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杉田庄一ノート46:昭和18年6月12日第二次「ソ」作戦

 6月12日、さる6日に行われた研究会の戦訓をもとに第二次「ソ」作戦が実施される。前回同様、前日の11日には宮野大尉以下24機でラバウルからブインに進出している。目標は同じくルッセル島で204空以外に582空21機、251空32機(内2機は途中不時着)で編成された。総指揮官は宮野善治郎大尉である。

ラバウル航空戦図ブインールッセル

 『零戦隊長 宮野善治郎』(神立尚紀 光人社)によれば204空の編成の詳細は以下の通り。
第一中隊第一小隊
 1番機宮野善次郎、2番機大原亮二、3番機辻野上豊光、4番機中村佳雄
第一中隊第二小隊
 1番機大正谷宗一、2番機小林友一、3番機坪屋八郎、4番機田中勝義
第二中隊第一小隊
 1番機森崎武、2番機浅見茂正、3番機中野智弌、4番機田村和
第二中隊第二小隊
 1番機渡辺秀夫、2番機人見喜十、3番機杉田庄一、4番機日高鉄夫
第三中隊第一小隊
 1番機日高初男、2番機黒沢清一、3番機沖田佐治、4番機中澤政一
第三中隊第二小隊
 1番機鈴木博、2番機渡辺清三郎、3番機白川俊久、4番機小林政和

 午前6時55分、204空の零戦24機は582空の零戦とともにブイン基地を発進し、途中ブカ基地から発進した251空の零戦と合流してルッセル島に向かう。途中、落伍し不時着した251空の2機を除いても総勢75機の大部隊であった。

 8時25分、高度8000mで敵編隊と遭遇。敵は高度4000m、5000m、7000mの三層の編隊で接近しており、がっぷり四つに組む隊形になった。しかし、204空の第一中隊第二小隊の4機(大正谷小隊)が右に急旋回し、全体の隊形をくずした。別動の敵機を見つけたのか、陽動作戦があったのかその詳細はわからない。そのため、各隊個別の空戦になってしまう。

 8時30分、582空がルッセル島西方海上で敵編隊と空戦。8時35分、251空がルッセル島東方海上で空戦。8時40分、204空もF4F、F4Uの編隊と空戦に入った。各戦闘は20分程度行われ、ルッセル上空は敵味方の戦闘機が乱れ飛び、海上には撃墜された戦闘機の炎と黒煙がたちこめた。

 204空の戦果は、宮野大尉がF4Fを1機、杉田庄一二飛曹がF4Uを2機(うち協同1機)、日高鉄夫二飛曹がF4Uを1機、神田佐治二飛曹がF4Fを2機(うち協同1機)、中澤政一二飛曹がF4Uを1機(協同)、鈴木博上飛曹が協同でF4Uを1機、渡辺清三郎二飛曹が協同でF4Uを1機で計6機の撃墜であった。

 251空は11機の撃墜(不確実1)で松本勝次郎二飛曹、上月繁信二飛曹、末永博上飛が未帰還、小竹高吉二飛曹が海上不時着であった。582空では、13機撃墜(不確実5)で野口義一中尉、沖繁國男二飛曹、藤岡宗一二飛曹が未帰還であった。

 二回にわたる「ソ」作戦は一定の成果をあげたという評価であった。杉田は、速度にまさるF4Uを撃墜しており、次第にその技量を発揮し出してきた






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