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大みそか、きゅうり1本の買い物

正月料理の準備に、きゅうりがなかった。
酢蛸の添え物だけど、やはりきゅうりは欲しい。
買いに出たらスーパーが大変な賑わいになっている。
クルマの止めるところがない。
それがおおみそかってもんだな。
娘に買い物を頼んでクルマの中で待っていることにした

子供の頃から、大みそかはいつもと違う1日を過ごすのでうきうきしていた。

朝から正月を迎える準備をする。
子供の頃は父親が玄関を掃除してから、神棚の掃除に取り掛かる。
新しいしめ縄にかえて、酒と塩と米と水をそなえる。
榊をさして、鏡餅をそなえ、蜜柑をのせて出来上がり。
そうそう宝船の切り絵も飾る。
父親から教えてもらったわけではないが、父親が死んでからは自分がやってる。
自分が死んだら、今度は誰がするんだろうとふと考えたりする。
どうでもいいや。

おおみそかの思い出。
午前中は、子どもの頃の自分だけの大みそかの習慣で、1年間ためた貯金箱を開ける。そして、貯めたお金をもって玩具屋におおきなプラモデルを買いに行った。1/16のフォードGT40、1/32のP51ムスタングなど今でもドキドキしながら箱を開けたことを思い出す。

昼はあまりものなどそそくさと食べて、正月準備をする。
煮物など台所は大忙し。
子供と男しょは所在がないからテレビを見て過ごす。
夕方早くに風呂に入り、新しい下着を着て、神棚にお参り、床の間にも小さなもちを飾ってご先祖参り、台所にも餅とロウソクをたてて食あたりせぬように台所の神様にお参りした。
父からお年玉をもらって、紅白歌合戦を見ながら正月の馳走を食べる。
子供の頃から紅白歌合戦を面白いと思ったことは一度もないけれど、60年以上も続けているので、正月作法のようなものと割り切って紅白歌合戦を見る。
正月料理は、この地方では元旦ではなく、大晦日に食べるのがしきたり。
もう一つ特筆すべきは、サメの煮たものをたべる。
お雑煮にも入れる。
癖がなく、美味しい。
正月といえば、サメが付き物。
日本全国そうだと思っていた。
なんで正月しか食べないんだろうと子供の頃は思ったがが、今ではここらへんのスーパーでは、一年中売っている。
食文化の専門家の話では、徳川家の文化の名残だそうだ。日本全国でも限られた地方でしかサメは食べないのだ。

懐かしい子供の時の思い出。
今は自分が正月の準備をせねばならん。
あーあ、めんどくさ。

まだ、娘は来ない。
きゅうり1本の買い物。

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