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遺伝子に組み込まれてるスキル といえば

アメリカの神経科学者のメアリアン・ウルフの「プルーストとイカ」(2017)と「デジタルで読む脳×紙の本で読む脳」(2020)が注目されている。この写真は読売新聞(2020.07.12)の紙面。

人間にとって話すことや聞くこと、そして嗅ぐことや見ることは遺伝子でプログラムされた行為であり、文字を読むことや書くことは後天的なもので脳にその機能を作り上げる必要があるという説である。

だから文字を読むことや書くことを学習することは極めて高次な教育を必要とする。読書というのは、脳を作る上で重要な学習なのだ。単語の連なりである文章を文脈として理解するのは、脳内に複合回路を作成する。

さらに「深い読み」ができる熟達した読み手になることが社会に対して強く働きかける力になるという。

トランプ大統領は読書嫌い。読むことに習熟していないため他者に共感できない。自身が知っていることに固執し、盲信する。米国第一主義はそこから生まれる。ツィッターで思いつきを単純な短文でつぶやく。事態の複雑さを見落とし、多角的な見方もできない。良い判断ができない。とウルフ氏は言う。

そしてそのような熟達した読み手になることができないデジタル世代が多勢いることが問題でもある。デジタル媒体の特性として結末に向けて読みを急かすし、クリックすれば答えがある。紙媒体には忍耐が必要で、そのことが実は熟達した思考の訓練になる。という。

ウルフ氏は、紙媒体にもどれとは言っていない。彼女は、むしろデジタル世代の肯定者である。彼女が主張するのは、情報社会においてはデジタル媒体と紙媒体のハイブリッドだ。子供の時になるべく多くの紙媒体に触れさせしっかりと脳をつくること。デジタル媒体には意識的に注意深く読む習慣をつけること。とアドバイスする。


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