな場所で、いろんな角度から観察してみる。

はい。全部だめ。
どこからどのように見ても、変な状態になっている。



頑張って買ったのに………。



ショックは隠して、強がるしかない。



でもさ。コートなんて必要なのは、
玄関から駐車場までの距離だし。
仕事の外回りも車だし。むしろ、運転の邪魔だし。
コロナのせいで、夜も出歩かなくなっているし。

「この冬、自分、コートは必要ありません」と宣言。今に至る。



けれども。
自業自得ですけれど。強がってみましたけれど、
石巻の朝の寒さは半端ではないんですよ。
1月を平均すると氷点下1度ぐらい?
東北のさらに北の方々からすれば、
大したことないでしょうと言われるかもしれない。

けれどもばかっりだけれども。
さらに上から目線で申し訳ないですけれども、
一度、この凍みる風を味わってみてほしい。


玄関のドアを開けた瞬間、シャツのボタンのところから侵入し、元気を奪うあの冷気。


どのような表現が適切でしょうかね。


「もわっと青い夏の芝生と対照的な、ピリッと乾いた光の香り」

そんなもんではない。


「透明な風」

ちょっと何を言っているか分からない。



「痛た寒い」

うん。結局これこれ。


ほっぺたが固まって表情がなくなる。
動きがスローになる。
車を動かして15分。
会社に着く直前にようやくエアコンが作動。

毎朝の素晴らしいルーティン。

冷え切った会社のデスクがストーブで温まるまで、30分。コートへの思いを引きずっている。


前も似たような記事を書いた気がするけれど、
書かずにはいられない石巻の風と秋山とのやさしくプライドをかけた戦い。


まさに今盛りなりです。

というわけでしばらくぶりです。
本年もよろしくお願いいたします。


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