杉田は予科練でどのように過ごしたのだろうか。朝日新聞社が昭和十九年に刊行したガイドブック「海軍少年飛行兵」(朝日新聞社編)を参考にまとめてみる(海軍では陸上でも艦内を想定した生活用語が使われている)。この『海軍少年飛行兵』は、予科練を目指す者に対するガイドブックで、志願の方法から予科練生の生活まで詳しく丁寧に書かれている。
甲種、乙種、丙種と多少の違いはあるが、概ね同じようなスケジュールだった。
丙種予科練習生となって半年くらいの速成教育で十六年四月二十八日に、杉田は卒業となった。それでもこれ以後の予科練生の超速成教育に比べればまだ余裕があったといえる。
三月、「土浦航空隊」を卒業し「筑波航空隊」に操縦練習生として入隊することになる。予科練ではまだ操縦訓練はなく、学科と身体訓練を詰め込んだだけである。いよいよ操縦訓練に入ることになる。
さて、2023年10月に茨城県稲敷郡阿見町にある予科練平和記念館を訪ねた。陸上自衛隊土浦駐屯地に面して建てられており、隣接している駐屯地内の遊就館(予科練記念館)にそのまま歩いていけるようになっている。途中に自衛隊の衛兵が立っていて敬礼してくれるのがうれしい。私が行った時は女子隊員だったが、その機敏な動きにおもわず「ご苦労様です」と声がけをしてしまった。
多くの写真を眺めてあるいていると厳粛な気持ちになりました。